トルコリラ円見通し ドル円の142円台回復に合わせて7.60円台回復
〇トルコリラ円、ドル円に合わせ11/21の21時台に7.63へ上昇、一旦小反落するも7.64へ高値切り上げ
〇対ドル、18.60台は買われて18.50台では戻り売りにつかまり、上値の重い膠着状態から抜け出せず
〇昨日発表の10月海外観光客数、前年同期比で38.36%増、2021年を上回る規模での回復継続
〇7.60以上での推移中は一段高余地ありとし、7.65超えからは7.68前後への上昇を想定する
〇7.60割れからはいったん下げに入るとみて、7.55前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の11月21日は7.64円から7.52円の取引レンジ、22日早朝の終値は7.63円で先週末11月18日終値の7.52円からは0.11円の円安リラ高だった。
11月10日夜の米CPI上昇率が予想を下回ったことをきっかけとしたドル全面安によりドル円が大幅下落となり、トルコリラ円も11月10日夜の7.87円近辺だったところから11月15日夜安値7.40円まで大幅下落に見舞われたが、その後はドル安が一巡してドル高へとぶり返しに入ったことで下げ止まっていた。
11月21日はドル円が夜に142円に到達、いったん反落したところから再び142円台序盤へと一段高したため、トルコリラ円も午後からはドル円の上昇に合わせて高値切り上げに入り、21時台には7.63円へ上昇、いったん7.59円へ小反落したところも買われて7.64円へ高値を切り上げた。
11月3日夜からのドル全面安が11月15日夜までに一巡してドル高へ風向きが変わっており、11月21日はユーロやポンド等が反落する中でドル円が141円を超えたところから勢いづいたため、トルコリラ円も高値追及の流れとなった。ただしまだ11月10日と11月11日の2日連続の日足陰線による大幅下落に対して11月11日の陰線レンジを解消するには至っていない。トルコリラ円としてはドル円の上昇が継続できるかどうかを見定める必要がありそうだ。
【対ドルでは18.60リラを挟んでの推移続く】
ドル/トルコリラの11月21日は18.65リラから18.58リラの取引レンジ、22日早朝の終値は18.61リラで先週末終値の18.59リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
11月3日夜からのドル全面安が11月15日夜までに一巡してドル高がぶり返しており、11月21日もユーロドルが11月15日夜高値1.0480ドル以降の安値を更新して1.020ドルに迫り、ポンドドルも一時1.18ドルを割り込むなどドル高継続の流れとなった。米長期債利回りも10年債が先週末への2連騰からの横ばいで確りし、2年債利回りは4連騰の上昇となっており、11月10日夜の米CPIの伸びが鈍化したことをきっかけとした米長期債利回り低下とドル安が揺れ返しに入っている。このためトルコリラに対してもドル高圧力がかかる状況だが、18.60リラ台の安値は買われて底固く、18.50リラ台では戻り売りにつかまり上値の重い膠着状態からは抜け出せずにいる。
中国の感染拡大が収まらずに今年4月のピーク時水準に迫る勢いとなり北京等での営業規制や一部のロックダウン入り等が景気後退への不安を助長しており、為替市場ではリスク回避的なドル買いがやや優勢の印象となっている。
【トルコ10月観光客数は前年比38.36%増】
11月21日にトルコ文化観光省が発表した10月のトルコへの海外観光客数は480万3198人で前年同期比は38.36%増となった。1月からの累計では3961万471人となり昨年1月から10月までの2105万5764人から88.14%の大幅増となった。
2020年のパンデミック発生により2020年4月には2万人台まで激減したが、パンデミック後の回復により徐々に持ち直しに入り、2022年も2021年を上回る規模での回復を続けている。
トルコの観光客シーズンの最盛期は6月から10月にかけてであり、2020年10月はまだ回復途上で174万2303人だったが、今年10月はその2.8倍となり、パンデミック発生前の2019年10月の429万1574人も上回った。
世界の感染拡大が収まったとは言えない状況だが、本邦でも感染が再拡大しながらも海外からの入国者が増えており世界全体では中国等を除いてウィズコロナ政策による行動規制緩和がパンデミック発生前への正常化が進んでいる。
トルコは構造的な貿易赤字と経常赤字国であり、経常赤字を観光収入等で埋め合わせており、観光客の拡大はトルコ経済にはプラスといえる。ただし高インフレによる輸入拡大が貿易収支の悪化を招いており、観光収入だけでは埋め合わせできない状況でもある。11月21日夜に発表されたトルコの10月中央政府債務残高は380.8億リラとなり9月の367.5億リラを超えて過去最大を更新している。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月15日夜安値を中心とした逆三尊型の右肩となる11月17日夕安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクル入りしたとし、高値形成期を17日夜から21日夜にかけての間と想定した。
11月21日夜へ急伸し、22日午前序盤へと続伸したため、高値形成期の延長入りとなっているものの、ドル円の急伸に対する反動安への懸念もあるところのため、7.60円以上での推移中は22日の日中から23日にかけての上昇余地ありとするが、7.60円割れからは弱気サイクル入りとして22日夕から24日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11月21日夜への上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンを上抜いた状況も維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、一段高後の反動安も警戒されるところとみて9本転換線を下回るうちは反落注意とし、遅行スパンが悪化するところからは下落期入りとみて先行スパンの上限へ向かう流れとみる。
60分足の相対力指数は11月21日夕刻への上昇時に80ポイントを超えたがその後の高値更新では指数のピークが切り下がる弱気逆行の気配となっている。60ポイントを割り込んでも回復するうちは70ポイント台をもう一度試す可能性があるが、指数のピークが切り下がる場合は反落警戒とし、55ポイント割れからは40ポイント前後への低下へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.60円を下値支持線、7.65円を上値抵抗線とする。
(2)7.60円以上での推移中は一段高余地ありとし、7.65円超えからは7.68円前後への上昇を想定する。7.67円以上は反落注意とするが、7.62円以上での推移なら23日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.60円割れからはいったん下げに入るとみて7.55円前後への下落を想定する。7.55円以下は反発注意とするが、7.60円以下での推移なら23日も安値試しへ向かいやすいとみる。
※ 11月24日は20時にトルコ中銀の政策金利発表がある。市場の事前予想は現行の10.50%から9.00%への利下げで一致している。エルドアン大統領が利下げに前後してさらなる利下げを要求する発言を行うか、ひとまず10月会合で示された利下げサイクルの終了が宣言されるのか注目される。
【当面の主な予定】
11月22日
16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 76.2)
11月24日
16:00 11月 製造業景況感 (10月 100.3)
16:00 11月 設備稼働率 (10月 76.9%)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.5%、予想 9.0%)
20:30 週次 外貨準備高 11/18時点 グロス (前週 766.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/18時点 ネット (前週 182.3億ドル)
11月29日
16:00 10月 貿易収支 (9月 -96.0億ドル)
11月30日
16:00 7-9月 GDP 前期比 (4-6月 2.1%)
16:00 7-9月 GDP 前年同期比 (4-6月 7.6%)
注:ポイント要約は編集部
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