トルコリラ円見通し 1月16日と3月24日のダブル底を活かせるか試される(23/4/3)

トルコリラ円の3月31日は概ね6.96円から6.91円の取引レンジ、4月1日早朝の終値は6.92円で前日終値と変わらずだった。

トルコリラ円見通し 1月16日と3月24日のダブル底を活かせるか試される(23/4/3)

1月16日と3月24日のダブル底を活かせるか試される

〇トルコリラ円、3/31は概ね6.96から6.91の取引レンジ
〇ドルストレートでのドル安一服がドル円及びトルコリラ円にはプラス要因
〇対ドルではベンダーによっては19.40台の安値提示も発生、1ドル20リラ台も近い印象
〇31日トルコ統計局発表の2月貿易収支は120.8億ドルの赤字、高水準維持
〇4/3にトルコCPI発表、鈍化見込みだが主要国と比較すれば異常な高水準
〇6.89以上を維持するうちは7円台へ上昇の可能性あり、7円台到達では売られやすい
〇6.89割れからは戻り一巡による下落再開と仮定し6.85前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の3月31日は概ね6.96円から6.91円の取引レンジ、4月1日早朝の終値は6.92円で前日終値と変わらずだった。週間では3月24日終値の6.86円から0.06円の円安リラ高だった。
ドル高リラ安基調を気にしつつもトルコリラ円はドル円の動きに合わせた動きを続けている。
ドル円は3月10日の米銀破綻から24日のドイツ銀株暴落まで続いた金融機関破綻連鎖への不安感が落ち着いて24日安値129.63円から反騰入りとなり、3月31日夕高値で133.57円を付けた。1日早朝にかけての反落で132.60円まで下げたものの4月3日午前序盤は133円台を回復している。
トルコリラ円はドル円の下落局面に合わせて3月24日に6.74円まで下げたものの1月16日安値と同値にとどまり、ドル円の反騰入りに合わせて31日夕刻には6.96円の高値を付けた。1日早朝に6.91円へ小反落したものの3日午前序盤は6.95円近辺へ戻している。
リスク選好感の回復でユーロやポンド、豪ドル等が上昇してきたが、31日午前からはそろって下落しており、ドルストレートでのドル安が一服していることがドル円及びトルコリラ円にはプラス要因となっている。

【対ドルでは最安値近辺での推移続く】

ドル/トルコリラの3月31日は概ね19.21リラから19.00リラの取引レンジ、4月1日早朝の終値は19.16リラで前日終値の19.17リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
週間では3月24日終値19.05リラからは0.11リラのドル高リラ安だった。
中長期的なリラ安基調が続く中、2月6日のトルコ南部大地震、2月23日のトルコ中銀による利下げ、経常赤字や財政赤字の拡大、5月14日のトルコ大統領選挙へ向けた先行き不透明感等がリラ安を徐々に勢い付かせており、手元のデータでは先週は3月24日に19.25リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、終値へースでは3月30日終値で19.17リラを付けて終値ベースの最安値を更新した。ベンダーによっては19.40リラ台の安値提示も発生しているが、1ドル20リラ台も近づいてきた印象だ。
4月3日午前序盤は19.22リラから19.18リラにかけての水準で推移している。

【大幅な貿易赤字続く】

【大幅な貿易赤字続く】

3月31日にトルコ統計局が発表した2月の貿易収支は120.8億ドルの赤字となり、1月に記録した過去最大赤字の142.5億ドルからは減少したものの高水準を維持している。
2月の輸出は前年同月比6.4%減の186.35億ドルで、前年同月比のマイナスは2020年11月の0.9%減以来、前月比では2022年12月の229.11億ドルからは2か月連続の減少となった。
輸入は307.14億ドルで前年同月比は10.1%増だったが1月の336.06億ドルから減少、前年同月比としては2021年2月の9.4%増以来の低水準となった。
世界的なインフレの進行に加えて対ドルでのリラ最安値更新が続く中、輸入は今年1月の336.06億ドルが過去最大だったが、2月6日のトルコ南部大地震の影響もあって減速した。しかし構造的な赤字は悪化傾向のままであり、昨年後半からトルコのGDPが大幅に鈍化したことや大地震の影響を踏まえれば貿易赤字が高水準でしばらく続くのではないかと思われる。観光収入や海外からの投資である程度補われるとしても経常収支の悪化傾向も続き、財政赤字の拡大も続けばトルコの財政・経済政策のかじ取りも厳しくなると懸念される。

