ドル円見通し 142円台に到達、10月21日高値からの大幅安が落ち着き上昇再開を試す(22/11/22)

21時台に142円に到達、いったん141.31円まで反落を入れたが22日未明には142.25円へ上昇、その後も142円を挟んだ高値圏を維持している。

ドル円見通し 142円台に到達、10月21日高値からの大幅安が落ち着き上昇再開を試す(22/11/22)

ドル円見通し 142円台に到達、10月21日高値からの大幅安が落ち着き上昇再開を試す

〇ドル円、11/21の21時台に142円到達、一旦141.31まで反落するも11/22未明142.25へ上昇
〇ドル売り材料消化として持ち直し、米FRB高官らによるタカ派発言相次ぎ、ドル高がぶり返す
〇10/21高値151.94から11/15安値137.67への大幅安に対する、3分の1戻しラインの142.43を試す展開
〇米長期債利回りの大幅低下はひとまず落ち着き上昇再開に入っている印象、米株価は軟調推移
〇141.30以上での推移中は、142.50超えから143円に迫る上昇を想定する
〇141.30を割り込む場合及び直前高値から1円超の下落発生の場合は、140円台前半を試す下落を想定する

【概況】

ドル円は11月21日午後からの上昇で21時台に142円に到達、いったん141.31円まで反落を入れたが22日未明には142.25円へ上昇、その後も142円を挟んだ高値圏を維持している。
11月10日の米CPI上昇率の鈍化をきっかけとしたドル全面安により直前の146円台序盤だったところから11月12日未明安値138.45円へ大幅下落し、15日夜の米PPIも伸びが鈍化したことで137.67円まで安値を切り下げたが、当面するドル売り材料消化として持ち直し、米FRB高官らによる利上げ継続へ向けたタカ派発言が相次いだことでドル高がぶり返していた。

ドル円は大幅下落直後のために買い戻しへ慎重な動きにとどまり21日午前にかけては140円を挟んだ持ち合いの範囲内での推移にとどまっていたが、夕刻に141円を超えたところから上昇が勢いづいた。
11月21日は主要な欧米経済指標の発表はなかったが、ECBのチーフエコノミストであるレーン専任理事がECBによる12月利上げでは「0.75%といった大幅な利上げはもはや検討外」と述べたことがユーロ売り要因となり、中国の感染拡大が収まらないことでのリスク回避によるドル買い要因とされた。

【10月21日高値からの大幅安に対する3分の1戻しを試す】

10月21日高値151.94円から11月15日安値137.67円まで14.27円の大幅下落となったものの、この間の下げ幅に対する3分の1戻しラインの142.43円に迫ってきている。
今年7月14日高値139.39円から8月2日安値130.39円まで9.00円の大幅下落となったところからの切り返しでは8月8日高値135.57円まで5.18円の反発を入れた後に8月11日安値131.72円まで3.85円の下落が入り底割れ回避を確認して押し目形成として8月18日に8月8日高値を超えて上昇再開の流れが勢いついた。
現状も直前安値から22日未明時点で4.50円を超える上昇であり、8月2日安値からの反騰時に近い印象があるが、8月11日安値への反落と同様に押し目を作る反落も入りやすい局面と思われる。また押し目にとどまらずに底割れからもう一段安へ進む懸念もまだ抱えているところと思われる。

【FRBの利上げペース鈍化と利上げピーク水準の上ブレ】

先週は米FRB高官や地区連銀総裁らによる利上げペースの減速に対する市場の楽観をやや戒めるようなタカ派的な発言が相次いだことで米長期債利回りが上昇に転じて為替市場ではドル高がぶり返した。
週明けの11月21日にはサンフランシスコ連銀のデイリー総裁が、「利上げペースについては従来より慎重となることが適切」として超ハイペースで進んできた利上げペースを減速させる可能性を示唆したが、その一方で利上げ到達点としては「4.75%〜5.25%程度が妥当なレンジ」として9月時点のFOMC見通しよりも上方修正されることを支持する姿勢を示した。ただ「金融市場は政策金利が6%程度のように反応している」として現状はやや過剰反応が見られる状況との認識も示した。

クリーブランド連銀のメスター総裁は「利上げペースを若干緩めることが妥当」とし、12月FOMCでの利上げ幅を「0.75%から減速させることは可能」と述べた。また引き締めの行き過ぎと少な過ぎの両方のリスクを均衡させることに一層熟慮することになるとし、「利上げ停止が近づいているとは考えていない」「まだやるべきことがある」と述べて利上げ継続姿勢を示した。
11月18日にはボストン連銀のコリンズ総裁が12月のFOMCでも0.75%利上げの可能性も検討対象だと述べたこと等が米長期債利回り上昇のきっかけとなったが、FRB高官や地区連銀総裁らの最近の発言は市場に対して楽観し過ぎも悲観し過ぎもしないように冷静となるように呼びかけつつ利上げは継続することを再認識させようとしている印象だ。

