ドル円 米金利とともにドル円も続落しやすい(週報11月第4週)

先週のドル円は、週初はドル買いが先行し142.25レベルの高値をつけました。

ドル円 米金利とともにドル円も続落しやすい(週報11月第4週)

米金利とともにドル円も続落しやすい

〇先週のドル円、週初はドル買いが先行し142.25レベルの高値つける
〇しかし11/10の戻り高値(142.48レベル)を抜けられず、その後の下げを加速させやすい要因に
〇米国10年債利回りは週初の3.84%台から週末には3.65%台まで低下
〇今週水曜公表のベージュブック、木曜発表の10月米個人消費支出は要チェック
〇今週は136.80レベルをサポートに、139.80レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通し

先週のドル円は、日米が休場となることもあって週を通して入ってくるオーダーが薄く、思った以上に動いたという印象です。週初はドル買いが先行し142.25レベルの高値をつけましたが、142円台前半というのは10日に米国CPIで下げた後の戻り高値(142.48レベル)が視野に入り、同水準を抜けられるか否かで今後の方向性を決めるであろうテクニカルには重要な水準でしたが結果としては抜けられず、その後の下げを加速させやすい要因になったと見られます。

先週も基本的には米金利の動きに沿った動きとなりましたが、12月FOMC以降の政策金利の上げ幅がペースダウンするであろうことから、米国10年債利回りも週初の3.84%台から週末には3.65%台まで低下し、10月5日以来の低い水準を見ましたが、米国10年債利回りのチャートもテクニカルに反転パターンを形成し、更なる低下を見せてもおかしくないというチャートとなっていますので、参考までに日足チャートを載せておきます。

米金利とともにドル円も続落しやすい

ヘッド&ショルダー状の反転パターンで、現状は10月最も低かった3.5%台をターゲットとしやすく、もし同水準を下抜けると一段と低下しやすい流れです。今後利上げペースが鈍化すると言っても長短金利の逆転が更に拡大することとなり、着実にリセッションが近づいている合図にも見え気になるところです。

今週はファンダメンタル面では多くの経済指標と中銀関係者の発言が続きますが、その中でも最も気になるのは木曜発表の米国個人消費支出でしょうか。雇用統計も出ますが、既に完全雇用状態ですから今後の景気見通しに影響が大きいという点で10月の個人消費支出はチェックしておきたい数字です。またベージュブックが水曜に公表されますので、各地区連銀の景気模様がどのように示されるのか、引き続き今後の利上げペースを判断する類の経済指標が重要です。

テクニカルにはいつもの日足チャートを見て行きましょう。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

引き続き8月安値と10月高値の61.8%押しの水準がサポートとなっていますが、直近の動きで142円台前半で下げに転じてきていることを考えると次に下げるとすると、10月末高値を起点にPPI安値までの下げ、その後の先週月曜までの戻しを3点とする逆N波動を考えることができます。

この場合の50%エクスパンションが136.63、61.8%エクスパンションが135.32となっていて、次にPPI後の安値をトライすれば前者の136円台半ばをターゲットとする流れになると見てよさそうです。いっぽう上値については140円の大台が重くなってきているため139円台後半がレジスタンスとなってきます。

今週はこれらを参考に136.80レベルをサポートに、139.80レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月28日(月)
09:30 豪州10月小売売上高
17:00 オランダ中銀総裁講演
23:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
26:00 NY連銀総裁講演、セントルイス連銀総裁講演
26:10 ドイツ連銀総裁講演

11月29日(火)
08:30 本邦10月失業率・有効求人倍率
16:00 トルコ10月貿易収支
18:30 南ア10月PPI、失業率
19:00 ユーロ圏11月消費者信頼感 ☆
22:00 ドイツ11月CPI速報値 ☆
23:00 米国9月住宅価格、ケースシラー住宅価格
24:00 米国11月消費者信頼感 ☆
30:45 NZ10月住宅建築許可

11月30日(水)
09:00 NZ11月企業信頼感
09:30 豪州10月住宅建築許可
10:30 中国11月製造業PMI ☆
16:00 トルコ7〜9月期GDP
16:45 フランス11月CPI速報値 ☆
16:45 フランス10月PPI ☆
17:55 ドイツ11月失業率
19:00 ユーロ圏11月CPI速報値 ☆
19:00 本邦10月介入実績公表
21:00 南ア10月貿易収支
22:15 米国11月ADP全国雇用者数
22:30 米国7〜9月期GDP改定値 ☆
22:30 米国10月卸売在庫
23:45 米国11月シカゴ購買部協会景況指数
24:30 週間原油在庫統計
27:30 パウエルFRB議長講演 ☆
28:00 ベージュブック ☆

12月1日(木)
09:30 豪州7〜9月期民間設備投資
10:45 中国11月MarkIt製造業PMI ☆
16:00 トルコ11月製造業PMI
17:50 フランス11月製造業PMI
17:55 ドイツ11月製造業PMI
18:00 ユーロ圏11月製造業PMI
18:30 英国11月製造業PMI
19:00 ユーロ圏10月失業率
21:30 米国11月チャレンジャー人員削減数
22:30 米国10月個人所得・消費支出 ☆
22:30 米国新規失業保険申請数
23:25 (ダラス連銀総裁講演)
23:45 米国11月製造業PMI
24:00 米国11月ISM製造業景況指数 ☆
24:00 米国10月建設支出

12月2日(金)
11:40 ラガルドECB総裁講演 ☆
16:00 ドイツ10月貿易収支、輸入物価
19:00 ユーロ圏10月PPI ☆
21:00 デギンドスECB副総裁講演☆
22:30 米国11月雇用統計 ☆
24:15 (シカゴ連銀総裁講演)

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時NY~午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月21日(月)
週明けのドル円は東京前場こそ前週末終値近辺でのもみあいが継続していましたが、後場以降はじり高となり欧州市場前場は米金利上昇の動きも手伝ってドル買いが加速、NY朝方には142円台に乗せました。その後米金利は急速に低下後に再上昇と行って来いの動きを示す中、ドル円はやや下押し後に買い戻され142.25レベルの高値をつけ、そのまま高値圏での引けとなりました。

11月22/23日(火/水)
22日のドル円は東京市場では前日のドル買いに対して調整のドル売りが進みました。その後22日の海外市場から東京が休場となった23日のNY市場までは141円台前半の狭いレンジでのもみあいが続きました。NY市場では目立った材料が無い中で米国の利上げペース鈍化の思惑から米金利が低下、市場参加者が減少していることも手伝ってストップオーダーがドル円を139円台前半まで下押しさせる動きを見ました。

11月24日(木)
ドル円は前日NY市場のドル売りの流れを受けてドル売りが先行、後場には若干の買い戻しも見られましたが、欧州市場前場にはドル売り再開となり138.04レベルの安値をつけました。その後は米国が感謝祭で休場となることもあって、138円台半ばまで緩やかなポジション調整が入っての引けとなりました。

11月25日(金)
ドル円は東京市場では動意薄の展開が続きましたが、欧州市場に入り米金利が上昇する動きとともにドル買いの動きとなり、139.60レベルの高値をつけました。しかし、米国が短縮取引となるなど参加者も少なく引けにかけては買われる前の水準へと押して引けました。

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