【インフレの高止まり】

4月3日16時にトルコの消費者物価指数等の発表がある。
3月のトルコCPI上昇率についての事前予想中心値は前月比2.85%で2月の3.15%からやや鈍化すると見込まれているが、予想レンジは2.00%から3.85%と幅広い。前年同期比の予想中心値は51.33%、予想レンジは50.09%から52.80%で2月の55.18%から若干低下すると見込まれており、2022年10月の85.51%をピークとした鈍化基調が続くとみられるが、それでも主要国と比較すれば異常な高水準にある。
昨年10月から伸びが鈍化していることは欧米のインフレ率がピークを付けて鈍化傾向にあることを反映しているがいずれもまだ高止まりであり、リラ安の進行による輸入インフレ圧力と、大地震の影響によるトルコ国内での人手と物不足によるインフレ圧力が今後は顕在化してくることも考えられる。

【ダブル底からの反騰へ進めるか試される】

トルコリラ円は高インフレ進行中の4会合連続利下げによるリラ売りで2021年12月20日に6.17円の史上最安値を付け、リラ預金の為替差損を財務省が補填するとの奇策により同年12月23日高値11.15円へ一時的に急伸したところから再び長期の下落基調に入った。
今年1月16日にドル高リラ安基調の中でドル円が昨年10月21日高値以降の最安値へ下落したところで6.74円を付け、3月8日高値で7.29円まで戻したものの信用不安による円高で3月24日に1月16日安値と同値まで下げ、その後はやや戻しているところだ。
7円台回復から高値をさらに切り上げ始めれば1月16日と3月24日の両安値をダブル底とした上昇再開感が高まる可能性もあるが、3月8日からの下落規模は昨年の4月28日高値から8月2日安値までの凡そ3か月の下落時や、10月21日高値から今年1月16日安値までの同じく凡そ3か月の下落時の序盤に近い印象であり、7円に届かないか一時的に7円台を付けても維持できない程度にとどまるなら、ダブル底を維持できずに一段安へと向かいかねないと警戒する。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

(1)当面、6.89円を下値支持線、6.96円を上値抵抗線とする。
(2)現状は3月24日安値からの反騰基調の範囲で6.90円以上を維持しているところのため、6.89円以上を維持するうちはこの間の高値6.96円を超えて7円台へ上昇する可能性ありとみるが、7円台到達では売られやすいと注意する。
(3)6.89円割れからは戻り一巡による下落再開と仮定して6.85円前後への下落を想定し、下げ足が速まる場合は6.80円台序盤(6.82円から6.80円)を試す流れへ進みやすくなるのではないかと考える。

【当面の主な予定】

4月3日
 16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.1) 
 16:00 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 3.15%、予想 2.85%)
 16:00 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 55.18%、予想 51.33%)
 16:00 2月 消費者物価コア指数 前月比 (2月 2.1%)
 16:00 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 50.6)
 16:00 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 1.56%)
 16:00 3月 生産者物価指数 前年同月比 (2月 76.61%)
4月6日
 20:30 週次 外貨準備高 3月31日時点 グロス(3月24日時点 713.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月31日時点 ネット(3月24日時点 189.3億ドル)
4月10日
 16:00 2月 失業率 (1月 9.7%)
 16:00 2月 経常収支 (1月 -98.49億ドル)

注:ポイント要約は編集部

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