【米10年債利回りは横ばい、2年債利回りは4連騰】

11月21日の米10年債利回りは前日比で横ばいの3.83%だったが、一時3.77%まで低下したところから切り返している。30年債利回りは0.03%低下の3.90%だったが、一時3.87%まで低下してから戻した。2年債利回りは前日比0.03%上昇の4.56%となり、11月16日から4連騰となった。
11月10日の米CPIショックによる米長期債利回りの大幅低下はひとまず落ち着いて上昇再開に入っている印象だが、中国の感染拡大による景気後退への懸念による安全資産買いで米国債が買われて利回りの上昇を抑えている側面も見受けられる。
11月21日のNYダウは前日比45.41ドル安、ナスダック総合指数は同121.55ポイント安と下落した。やはり中国の感染拡大による景気後退への懸念が重石となり、米FRBの利上げペース減速への楽観的な期待がやや後退していることで10月中旬からのNYダウの上昇は34000ドル手前で一服感が出ており、ナスダック総合指数は10月中盤からの戻りも鈍いものに留まっていたが11月15日から軟調な推移に入っている印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は11月17日夕刻安値で138.86円をつけたところからの反発で11月16日午後高値140.29円を上抜いたため、11月15日夜安値を頭、12日未明安値138.45円を左肩、17日夕安値を右肩とする逆三尊型を形成して反騰入りする可能性があると指摘したが、11月21日夜への上昇で11月12日未明安値以降の高値を更新している。短期的な騰落リズムによる高値形成期は11月21日午後から23日午後にかけての間と想定されるのですでに反落注意期に入っているものの逆三尊型を形成してから141円手前までのレンジ内の持ち合い推移を上放れしてきているので22日の日中から夜にかけてはさらに高値を試しやすい時間帯と考える。ただし141円を割り込む場合および直前高値から1円を超える反落が発生する場合は戻り一巡による下落期入りとみて22日夕からから24日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、11月21日夜の上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンを上回る状況も維持して乖離幅を拡大しているので、遅行スパン好転中は戻りを試す流れとみるが、遅行スパンが悪化するところからはいったん修正安入りとして安値試し優先とし、先行スパンを上回る状況を維持できるかどうかを試す流れとみる。

60分足の相対力指数は11月21日夜に80ポイント台へ到達し、その後も60ポイント以上を維持しているので上昇継続中とみるが、相場が高値を切り上げる中で指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は反落入りとみて40ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、141.30円を下値支持線、142.50円を上値抵抗線とする。
(2)141.30円以上での推移中は142.50円超えから143円に迫る上昇を想定する。142.75円以上は反落警戒とするが、141.30円以上を維持しての推移か直前高値から1.00円を超えない反落にとどまるうちは23日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)141.30円を割り込む場合及び直前高値から1円を超える下落が発生する場合はいったん下げに入るとみて140円台前半を試す下落を想定する。140.20円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、141円以下での推移なら23日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11/22(火)
OECD経済見通し
16:00 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
18:00 (欧) 9月 経常収支・季調済 (8月 -263億ユーロ)
24:00 (欧) 11月 消費者信頼感速報値 (10月 -27.6、予想 -26.0)
24:00 (米) 11月 リッチモンド連銀製造業指数 (10月 -10、予想 -8)
25:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、イベント挨拶
27:00 (米) 財務省7年債入札、変動利付2年債入札
28:15 (米) ジョージ・カンザスシティ連銀総裁、パネル討論会
28:45 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演

11/23(水)
休場、日本
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀(RBNZ) 政策金利 (現行 3.50%、予想 4.25%)
17:30 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
17:30 (独) 11月 製造業PMI速報値 (10月 45.1、予想 45.1)
17:30 (独) 11月 サービス業PMI速報値 (10月 46.5、予想 46.2)
18:00 (欧) 11月 製造業PMI速報値 (10月 46.4、予想 46.0)
18:00 (欧) 11月 サービス業PMI速報値 (10月 48.6、予想 48.0)
18:30 (英) 11月 製造業PMI速報値 (10月 46.2、予想 45.8)

18:30 (英) 11月 サービス業PMI速報値 (10月 48.8、予想 48.0)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.2万件、予想 22.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 150.7万人、予想 152.0万人)
22:30 (米) 10月 耐久財受注 前月比 (9月 0.4%、予想 0.4%)
22:30 (米) 10月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (9月 -0.5%、予想 0.0%)
23:45 (米) 11月 製造業PMI速報値 (10月 50.4、予想 50.0)
23:45 (米) 11月 サービス業PMI速報値 (10月 47.8、予想 48.0)
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 54.7、予想 55.1)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数・年率換算 (9月 60.3万件、予想 57.0万件)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数 前月比 (9月 -10.9%、予想 -5.5%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨



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