ドル円の急落で22日から続落、7.50円を割り込む
〇トルコリラ円、ドル円の急落に合わせ24日未明に7.47まで急落
〇ドル円と同様の展開、15日安値7.40底割れ回避で切り返せば押し目形成からの上昇再開感強まるか
〇底割れの場合は8/2安値7.27を試す流れへと進みやすくなる
〇対ドルでは最安値近辺での膠着状態、18.60台の安値は買われ18.50台では戻り売りにつかまる
〇本日20時トルコ中銀政策金利発表、市場の事前予想は現行10.5%から9.0%への利下げで一致
〇7.45以下は買い戻しも入りやすいとみるが勢いづく場合は7.40台序盤へ下値目途引き下げ
〇7.52超えからは7.55前後を目指す反発を想定、7.54以上は反落警戒
【概況】
トルコリラ円の11月23日は7.60円から7.47円の取引レンジ、24日早朝の終値は7.49円で前日終値の7.59円から0.10円の円高リラ安となった。
対ドルでは史上最安値に近い水準でやや膠着的な横ばい相場が続いており、トルコリラ円はドル円の動向を見ながらの展開を続けているが、11月23日夜は24日未明の米FOMC議事録公開を控えて米FRBによる利上げペース減速感が先行したためにドル円は141円前後を下値支持線とした持ち合いから転落して140円割れへ急落となり24日未明のFOMC議事録公開直後には139.15円へ安値を切り下げた。トルコリラ円もドル円の急落に合わせて24日未明には7.47円まで急落した。その後の小反発も続かずに24日午前は未明安値割れに対しての余裕が乏しくなっている。
【米国の利上げペース減速感と米長期債利回り低下でドル円と共に10月21日以降の安値を再び試す】
FOMC議事録では次回12月FOMCでの利上げペース減速が妥当との見方が優勢とされたが、金融引き締めに対する行き過ぎと少な過ぎに対するメンバーの見解は分かれていた。しかし通常の0.25%利上げに対して三倍となる0.75%利上げが4会合続いたことで行き過ぎ感への警戒感が勝り次回会合では0.50%利上げに落ち着き、その後もペースダウンが続く可能性を示唆した。このため米長期債利回りは総じて低下して10年債や30年債等の利回り大幅低下が目立ちドルは全面安の様相となった。
ドル円は10月21日高値で151.94円を付けて2021年1月底以降の最高値としたが、政府日銀による二度目の大規模介入により急落し、11月10日の米CPI上昇率の鈍化をきっかけとした「逆CPIショック」により暴落商状的な下落に見舞われた。ひとまず11月15日安値で下げ止まって戻したものの、11月23日夜からの反落により戻り幅の過半を解消したことで底割れへの懸念が強まっている。
トルコリラ円もドル円と同様の展開であり、10月21日高値で8.17円を付けたところから下落に転じ、逆CPIショックによる暴落的な下げが11月15日安値7.40円でひとまず落ち着いてやや戻していたところだったが、11月22日と23日を日足の連続陰線で失速したことにより底割れへの余裕が乏しくなっている。底割れ回避で切り返しに成功すれば11月15日安値に対する押し目形成からの上昇再開感が強まると思われるが、底割れの場合は8月2日安値7.27円を試す流れへと進みやすくなると懸念される。
【対ドルでは最安値近辺での膠着状態】
ドル/トルコリラの11月23日は18.63リラから18.57リラの取引レンジ、24日早朝の終値は18.61リラで前日終値と変わらずだった。11月21日、22日、23日と終値は18.61リラで横ばいが続いている。
11月23日夜は米FOMC議事録公開に先行してドル全面安となりポンドやユーロが11月22日未明安値以降の高値を更新する一方でドル円が急落したが、トルコリラは他市場動向にあまり左右されずに史上最安値近辺での膠着状態を続けている。
10月以降は18.60リラ台の安値は買われて底固く、18.50リラ台では戻り売りにつかまり上値の重い膠着状態での持ち合い相場であり、11月4日に18.67リラの史上最安値を付けた後は新たな安値更新を回避している。(ベンダーによっては18.70リラ台の安値提示もみられ、フラッシュ的な上昇で18.40リラ近辺の高値提示もみられるが、取引の中心は18.50リラ台から18.60リラ台での推移となっている)
【トルコ中銀は9.0%へ利下げの見込み】
11月24日は20時にトルコ中銀の政策金利発表がある。市場の事前予想は現行の10.5%から9.0%への利下げで一致している。エルドアン大統領が年内に政策金利を一桁とすると宣言してきたこととそれを忖度してトルコ中銀が高インフレの進行中にもかかわらず利下げを強行してきたためだ。
前回の利下げ時にトルコ中銀は11月会合での利下げにより当面の利下げサイクルが終了するとしたが、その姿勢が今回も変わらないことを市場は確認する必要があり、エルドアン大統領がさらなる利下げ水準を要求するような発言を行う場合には市場としても11月24日の利下げを織り込み済とできなくなる可能性もあると懸念される。
ファンダメンタルズ及び金利面ではリラ安環境は変わらないが、リラ暴落が落ち着いている背景はトルコ金融機関への営業時間外取引の規制、輸出企業等の外貨保有と融資規制による外貨のリラ転換、通貨スワップ協定やロシアからの投資マネー流入による外貨獲得、中銀による国内銀行を経由したスワップ取引によるドル売りリラ買いポジションによるリラ安抑止等が影響している。
【トルコ11月消費者信頼感指数は改善】
