ドル円 注目材料少なくない、米金利情勢などに注意(週報11月第4週)

先週のドル/円相場は結果ドル安。一時142円台を示現するなど、再びドル高が進行する局面も観測されたが続かなかった。

ドル円 注目材料少なくない、米金利情勢などに注意(週報11月第4週)

ドル円 注目材料少なくない、米金利情勢などに注意

〇先週のドル円、週間高値142.25まで上昇後に値を下げる、週末は139円台前半で越週
〇短期的リスクはドル安方向、11/15安値137.67を巡る攻防に注目
〇今週は米11月雇用統計、連銀経済報告発表、パウエル議長講演を予定
〇12月米FOMCでの利上げ観測は後退、ただし雇用統計結果次第では変化の可能性も
〇今週のドル/円予想レンジは137.00-141.50、140円が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は138.05をめぐる攻防に注目、下回ると137.67、135円半ばなどがターゲットに

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は結果ドル安。一時142円台を示現するなど、再びドル高が進行する局面も観測されたが続かなかった。

前週末、IAEAが「ザポロジエ原発で攻撃と思しき爆発が起こった」と発表し話題に。また、中国を中心に日本などでもコロナ感染者の増加が再び取り沙汰され、冬を前にした感染拡大懸念そして行動制限などの規制強化懸念も高まりつつあることが懸念要因に。
そうした状況下、ドル/円は140.30円前後で寄り付いたのち、上値を試す展開となり週間高値である142.25円まで上昇。しかし、レンジの上抜けが失敗に終わると一転して下値を試す展開となり、「行って来い」の様相に。むしろ週の寄り付きレベルを下回る138円台まで大きく値を下げたのち、週末に掛けてはやや持ち直しの動きも。週末NYは139.10-15円で取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「中国情勢」と「日本の政権不安」について。
前者は、中国における新型コロナの感染拡大が金融市場ならずとも取り沙汰されていた。たとえば23日には新規感染者が3万人を超えたと発表されたが、これはデータを比較できる2020年4月以降で過去最多になる。そのため、規制強化と思しき動きが幾つか観測され、2つほど例を挙げると北京市当局は24日から商業施設、ホテル、政府の建物など公共の場所に立ち入る場合、48時間以内に実施したPCR検査での陰性証明が必要になると発表。また、上海市も同じ24日から新たな入境者に対し、公共の場への出入りを5日間禁止する措置をとることを明らかにしている。中国政府は「ゼロコロナ」政策を今後も堅持する方針で、経済への打撃深刻化には引き続き要注意だ。

対して後者は、「政治とカネ」にからんで疑惑が発覚した寺田総務相が更迭され、岸田政権で3人目の閣僚辞任となった。また舌の根も乾かぬうちに、政権の要である岸田首相自身に昨年の衆院選における「白紙の領収書問題」という同様の問題が取り沙汰されると、こちらも物議を醸す。なお、統一教会等の諸問題に加え、一連の閣僚辞任などもあり世論調査における政権支持率は低空飛行。それもあり、一部週刊誌では「支持率浮揚の起死回生の一手として、早いタイミングでの解散・総選挙に打ってでる」などと報じられ、様々な思惑を呼んでいたようだ。今後いわゆる「政局」へと発展する可能性も否定できず、続報などには十分に注意をしておきたい。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は一時ドルの戻り歩調がうかがえるも、そののち失速。142円台では思いのほか上値が重く、結果として強い抵抗となった。いずれにしても、そうした状況を受けて短期的にはむしろドル安方向のリスクが高まりつつある。テクニカルには、15日安値の137.67円をめぐる攻防に注目だ。下回るとすぐにということではないが、134円前後に位置する移動平均の200日を目指したドルの続落も否定できなくなる。

12月13-14日の米FOMCが市場ではすでに注視され始めているが、強気一辺倒だった米利上げ観測は後退している。「0.75%の利上げ」は見込みにくくなったとの見方が優勢ながら、今週は週末に注目の米雇用統計発表なども予定されており、これまでの見方を補強する内容となるのか、それとも「0.75%の利上げ」見通しを復活させるのかにまずは注視したい。なお、米国のサンクスギビングデーを先週終え、金融市場も今後徐々にクリスマスモードを強めそう。今年は「薄商い=荒れ模様」というパターンも少なくないだけに、十分なリスク管理が必要だろう。

テクニカルに見た場合、ドル/円の下値を支えてきた移動平均の90日線に加え、一目均衡表の先行帯の雲の下限も先週大きく下回ってきた。リスクはドル安方向にバイアスが掛かるだけでなく、ドルの反発局面では下回ってきた一目の雲の下限などが今度は逆に抵抗として寄与する可能性もある。先週末24-25日には一度も到達できなかった140円レベルが最初の抵抗だが、仮に上抜けてもドルの頭はかなり重そうなイメージだ。

今週は、11月の雇用統計をはじめ非常に重要な米経済指標の発表が予定されている。また、米地区連銀経済報告の発表や米FOMCを前にしたパウエルFRB議長の講演なども実施される見通しだ。もちろん内容次第だが、相場の波乱要因となりかねないかもしれない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、137.00-141.50円。ドル高・円安については、先週23日に割り込んで以降一度も回復していない140円が最初の抵抗。超えれば、少し遠いが移動平均の90日線などが位置する141円半ばを目指す展開か。
対してドル安・円高方向は、先週安値の138.05円をめぐる攻防にまずは注目。下回ると137.67円、そして135円半ばなどがターゲットに。

ドル円 注目材料少なくない、米金利情勢などに注意

ドル円日足

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