ドル円 ドル上値重そう、米金融政策の行方は如何に(週報4月第1週)

先週のドル/円相場はドルが反発。とくに週末にかけて上げ幅を拡大、一時は133.60円と2週間ぶりの高値を示現している。

ドル円 ドル上値重そう、米金融政策の行方は如何に(週報4月第1週)

ドル上値重そう、米金融政策の行方は如何に

〇先週のドル円、週末には2週間ぶり高値133.60を示現するも調整等に押され132.80-85まで軟化し越週
〇今週は、3月ISM製造業景況指数や雇用統計など重要な米経済指標が発表予定
〇週末7日は英・欧・豪・加など多くの市場が休場。薄商いの中、荒っぽい変動をたどる可能性も
〇ドル高円安方向、133.60をめぐる攻防に注目。抜ければ134円前後、134円後半から135円を順次試す
〇ドル安円高方向、132円前半が最初のサポート、下回ると131円半ばや先週安値130.41がターゲット
〇今週のドル/円予想レンジは、131.00-135.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが反発。とくに週末にかけて上げ幅を拡大、一時は133.60円と2週間ぶりの高値を示現している。

前週末には、ロシアの国営放送でプーチン大統領が「戦術核配備でベラルーシと合意」と発言し物議を醸す。また、台湾が中国と国交を樹立した中米ホンジュラスと断交を明らかにしたことも思惑を呼んでいた。
そうした状況下、ドル/円は130.50-55円で寄り付いたのち、しばらくは冴えない。131円を挟んだ上下60ポイントほどの往来相場をたどったが、上抜けるとその後は緩やかな右肩上がり。133円手前で一旦上げ止まるも、週末にかけてブレークし、週末には一時高値133.60円を示現した。ただ、週末NYは調整などに押され133円台を維持できず、132.80-85円まで軟化し越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、週間を通して発表された米経済指標はまだら模様。3月28日に発表された3月の米消費者信頼感指数などは予想を上回る結果になった反面、1-3月期のGDP統計確報や週間ベースの新規失業保険申請件数は逆に悪化していた。それを受けた米要人の発言は原則として追加利上げを支持する内容が多かったものの、同時に「信用のひっ迫が追加利上げの必要性を相殺する」(ボストン連銀総裁)可能性にも言及したり、「0.5%の利上げ選択肢は除外された」(リッチモンド連銀総裁)との発言が聞かれたりと、一時期よりもかなりトーンダウンしていた。

対して後者は、大きく2つの要因が思惑を呼ぶ。ひとつは前述したプーチン氏の発言「戦術核配備でベラルーシと合意」で、NATO報道官から「戦術核配備計画は危険で無責任」と批判されるなど、日米欧から強い反発が観測されていた。なお、そののち実施された国連安保理の緊急会合は、米露による非難の応酬となったがロシアは終始「正当性」を主張していたようだ。一方、それとは別に、米国務省がロシアとの核軍縮条約に基づく一部の情報提供を停止すると明らかにしたことへの報復とみられる措置として、ロシアが「米国との核軍縮条約に基づくミサイル発射実験の事前通告を停止する」と発表したことも思惑を呼ぶ。また欧米諸国へのけん制もあり、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ヤルス」の運用訓練を含む軍事演習を開始したとの発表もあったもよう。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は最終盤調整売りに押されたものの、一時2週間ぶりの高値を示現するなどドルが堅調裡。ただ、テクニカルにはなかなか微妙な様相で、移動平均では21日線や90日線をザラ場ベースで超えたものの、週末NYクローズベースでは超えられず。また一目均衡表も同様で先行帯の雲をキチンと上抜けることは出来なかった。むしろ、後者である一目の場合、雲の上限と下限が入れ替わる「捻じれ」が発生したうえ、新たな上限が今後135円方向へと上値を拡大させる見通しだ。ドルの上値が重い状況がしばらく続くのかもしれない。
3月27日に米地銀ファースト・シチズンズが破綻したSVB買収で合意したと伝えられたことなどもあり、金融システム不安の後退は顕著。その一端は、SVB破綻前のレベルまで下落してきた「恐怖指数」とも言われるVIX指数でみることが出来る。油断は禁物ながら、そのため市場では米金利の先高観が復活、発表される米経済指標や要人発言などへの関心も高まっているようだ。なお、それとは別に名実ともに4月相場入りすることでの需給要因の変化などにも要注意。

テクニカルに見た場合、ドル/円のリスクを指摘すれば、基本ドル高方向。しかし、先でも取り上げたように移動平均や一目均衡表で見たテクニカルポイントの多くを「しっかり」と超えられなかったところが気掛かり。ドルの上値が重いことは改めて指摘するまでもなく、今後も移動平均の21日線などに上値を阻まれるなら、一転してドル売りに傾斜する可能性もないとは言い切れない。逆にドルの一段高が進行するなら、ターゲットは134円後半から135円となる。

そうしたなか今週は、3月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった非常に重要な米経済指標が発表される予定となっている。とくに後者、雇用統計の発表される週末7日は英国や欧州、豪州、カナダなど多くの市場が休場となるだけに数値如何では薄商いのなかかなり荒っぽい変動をたどる可能性もありそうだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、131.00-135.00円。ドル高・円安については、先週高値の133.60円をめぐる攻防にまずは注目。抜ければ134円前後、そして134円後半から135円などを目指す。
対してドル安・円高方向は、132円前半が最初のサポート。下回ると131円半ばや先週安値130.41円などがターゲットとなる。

ドル上値重そう、米金融政策の行方は如何に

ドル円日足


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