11月22日に発表されたトルコの11月消費者信頼感指数は76.6となり10月の76.3から改善した。今年6月に63.4まで大幅に低下したところから5か月連続の改善となっている。
家計における1年前と比較した現況指数は58.3で6月の44.5から改善傾向にあるが依然として極めて低水準に留まっており、1年先への期待指数75.8で10月の76.2から若干低下した。
全般の景気について1年前と比較した現況指数は50.7となり10月の48.8から改善して2021年9月以来の50台となった。1年先の期待指数は80.5で10月の77.9を上回り5か月連続の改善となった。
消費者心理は最悪期を脱却して改善の兆しが見えるもののまだまだ低水準であり、インフレ進行による家計への圧迫感が改善されないようだとエルドアン大統領の再選への影響も出るのではないかと危惧される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月15日夜安値を中心とした逆三尊型の右肩となる11月17日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたとし、高値形成期を17日夜から21日夜にかけての間と想定した。
11月22日午前時点では高値形成期の延長入りとなっているものの、ドル円の急伸に対する反動安への懸念もあるところとして7.60円割れからは弱気サイクル入りとして22日夕から24日夕にかけての間への下落を想定するとした。
11月22日夜への下落で7.60円を割り込み、23日夜にドル円が急落したことで7.50円を割り込むところまで大幅続落したため、現状は11月22日午前高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしているところと思われる。安値形成期は24日夕刻を当初の目途とするが、25日から週明けにかけて延びる可能性もあると注意し、7.52円を超えないか直前安値から0.05円規模の反騰が見られないうちは一段安警戒とする。7.52円を超える場合はいったん強気サイクル入りするとみて25日午前から29日午前にかけの間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では11月23日夜の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンから転落したため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻りを試す流れとみるが、先行スパンからの転落が解消できないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は11月23日夜の急落で20ポイント割れへ急低下したがその後も30ポイント以下での推移にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみる。40ポイント台回復からはいったん戻りを試すとみるが40ポイント台後半では戻り売りも出やすいと注意する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.45円を下値支持線、7.52円を上値抵抗線とする。
(2)7.52円以下での推移中は一段安注意として7.45円前後への下落を想定する。7.45円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、勢い付く場合は7.40円台序盤(7.43円から7.40円)へ下値目途を引き下げる。7.50円以下での推移なら25日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)7.52円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、7.52円超えからは7.55円前後を目指す反発を想定する。7.54円以上は反落警戒とするが、7.52円を超えた後も7.50円以上での推移なら25日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月24日
16:00 11月 製造業景況感 (10月 100.3)
16:00 11月 設備稼働率 (10月 76.9%)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.5%、予想 9.0%)
20:30 週次 外貨準備高 11/18時点 グロス (前週 766.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/18時点 ネット (前週 182.3億ドル)
11月29日
16:00 10月 貿易収支 (9月 -96.0億ドル)
11月30日
16:00 7-9月 GDP 前期比 (4-6月 2.1%)
16:00 7-9月 GDP 前年同期比 (4-6月 7.6%)
注:ポイント要約は編集部
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トルコリラ円の11月21日は7.64円から7.52円の取引レンジ、22日早朝の終値は7.63円で先週末11月18日終値の7.52円からは0.11円の円安リラ高だった。
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