トルコリラ円見通し 11月15日夜安値割れをひとまず回避、底割れなら10月21日から三段下げに(22/11/28)

トルコリラ円の11月25日は7.49円から7.43円の取引レンジ、26日早朝の終値は7.48円で前日終値の7.44円からは0.04円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 11月15日夜安値割れをひとまず回避、底割れなら10月21日から三段下げに(22/11/28)

11月15日夜安値割れをひとまず回避、底割れなら10月21日から三段下げに

〇トルコリラ円、ドル円の流れに合わせ25日夜に買い戻し優勢の流れで7.49へ上昇
〇26日未明に7.45まで反落したものの取引終了間際に7.48まで戻し週を終える
〇対ドルでは18.50前後の高値を売られ18.60台の安値は買い拾われる展開続く
〇カタールがトルコ向けに最大100億ドルの支援を協議、実現ならトルコの外貨準備増強等に寄与
〇7.45を上回るうちは上昇余地あり、7.51超えからは7.53前後を目指す上昇を想定
〇7.45割れからは下げ再開と仮定し7.40前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の11月25日は7.49円から7.43円の取引レンジ、26日早朝の終値は7.48円で前日終値の7.44円からは0.04円の円安リラ高だった。
11月24日未明の米FOMC議事録公開を挟んだドル全面安によるドル円の急落でトルコリラ円は11月22日午前高値7.64円から下落に転じ、24日夜にドル円が138円を試した局面で7.41円の安値を付けて11月15日夜安値7.40円に迫った。ドル円が138円割れを回避して25日夜に139.59円まで戻したためにトルコリラ円も買い戻し優勢の流れで7.49円へ上昇し、26日未明に7.45円まで反落したものの取引終了間際に7.48円まで戻して週を終えた。
週間では11月18日終値の7.52円からは0.04円の円高リラ安だった。

【対ドルは中銀の利下げ後も最安値近辺で冷静な動き続く】

ドル/トルコリラの11月25日は18.65リラから18.56リラの取引レンジ、26日早朝の終値は18.59リラで前日終値の18.60リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
週間では11月18日終値の18.59リラと変わらず。
日足は18.50リラ前後の高値を売られて18.60リラ台の安値は買い拾われる展開が続いている。
終値ベースの25日移動平均で見れば10月31日の18.55リラから11月25日の18.58リラへとわずかに上昇しているものの18.60リラ台の安値は繰り返し買われてリラ安の加速が抑え込まれている印象だ。
為替市場全般は、11月3日未明の米FOMCを通過した後の11月3日夜から当面のドル買い材料一巡としてドル安へと流れが変わり、11月15日夜以降はそのドル安も一服したもののユーロやポンド等は11月10日夜の米CPI発表をきっかけとした急伸後も高値圏を維持している。全般的なドル安基調はトルコリラにも下支え要因だが、米国の超ハイペースでの利上げが減速してもECBや英中銀及び主要新興国の利上げと金融引き締めは続くため、高インフレ下で連続利下げしてきたトルコリラへの先安感は解消していないと思われる。

【カタールによるトルコ金融支援、最大100億ドル】

11月25日、カタールがトルコ向けに最大100億ドルの支援を協議していると報じられた。報道によると協議は大詰めで年内に最大30億ドルの支援が決定される可能性があるという。カタールによる支援は通貨スワップ協定の拡大やユーロボンドの供与等で行われる可能性があるとされ、支援が実現すればトルコの外貨準備増強等に寄与するものになるとされる。エルドアン大統領は友好国の支援が外貨準備を増強してリラを強くするとこれまでも期待を込めて述べてきたが、カタールの支援により一歩前進することになる。
トルコは中国、UAE、カタール、韓国と通貨スワップ協定を締結しており総額は280億ドル規模とされているが、カタールは2020年にトルコとの通貨スワップ協定枠を従来の50億ドルから150億ドルへ拡大している。またサウジやロシア、エジプトやイスラエル等との関係改善を積極的に行っている。

