ドル円見通し 139円台へ急落、11月15日夜安値に対する押し目形成で踏み止まるか試される(22/11/24)

ドル円は、140円割れへ急落となり、FOMC議事録公開直後には139.15円まで安値を切り下げた。

ドル円見通し 139円台へ急落、11月15日夜安値に対する押し目形成で踏み止まるか試される(22/11/24)

139円台へ急落、11月15日夜安値に対する押し目形成で踏み止まるか試される

〇24日未明のFOMC議事録公開控え、利上げペース減速期待によるドル売り先行で140円割れへ急落
〇議事録公開直後に139.15まで安値切り下げ、底割れからもう一段安へ進むか試される局面
〇15日安値137.67割り込めば2021年1月からの大上昇一巡、修正局面継続で下落規模拡大し安値試し続く
〇15日安値割れ回避し持ち直し22日未明高値142.25を上抜けば歴史的大上昇再開への期待強まる可能性も
〇FOMC議事要旨、12月会合では0.50%利上げでペース鈍化示唆するもFOMC内部では見解分かれる
〇議事録公開受け米長期債利回りは総じて低下、ドル円への売り圧力を高めている状況
〇NYダウは利上げペース減速期待で前日比95.96ドル高と上昇、市場のリスクオン心理を助長
〇140円以下での推移か超えても維持できないうちは139円割れ、11/15夜安値137.67を試す下落を想定
〇140.50超えからは急落調整を消化しての反騰入りとみて141円台回復を目指す上昇を想定

【概況】

ドル円は11月23日の日中を141円を割り込むところを買われて概ね141円台前半での持ち合いで推移していたが、11月23日夜からは11月24日未明の米FOMC議事録公開を控えて利上げペースの減速期待によるドル売り先行となる中で140円割れへ急落となり、FOMC議事録公開直後には139.15円まで安値を切り下げた。その後も139円台にとどまっており、11月15日安値137.67円に対する押し目形成で踏みとどまれるのか、底割れからもう一段安へと進むのか試される局面となっている。

【8月2日からの反騰開始時に近い展開となるか、底割れか試される】

ドル円は10月21日高値151.94円から政府日銀による二度目の大規模介入をきっかけとして下落に転じ、11月10日夜の米CPI上昇率鈍化により145円割れから暴落商状に陥り、11月15日夜の米PPI発表直後に137.67円まで安値を切り下げて10月21日高値からの下げ幅は14.27円となった。ドル安一巡感で持ち直しに入り11月22日未明高値142.25円まで4.58円の戻り幅となったが、昨晩からの急落により11月22日未明高値からは既に3円を超える反落となり戻り幅の大半を解消しつつある。
今年7月14日高値139.39円から8月2日安値130.39円まで9.00円の大幅下落となったところからの切り返しでは8月8日高値135.57円まで5.18円の反発を入れ、いったん8月11日安値131.72円まで3.85円の下落が入ったものの底割れ回避を確認して押し目形成となり、8月18日に高値更新へ進んでその後の大上昇へと発展した経緯がある。

今回も11月15日夜安値割れを回避して持ち直しに入り11月22日未明高値を上抜く上昇へと切り返せば、8月2日底からの上昇再開時に近い展開となり歴史的な大上昇の再開への期待も強まる可能性があるが、11月15日安値を割り込む場合は2021年1月6日底102.57円を起点とした大上昇が一巡しての修正局面継続により下落規模が拡大して暫く安値試しを続けることになりかねない。年末への反騰があるのかどうか、重要局面と思われる。

【FOMC議事録、12月の利上げペース鈍化示唆だがメンバーの見解も分かれる】

FRB=米連邦準備制度理事会は11月24日未明に11月1-2日に開催したFOMC=連邦公開市場委員会の議事要旨を公開した。議事録では「参加者の大多数は利上げペースの減速が直ぐに適切になる」とする一方で「様々な参加者は従来よりも政策金利のピークが高くなる」との見解を示していた。
FOMCでは4会合連続で通常の0.25%利上げの三倍となる0.75%の利上げを繰り返してきたが、12月会合では0.50%利上げへと利上げペースが減速するとの見方が強まっている。FOMC内部では金融引き締めの「行き過ぎ」への警戒感とインフレ抑制のために手を緩めることが早すぎるとの見解が分かれているようで、市場としても今後の米経済指標を見ながら若干利上げペースが減速した状況でも利上げが継続してゆくとの見方が強まるのか、利上げの打ち止め期が速まり利下げ再開への展望が開けるのかどうかを見極めながらドルの強弱を判断してゆくことになると思われる。

