トルコリラ円見通し ドル円の下落を見て7.41円まで下げる、トルコ中銀利下げ終了には反応薄(22/11/25)

トルコリラ円の11月24日は7.50円から7.41円の取引レンジ、25日早朝の終値は7.44円で前日終値の7.49円からは0.05円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の下落を見て7.41円まで下げる、トルコ中銀利下げ終了には反応薄(22/11/25)

ドル円の下落を見て7.41円まで下げる、トルコ中銀利下げ終了には反応薄

〇トルコリラ円、ドル円の動きに合わせ11/24日夜7.41の安値をつけ、11/15夜安値に迫る
〇対ドル、引き続き18.60台は買われて底固く、18.50台は戻り売りにつかまる膠着状態での持ち合い相場
〇トルコ中銀、政策金利を1.5%引き下げ9.0%とする、利下げサイクル停止を決定、市場反応は薄い
〇昨日発表の外貨準備高、増加傾向を継続
〇7.43を上回るうちは上昇余地ありとし、7.47超えからは7.50を目指す上昇を想定する
〇7.43割れからは下げ再開を疑い、7.41割れからは7.38前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の11月24日は7.50円から7.41円の取引レンジ、25日早朝の終値は7.44円で前日終値の7.49円からは0.05円の円高リラ安だった。
24日20時にトルコ中銀は政策金利を9.0%へ引き下げたが市場予想通りだったことと今回で当面の利下げを終了するとの10月会合時点の声明通りの決定をしたことで市場反応は薄く、トルコリラ円はドル円の動向次第での推移を続けた。
ドル円は11月10日の米10月消費者物価上昇率が予想を下回ったことによる「逆CPIショック」をきっかけに11月15日夜の米PPI発表直後の安値137.67円まで大幅下落してからの買い戻しにより11月22日未明には142.25円まで戻したが、24日未明のFOMC議事録公開を挟んで米FRBの利上げペースが減速するとしてドル安が進行したため、ドル円は24日未明に139.15円へ下落、さらに米国市場休場となった24日夜もドル安の継続で138.04円まで安値を切り下げた。

トルコリラ円はドル円の動きに合わせて11月15日夜安値7.40円から11月22日午前に7.64円へ上昇したところで戻り一巡となり下落に転じたが、24日夜にドル円が138円を試した局面で7.41円の安値をつけて15日夜安値に迫った。安値更新は回避し、ドル円が138円割れ回避で戻した流れで25日午前序盤には7.45円超えへ持ち直している。
当面はドル円次第の動きだが、ドル円が138円を割り込む場合は下げ足の速まりがトルコリラ円にも波及しかねないと注意したい。

【対ドルでは小動き続く、トルコ中銀利下げの影響は限定的】

ドル/トルコリラの11月24日は18.65リラから18.58リラの取引レンジ、25日早朝の終値は18.60リラで前日終値の18.61リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
24日20時のトルコ中銀による利下げ決定と当面の利下げサイクルの終了宣言に対しては一時的にドル買いリラ売りが見られたものの、最近の膠着状態でのレンジ相場から抜ける動きにはならず、発表後に18.60リラから18.65リラへ下落した後は元の水準に押し戻されている。
10月以降は18.60リラ台の安値は買われて底固く、18.50リラ台の安値を試すところは戻り売りにつかまる膠着状態での持ち合い相場であり、11月4日に18.67リラの史上最安値をつけた後は新たな安値更新を回避している。
11月24日夕発表の11月トルコ製造業信頼感指数は97.9となり10月の100.3から悪化した。11月の設備稼働率は75.9%で10月の76.9%から低下した。

【トルコ中銀、政策金利を1.5%引き下げで9.0%に、利下げは終了】

トルコ中銀は11月24日のMPC(金融政策委員会)で政策金利の週間レポレートを10.5%から1.5%引き下げ9.0%とした。市場の事前予想は9.0%への利下げで一致していたため予想通りだが、高インフレが進行する中での4会合連続の利下げであり、エルドアン大統領が年末までに政策金利を一桁とすると宣言してきた意を汲んでの利下げ継続となった。政策金利の一桁台は2020年8月以来となる。
トルコ中銀は利下げ決定後の声明で「9.0%とした政策金利は適切な水準と評価しており8月からの利下げサイクルの停止を決定した」と表明した。10月会合後に同様の声明を出していたため、12月会合では追加利下げの予定がないことが濃厚となり、市場も利下げとその終了を織り込み済として冷静な反応とした。

ドル円の下落を見て7.41円まで下げる、トルコ中銀利下げ終了には反応薄

政策金利の週間レポレートは10.5%から9.0%へ引き下げられ、翌日物貸出金利は12.0%から10.5%へ、翌日物借入金利は9.0%から7.5%へ、後期流動性貸出金利は15.0%から13.5%へとそれぞれ引き下げられた。

【外貨準備高は増加傾向】

11月24日夜に発表された週次の外貨準備高は11/18時点のグロスで800.3億ドルとなり前週の766.2億ドルから増加、ネットでは187.5億ドルとなり前週の182.3億ドルから増加した。
ネットでは7月の60.7億ドルを底として増加傾向を継続しているが、グロス及びネットでの外貨準備高の持ち直しが顕著となっているのは、友好国との通貨スワップ協定による積み上げ、ロシアのトルコへの投資による増加、国内企業に対する融資規制を動機付けとした外貨保有規制により輸出企業等による保有外貨売りとリラ預金への転換が効果を発揮しているようだ。リラ安により割安感が強まっているトルコ不動産への海外勢の購入意欲の高まりも寄与していると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月17日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして17日夜から21日夜にかけての間への上昇を想定し、11月22日午前時点では7.60円割れからは弱気サイクル入りとしていたが、11月22日夜に7.60円を割り込み23日夜に急落したために24日午前時点では11月22日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして24日夕刻から週明けにかけての間への下落を想定した。
11月24日夜へ一段安してから反騰入りしているため、24日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたところと思われる。高値形成期は25日午前から29日午前にかけの間と想定し、7.43円割れからは下げ再開を警戒して24日夜安値7.41円試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして29日夜から12月1日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月24日夜安値からの反発で遅行スパンが好転しつつある。遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンの下限が抵抗となりやすいと注意し、遅行スパンがその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は11月23日夜から24日夜にかけての安値更新に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて50ポイント超えへ戻している。40ポイント以上での推移中は60ポイント台を試す上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.43円を下値支持線、7.47円を上値抵抗線とする。
(2)7.43円を上回るうちは上昇余地ありとし、7.47円超えからは7.50円を目指す上昇を想定する。7.50円手前は反落警戒とするが、7.43円を上回っての推移なら週明けも高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)7.43円割れからは下げ再開を疑い、7.41円割れからは7.38円前後への下落を想定する。7.38円以下は反騰注意とするが、7.43円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月29日
 16:00 10月 貿易収支 (9月 -96.0億ドル)
11月30日
 16:00 7-9月 GDP 前期比 (4-6月 2.1%)
 16:00 7-9月 GDP 前年同期比 (4-6月 7.6%)



注:ポイント要約は編集部

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