11月15日夜安値割れをひとまず回避、底割れなら10月21日から三段下げに

11月24日夜発表の週次外貨準備高は11/18時点のグロスで800.3億ドルとなり前週の766.2億ドルから増加、ネットでは187.5億ドルとなり前週の182.3億ドルから増加した。最近の増加傾向については友好国との通貨スワップ協定による積み上げ、ロシアのトルコへの投資、国内企業に対する外貨保有と融資規制による保有外貨売りとリラ預金への転換、リラ安により割安感が強まっているトルコ不動産への海外勢の購入等が寄与していると思われる。ただし、トルコ中銀がリラ安防衛のために金融機関とのスワップ取引で外貨売りリラ買いポジション(11月23日時点で429.2億ドルと推定されている)を持っていることを踏まえれば、実質的な外貨準備高はマイナス勘定とされる。

【ドル円と共に10月21日高値からの三段下げへ進むか試される】

トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた展開だが、8月2日安値7.27円を起点とした上昇が10月21日高値8.17円で一巡して下落に転じており、10月27日安値7.77円までを一段目の下げとし、その後を三角持ち合いの様相で下げ渋っていたものの11月10日夜の米CPI上昇率の伸びが鈍化したことによる「逆CPIショック」をきっかけとして一段安に入り11月15日には安値を7.40円まで切り下げた。11月22日に7.64円まで戻してからの反落で11月24日には7.41円まで下げたが底割れはひとまず回避している。

10月21日高値から二段下げの後に底割れへの余裕が乏しい状況はドル円と同じであり、ドル円も11月15日夜安値137.67円に対して11月24日安値138.04円まで下げたところでは底割れをひとまず回避している。
ドル円が11月15日安値を割り込めば、10月21日高値からの下落は三段目の下げに入り、2021年1月底以降では最大の下落規模に発展して先安感も強まりかねず、トルコリラ円もドル円と一蓮托生で三段目の下げに入り、8月2日安値7.27円試しへ向かい、さらに8月2日安値も割り込んで安値試しがしばらく続く展開となりかねないところだ。トルコリラ円の反騰入りにとってもドル円の踏ん張りが必要であり、今週末の米雇用統計へ向けて重要指標の発表が続く中で底割れ回避で踏みとどまれるか、底割れから崩れるのか試される重要局面と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月22日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして24日夕刻から週明けにかけての間への下落を想定していたが、11月24日夜へ一段安してから反騰入りしたために25日午前時点では24日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして25日午前から29日午前にかけの間への上昇を想定した。
11月28日午前序盤も戻り高値を切り上げているのでまだ上昇途中とみるが、7.45円割れからは弱気サイクル入りと仮定して29日夜から12月1日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月24日夜安値からの反発で遅行スパンが好転し、先行スパンの上限を試している。遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上抜けるところからは上昇が勢い付く可能性もあるとみるが、先行スパンを上抜けないうちは先行スパンからの転落による下げ再開を警戒し、先行スパン転落からは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11月23日夜から24日夜にかけての安値更新に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて上昇に転じて60ポイント台まで戻し、その後も50ポイント割れを切り返しているのでまだ上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.45円を下値支持線、7.51円を上値抵抗線とする。
(2)7.45円を上回るうちは上昇余地ありとし、7.51円超えからは7.53円前後を目指す上昇を想定する。7.53円前後は反落警戒とするが、7.45円を上回っての推移なら29日も高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)7.45円割れからは下げ再開と仮定して7.40円前後への下落を想定する。7.41円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、7.45円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月29日
 16:00 10月 貿易収支 (9月 -96.0億ドル)
 16:00 11月 経済信頼感指数 (10月 97.1)
11月30日
 16:00 7-9月 GDP 前期比 (4-6月 2.1%)
 16:00 7-9月 GDP 前年同期比 (4-6月 7.6%)
12月1日
 16:00 11月 イスタンブール製造業PMI (10月 46.4)
 20:30 週次 外貨準備高 11/25時点 グロス (11/18時点 800.3億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 11/25時点 ネット (11/18時点 187.5億ドル)
12月5日
 16:00 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 3.54%)
 16:00 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 85.51%)
 16:00 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 7.83%)
 16:00 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 157.69%)

注:ポイント要約は編集部

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