南アランド週報:『8.00ー8.30レンジが継続中。但しリスクは依然ダウンサイド』(11/26朝)

南アフリカランドの対円相場は、約2ヵ月間に亘って8.00ー8.30円を中心としたレンジ相場が続いています。

南アランド週報:『8.00ー8.30レンジが継続中。但しリスクは依然ダウンサイド』(11/26朝)

『8.00ー8.30レンジが継続中。但しリスクは依然ダウンサイド』

〇今週の南ア円、週初中国のコロナ感染拡大懸念とリスク回避のエマージング売りに8.09まで下落
〇その後はS&Pの格付け見通し維持や10月CPIの上昇に週央8.25まで上昇
〇週末は南ア中銀の0.75%利上げに2人が反対、経済成長率見通し下方修正に8.1台に反落
〇テクニカルには膠着感強く、ファンダメンタルズは南アフリカ経済の先行き不透明感強く下向き
〇南アランド円相場の下落(8.00ー8.30円レンジの下方ブレイク)をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.95ー8.25

今週のレビュー(11/21−11/25)

今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.14円で寄り付いた後、(1)前週末金曜日以降のドル買いの流れの継続(米当局者によるタカ派的な発言→米ドルの大規模ショートカバー発生→南アフリカから米国への資金流出圧力再開)や、(2)中国における新型コロナウイルス再拡大懸念(北京などでの行動規制再強化→中国と経済的な結び付きの強い南アランドの下落要因)、(3)上記を背景としたリスク回避のエマージング通貨売り圧力が重石となり、週明け早々に週間安値8.09円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)S&Pグローバル・レーティングスが南アフリカの格付け見通しを「ポジティブ」に維持したことに対する安堵感や、(5)南ア9月景気先行指数(結果125.0、前回123.4)の良好な結果、(6)南ア10月消費者物価指数(結果+7.6%、予想+7.4%、※前年比)および、南ア10月消費者物価コア指数(結果+5.0%、予想+4.8%、※前年比)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、週央にかけて、週間高値8.25円まで急伸しました。

もっとも、8.26ー8.30ゾーンに位置する強力な抵抗帯にまたしても続伸を阻まれると、(7)南ア中銀が市場予想通り75bpの利上げ(6.25%から7.00%)を決定しつつも、全会一致ではなく5人の委員のうち2名が50bpの利上げを主張していたことに対する驚きや、(8)経済成長率見通しを下方修正したこと(2023年は前回の1.4%から1.1%へ。2024年は前回の1.7%から1.4%へ)、(9)上記を背景とした南ア中銀の利上げペース鈍化観測が重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/26午前2時15分現在)では、8.13円前後まで値を崩す展開となっております。

来週の見通し(11/28−12/2)

南アフリカランドの対円相場は、約2ヵ月間に亘って8.00ー8.30円を中心としたレンジ相場が続いています。主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上限、雲下限、21日移動平均線、90日移動平均線、200日移動平均線など)が同水準に密集していることからも、レンジ色(膠着感)の強さが確認されます。テクニカル的に見て、ロング・ショート共にポジションを傾けづらい時間帯が続きそうです。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)国営電力会社エスコムの計画停電長期化懸念や、(2)主要産業で相次ぐストライキ問題、(3)経済的な結び付きの強い中国の景気減速懸念(新型コロナウイルス再拡大に伴うロックダウン再開リスク)、(4)上記を背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感、(5)円キャリートレードの逆流リスク(対主要通貨での円買い再開の恐れ)、(5)南アフリカ中銀の利上げペース鈍化観測(今週発表された会合で5名のうち2名が75bp利上げではなく50bp利上げを支持)など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ファンダメンタルズ主導での南アランド円相場の下落(8.00ー8.30円レンジの下方ブレイク)をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/29に予定されている南ア第3四半期失業率と、11/30の南ア10月貿易収支に注目が集まります。

来週の予想レンジ(ZARJPY):7.95ー8.25

注:ポイント要約は編集部

『8.00ー8.30レンジが継続中。但しリスクは依然ダウンサイド』

南アランド円日足

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