『トルコ中銀の追加利下げでリラ売り再開。年初来安値が射程圏内』
〇今週のトルコ円、週初7.64まで上昇後週後半にかけ7.41まで反落、やや戻して越週
〇ドル円での円高、トルコ指標不冴え、シリアのクルド系武装組織との戦闘、中銀利下げが重石
〇安値圏での一進一退続くが、テクニカルの地合いは弱い
〇ファンダメンタルズも24年ぶり高インフレ下での4会合連続利下げ実施等売り材料多い
〇引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.30ー7.60
今週のレビュー(11/21−11/25)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.53円で寄り付いた後、(1)ドル円相場の急伸(トルコリラ円相場の連れ高)が支援材料となり、翌11/22にかけて、週間高値7.64円まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲下限をバックに伸び悩むと、(2)ドル円相場急落に伴うトルコリラ円相場の連れ安(上記1の逆流)や、(3)トルコ11月設備稼働率(結果75.9%、前回76.9%)の冴えない結果、(4)トルコ11月景気動向指数(結果101.3、前回102.0)の冴えない結果、(5)トルコ中銀による150bpの追加利下げ実施(トルコの政策金利は10.50%から9.50%へ)、(6)上記5を背景とした実質金利の更なる低下、
(7)トルコとシリア北部クルド系武装勢力を巡る地政学的リスクが重石となり、週後半にかけて、週間安値7.41円まで反落しました。週末にかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/26午前3時00分現在)では、7.46円前後で推移しております。尚、今週はサウジアラビアがトルコ中銀に50億ドルの預金を置くことについて最終的な話し合いを行っているとのポジティブ報道や、カタールがトルコに対して最大100億ドルの支援を行うことを検討しているとのポジティブ報道が相次いで見られましたが、トルコリラ相場への影響は限定的となりました。
来週の見通し(11/28−12/2)
トルコリラの対円相場は、10/21に記録した約4ヵ月ぶり高値8.17円をトップに反落に転じると、11/15に約3ヵ月ぶり安値となる7.39円(8/16以来の安値圏)まで下落しました。今週は一時的に持ち直す場面も見られましたが、週末にかけて7.41円前後まで反落するなど、安値圏での一進一退が続いています。ローソク足が主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線、一目均衡表雲上限および雲下限)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー(※11/24に21日線と90日線のデッドクロスが実現→弱気のパーフェクトオーダー完成)」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(リスクはダウンサイド)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ中銀による連続・大幅利下げに端を発した実質金利の急低下(トルコ中銀はエルドアン大統領の圧力に屈する形で、国内CPIが約24年ぶり高水準を記録しているにも係わらず、4会合連続で大幅利下げを決定)や、(2)トルコ・欧米間の関係悪化懸念(エルドアン大統領とプーチン大統領の急接近に対する警戒感に加えて、クルド系武装勢力によるトルコでのテロ行為に端を発したNATOやトルコとの関係悪化懸念)、(3)円キャリートレードの逆流リスク、(4)トルコ経済の先行き不透明感、(5)トルコ中銀の介入余力減退リスクなど、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落(8/2に記録した年初来安値7.24円を試す展開)をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/29に予定されているトルコ10月貿易収支や、11/30のトルコ第3四半期GDP、12/1のトルコ11月製造業PMIに注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.30ー7.60
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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