ドル円 底堅いもののイースター前で流動性低下に注意(週報4月第1週)

先週のドル円は、期末に向けて円売り実需と上昇する株式市場を見てのリスクオンの動きが重なりました。

ドル円 底堅いもののイースター前で流動性低下に注意(週報4月第1週)

底堅いもののイースター前で流動性低下に注意

〇先週のドル円、週初の130円台半ばから週末の133円台半ばへと上昇を見た期末相場
〇130円の大台はやや遠いが、しばらくは大台がサポートになる流れ
〇サウジアラビアが5月からの減産を発表、インフレ減速ペース遅らせる要因となりドル買い材料に
〇今週の米国雇用統計、コンセンサスは失業率3.6%、NFP+21.5万人、予想外の数字なら荒れる可能性も
〇今週は原油価格と引き続き米金利を見ながらの円相場になりそう
〇今週は131.90レベルをサポートに、134.10レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

先週のドル円は、期末に向けて円売り実需と上昇する株式市場を見てのリスクオンの動きが重なり、週初の130円台半ばから週末の133円台半ばへと上昇を見た期末相場となりました。130円の大台はやや遠くなった感はありますが、しばらくは大台がサポートになる流れとなりそうです。

週末にはサウジアラビアが5月からの減産をサプライズで発表し、OPECプラスとともに115万バレルの減産が発表されました。突然の減産発表に週明けの原油相場はギャップアップして始まりましたが、昨年高値から下げが続いてきたことで、原油価格の下支えに動いたようです。ただこのことがインフレの減速ペースを遅らせる要因となり、米金利先高観につながるため、その点ではドル買い材料となるのですが、果たして減産による原油高がこのまま続くのかとなると不透明です。

主要国の景気後退懸念は根強く、少なくとも景気減速が続く状況では原油の需要も減少し、減産でバランスが取れる程度にしかならない可能性もありますし、化石燃料からのシフトは着実に続いていることを考えると長期的なトレンドが原油高にあるとも思えません。来月になってみないとわからない面はありますが、長期材料というよりも短期材料と見ていた方がよいかもしれません。

そして今週は月初ということで米国雇用統計がありますが、コンセンサスは失業率が3.6%、NFPは+21.5万人となっています。今回は予想レンジ+20〜22.5万人と狭くサプライズは無いと思いますが、今週の金曜はグッドフライデーとなり東京以外の主要市場は休場です。イースターマンデーと合わせ欧州は4連休となりますし、クリスマス並みに流動性が低下する時期となるため、予想外の数字が出る時は荒れる可能性が高く要注意です。

他には連日経済指標や発言はあるものの、大きく流れを変えるようなイベントではありませんので、今週は原油価格と引き続き米金利を見ながらの円相場ということになりそうです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

古いラインは全て消し昨年高値からのレジスタンスラインと年初来安値からのサポートライン(どちらもピンクのライン)のみを引いてあります。年初来安値と3月高値の押しがほぼ78.6%(61.8%の平方根)押しで終わり、現在は3月高値と3月安値との戻しがどこまでなのかを探っている段階です。半値戻しが133.76、61.8%戻しが134.74となっていて、まずは前者で上値を抑えられやすいと考えられますが、OPECプラスの余波がどの程度なのかはもう少し状況を見る必要があるでしょう。

ただ、大きな流れはまだドル安の流れにあり、134円よりも上の水準では戻り売りも出てくると考えています。いっぽうで下値については今週に関しては132円割れでは買い戻しが入りやすそうですから、今週は131.90レベルをサポートに、134.10レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

4月3日(月)
**:** 豪州・NZ冬時間スタート ☆
08:50 日銀短観 ☆
10:30 豪州2月住宅建設許可
10:45 中国3月MarkIt製造業PMI ☆
16:00 トルコ3月CPI、製造業PMI
16:50 フランス3月製造業PMI
16:55 ドイツ3月製造業PMI
17:00 ユーロ圏3月製造業PMI
17:30 英国3月製造業PMI
22:45 米国3月製造業PMI
23:00 米国3月ISM製造業景況指数 ☆
23:00 米国2月建設支出
29:15 クックFRB理事講演 ☆

4月4日(火)
13:30 豪中銀政策金利発表 ☆
15:00 ドイツ2月貿易収支
18:00 ユーロ圏2月PPI ☆
23:00 米国2月製造業新規受注

4月5日(水)
**:** 香港、中国市場休場
07:15 (クリーブランド連銀総裁講演)
11:00 NZ中銀政策金利発表 ☆
11:30 豪中銀総裁講演 ☆
15:00 ドイツ2月製造業新規受注
15:45 フランス2月鉱工業生産
15:50 フランス3月サービス業PMI

16:55 ドイツ3月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏3月サービス業PMI
17:30 英国3月サービス業PMI
21:15 米国3月ADP全国雇用者数 ☆
21:30 米国2月貿易収支
22:45 米国3月サービス業PMI
23:00 米国3月ISM非製造業景況指数 ☆
23:30 週間原油在庫統計

4月6日(木)
10:30 豪州2月貿易収支
10:45 中国3月MarkItサービス業PMI ☆
15:00 ドイツ2月鉱工業生産
17:30 英国3月建設業PMI
20:30 米国3月チャレンジャー人員削減数
21:30 米国新規失業保険申請数
23:00 (セントルイス連銀総裁講演)

4月7日(金)
**:** グッドフライデー(東京を除く主要市場休場)☆
15:45 フランス2月貿易収支
21:30 米国3月雇用統計 ☆

4月9日(日)
 **:** 植田日銀新総裁就任

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月27日(月)
週明けのドル円はリスクオフの巻き返しが終日続きました。ファーストシチズンズによるシリコンバレー銀行買収も好材料とされました。バランスシートの良い銀行が悪い銀行を買収することで今回の金融危機不安を収束に向かわせようとしているものの、欧米の高金利状態は今後も続くことを考えるとまだ油断はできないスタートとなりました。

3月28日(火)
ドル円は東京朝方こそ米金利低下とともにドル売りが先行していましたが、仲値以降は上下ともに限定的な動きとなり、130円台後半を中心として方向感がはっきりしない値動きがNYクローズまで続きました。

3月29日(水)
ドル円は東京前場から底堅い動きを示し株価上昇の動きとともに円安が進みました。期末に向けて円売り実需も出ていたようですが、金融機関に対する不安が落ち着いてきたことによるリスクオフの巻き返しが終日続きました。NY市場では132.89レベルまで水準を切り上げ高値引けとなりました。

3月30日(木)
ドル円は前日高値を一時的に抜ける場面も見られましたが、積極的な取引は手控えられ132円台半ばから後半でのもみあいに終始し、値幅も77銭とドル円にしては比較的穏やかな動きの1日となりました。

3月31日(金)
東京市場のドル円は仲値に向けて買いが入り133.50レベルの高値をつけて以降は利食いも出て反落、後場には朝方の水準へと押していましたが、押し目買いも根強く欧州市場序盤には133.59レベルと高値を更新しました。しかし、133円台半ばから上の水準にはドル売りオーダーも残っていて、その後はNY引けまでじり安の動きとなり、再び東京朝方の水準に押して引けました。

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