【11月23日の米経済指標はまちまち】

11月23日は24日の感謝祭祝日を前にして米経済指標の発表が集中したが内容はまちまちだった。
米労働省による新規失業保険申請件数は11月19日までの週間で前週比1万7000件増の24万件となり2週ぶりに悪化して市場予想の22万5000件も上回った。失業保険受給者総数は11月12日までの週間で155万1000人となり前週比4万8000人増で市場予想の151万7000人を上回った。
米商務省による10月の耐久財受注は前月比1.0%増で市場予想の0.4%増を上回り、設備投資の先行指標である航空機を除く非国防資本財受注は前月比0.7%増で市場予想の0.0%を上回った。
S&Pグローバルによる11月の米総合PMI速報値は46.3となり10月の48.2から低下して好不況判断目安の50を5か月連続で下回った。製造業PMIは47.6で2020年5月以来の低水準となり10月の50.4から低下して市場予想の50.0を下回り、サービス業PMIは46.1で10月の47.8から低下して市場予想の47.9も下回った。

米ミシガン大による11月消費者信頼感指数確報値は56.8となり速報の54.7から上方修正されて市場予想の55.0を上回ったが、10月確報値の59.9からは低下した。
米商務省による10月新築戸建て住宅販売件数(年換算)は前月比7.5%増の63万2000戸で市場予想の57万戸を大幅に上回り9月の11.0%減から急回復したが、前年同月比は5.8%減だった。

【米10年債利回りは低下】

米FOMC議事録公開を受けて米長期債利回りは総じて低下した。長期金利の指標となる10年債利回りは前日比0.06%低下の3.70%、30年債利回りは前日比0.08%低下の3.75%、2年債利回りは前日比0.03%低下の4.49%となった。
2年債利回りは2営業日続落だったもののまだ今後の利上げ継続感を背景に高止まりの範囲にあるが、10年債利回りは11月21日から3営業日続落となり、10月21日のピークである4.34%以降の最低値である11月16日に付けた3.67%へ迫っている。
30年債利回りは利上げの峠を見込んで低下幅も大きく11月22日の前日比0.08%低下からの続落で10月24日に付けたこの間の最高値4.43%以降の最低値を更新した。米10年債と30年債の利回り大幅低下がドル円への売り圧力を高めている状況だ。
一方でNYダウは利上げペース減速期待で前日比95.96ドル高と上昇、ナスダック総合指数も同110.91ポイント高と上昇して市場のリスクオン心理を助長した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は11月15日夜安値を頭、12日未明安値138.45円を左肩、17日夕安値を右肩とする逆三尊型を形成して反騰入りしたが、11月22日未明高値で戻り一巡となり下落に転じた。逆三尊といっても大底型ではなく中段の二段戻し型の逆三尊だったようだ。
11月24日未明へ急落した後も反騰できずにいるため24日の日中から週明けへの下落余地ありとみるが、140円台回復からは反騰入りの可能性ありと注意し、140.50円超えからは上昇期入りとみて24日夜から28日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、11月23日夜の急落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンとの下方乖離も大きいため、遅行スパン好転からは高値試しとするものの先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は11月23日夜の急落時に20ポイント割れへ急低下したが、その後も30ポイント以下での推移にとどまっている。40ポイント台を回復できないうちは一段安警戒とし、40ポイント台回復からはいったん下げ止まって戻りを試す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、139.00円を下値支持線、140.00円を上値抵抗線とする。
(2)140円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは139円割れから11月15日夜安値137.67円を試す下落を想定する。137円台後半は買い戻しも入りやすいとみるが、140円以下での推移か直前安値から1円を超える反騰が見られないうちは25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)140.50円超えからは急落調整を消化しての反騰入りとみて141円台回復を目指す上昇を想定する。

【当面の主な予定】

11/24(木)
休場、米国(感謝祭)
14:00 (日) 9月 景気先行指数CI改定値 (速報 97.4)
18:00 (独) 11月 IFO企業景況指数 (10月 84.3、予想 85.0)
21:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨
22:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
25:00 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演

11/25(金)
米国(ブラックフライデー)で株式・債券市場は短縮取引
08:30 (日) 11月 東京都区部CPI・生鮮食料品除く 前年同月比 (10月 3.4%、予想 3.5%)
08:50 (日) 10月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (9月 2.1%、予想 2.1%)
16:00 (独) 12月 GFK消費者信頼感 (11月 -41.9、予想 -39.6)
16:00 (独) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.3%、予想 0.3%)
16:00 (独) 7-9月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 1.1%、予想 1.1%)
26:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演

注:ポイント要約は編集部

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