ドル円の135円台到達で6.96円へ高値を切り上げる
〇トルコリラ円、19日夜にドル円が135円に到達した局面で6.96へ上昇
〇4/10日夜の6.95を超え1/16安値6.74と同値でダブルボトム形成、3/24以降の高値更新
〇引き続きドル高リラ安基調を警戒しつつドル円を追う展開で戻り高値を試す動き
〇対ドルでは18日と19日の終値も19.39で最安値水準を維持
〇4/19発表のトルコ4月消費者信頼感指数は87.5で3月から上昇するも市場の反応は限定的
〇トルコ中銀調査による年末インフレ予想は37.77%で前月の37.72%から若干上昇
〇6.96超えからは6.98、7.00を順次試す上昇を想定、6.99以上は反落警戒
〇6.92割れからは弱気転換注意、6.90割れからは下落期入りで6.88、6.85を順次試す下落を想定
【概況】
トルコリラ円の4月19日は概ね6.96円から6.90円の取引レンジ、20日早朝の終値は6.94円で前日終値の6.92円からは0.02円の円安リラ高だった。
ドル円は4月13日夜に132.02円へ下落したところからの持ち直しを継続し、18日午前に134.70円をつけたところから18日夜に133.82円へ下げたものの134円割れを買われて下げ渋り、19日15時の英3月CPI上昇率が予想を上回り二桁台にとどまったことをきっかけとした独英米等の長期債利回り上昇を見て19日夜高値135.11円へ上昇、3月24日安値129.63円以降の高値を更新した。その後の134.26円への下落も買われて20日午前は134円台後半で推移している。
トルコリラ円はドル円を追いかける展開を続けているが、19日夜にドル円が135円に到達した局面で6.96円へ上昇、4月10日夜の6.95円を超えて1月16日安値6.74円と同値でダブルボトムを形成した3月24日以降の高値を更新した。4月10日や4月18日のドル円上昇時にはドル円が高値を更新してもトルコリラ円はドル高リラ安による圧迫で高値更新へ進めていなかったが、19日はドル高リラ安がやや一服する中でドル円の上昇に合わせて高値切り上げへ進んだ。引き続きドル高リラ安基調を警戒しつつドル円を追いかける展開で戻り高値を試す動きと思われる。
【対ドルでは最安値圏での推移続く】
ドル/トルコリラの4月19日は概ね19.46リラから19.37リラの取引レンジ、20日早朝の終値は19.39リラで前日終値と同じだった。
手元のデータでは4月17日に19.46リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、19日も同値の安値を付けている。日足の終値ベースでは4月10日終値19.27リラから17日終値19.39リラまで6営業日連続で最安値を更新してきたが、18日と19日の終値も19.39リラで最安値水準を維持した。
4月19日夕刻に発表されたトルコの4月消費者信頼感指数は87.5となり3月の80.1から上昇、悪化傾向とみていた予想に反したものの市場の反応は限定的だった。
英国の3月CPI上昇率が予想を上回って二桁を維持したことをきっかけに19日夜はポンドが乱高下、ユーロが下落、ドル円が上昇するなど乱調な展開となったが、欧米のインフレ率高止まりと米銀破綻をきっかけとした信用不安の落ち着きによりFRBによる年後半の利下げ期待が後退していることでドル高感が強まっていることはトルコリラにも圧迫要因となっている。
【トルコ中銀調査による年末インフレ予想は37.77%】
トルコ中銀が毎月実施しているエコノミストに対する調査報告によると、4月の消費者物価の前月比に対する予想は2.65%、2023年末の消費者物価上昇率予想は37.77%で前月の37.72%から若干上昇、1年先のインフレ率予想は31.02%で前月の31.63%から若干低下したが、依然としてハイパーインフレに近い高水準が続くとみられている。
同調査では、2023年通年のGDP成長率予想は3.5%で前月と変わらず、2023年の経常赤字予想は378億ドルで前月の360億ドルから悪化、2023年末のドル/トルコリラ予想は1ドル23.1535リラで前月の22.9097リラからリラ安の進行度が増すとされた。
また政策金利の週間レポレートに対する予想は3か月後が8.50%で前月と変わらず据え置かれるとされたが、1年先では13.75%へと上昇すると予想されて前月予想の12.83%から上方修正された。
4月14日には大手金融機関のJPモルガンがトルコ大統領選挙(5月14日)後には1ドル24〜25リラへ下落して年末には26リラへ続落するとの予想を示し、より厳しい展開になれば選挙後には1ドル30リラへ向かう可能性もあるとしたが、そこまで極端ではないとしても1ドル20リラを超えてリラ安が進行してゆくとトルコのエコノミスト達は予想している。またその前提となる政策金利については利上げされてゆくと予想しており、利上げが無ければJPモルガンのような1ドル30リラを試すような水準へとリラ安が進行しても不思議ないといえるだろう。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月14日夕刻安値をサイクルボトムとして17日の日中から19日午前にかけての間への上昇を想定していたが、4月18日午前高値で17日深夜高値と同値としたところから6.90円へ下落したため、19日午前時点では両高値をダブルトップとして弱気サイクル入りしているとし、19日夕から21日夕にかけての間への下落を想定した。また18日午前高値を上抜く場合は強気サイクル入りとして21日午前から25日午前にかけての間への上昇を想定するとした。
4月19日夜に18日午前高値を超える一段高となったため、14日夕安値を起点とした上昇が延長入りしている可能性と、18日夜安値を直近のサイクルボトムとして既に新たな強気サイクル入りしている可能性がある。このため6.90円を割り込まないうちは20日夕から21日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では4月19日夜の上昇で遅行スパンが再び好転し、先行スパンも上抜き返しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は4月19日夜の上昇で70ポイントに到達した後も50ポイント割れへの反落から持ち直しているのでまだ上昇余地ありとみるが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は反落警戒とし、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.90円を下値支持線、6.96円を上値抵抗線とする。
(2)6.92円以上での推移中は一段高余地ありとし、6.96円超えからは6.98円、7.00円を順次試す上昇を想定する。6.99円以上は反落警戒とするが、6.93円以上での推移なら21日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.92円割れからは弱気転換注意とし、6.90円割れからは下落期入りとみて6.88円、6.85円を順次試す下落を想定する。6.87円以下は反騰注意とするが、6.90円を割り込んでの推移なら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
4月20日
18:00 週次 外貨準備高 4月14日時点 グロス(4月7日時点 684.9億ドル)
18:00 週次 外貨準備高 4月14日時点 ネット(4月7日時点 137.7億ドル)
23:30 3月 中央政府債務 (2月 421.1億リラ)
4月24日
16:00 4月 製造業信頼感指数 (3月 105.2)
16:00 4月 設備稼働率
4月27日
16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 98.8)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.5%)
20:30 週次 外貨準備高 4月21日時点
注:ポイント要約は編集部
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