ユーロドルはもみあいを継続か
〇先週のユーロドル、米金利低下による買いで安値1.0223から上昇、高値1.0449到達後1.03台で引ける
〇今週は主要国CPI速報値、ECB関係者講演を予定、利上げペース判断材料として注視
〇ユーロ圏CPIはピークアウト予想、ロンドンフィキシングとあわせ今週は30日が最大の注目日に
〇ユーロ円でも円買いの動きが強まり146円台まで上昇、下限サポートライン維持の有無に注目
〇ユーロドル、今週は1.0225レベルをサポートに、1.0475レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、前週の流れを受け週初こそユーロ売りが継続していましたが、月曜NY市場で1.0223レベルの安値を底に反転上昇する流れとなりました。最大の材料は米金利低下によるドル売り(ユーロ買い)の動きでしたが、ECB理事がタカ派発言をしたことや日米休場もあり積極的な売買が手控えられたことによるオーダー減少から木曜には1.0449レベルまで買われました。ただ15日高値はトライできず週末前には調整の売りも見られました。
先週の動きを振り返ると大きくは米金利低下によるユーロ買いと言って良いのですが、目新しい動きが出たわけでも無く方向性が明確になるような動きがあったわけでもありません。どちらかと言えば11月高値圏で反転パターンを形成しやすい流れにあると言えるでしょう。今週は経済指標としては主要国CPI速報値が今後のECBの利上げペースを考える上では重要です。ラガルドECB総裁、デギンドスECB副総裁をはじめ、ECB関係者の講演も多いため、それらも併せて判断することとなりそうです。
ユーロ圏全体のCPIは水曜に発表されますが、前回10.7%から今回は10.4%へとピークアウトする予想となっています。単月の数字では判断は出来ないものの、予想に比べて振れる数字が出てくるようだとユーロドルの波乱要因となりそうです。前日にはドイツのCPI速報値が出ますが、こちらも前月からはピークアウト予想となっていますので、ドイツの数字で数字の出方を判断し、ユーロ圏の数字を見る流れとなりそうです。
また今週は月末月初となりますので、月末のロンドンフィキシングで実需が出てくるかどうか、その方向と金額によっても動く要因となりますので、30日が今週の最大の注目日となることは間違いありません。テクニカルには日足チャートをご覧ください。
9月安値からの上昇チャンネルを上抜けてからダブルトップ状の反転パターンを形成中ですが、ダブルトップのネックラインが上昇チャンネル上側のラインと重なった水準で下げ止まりましたので、今回は下げてきた時に上昇中の同ラインで下げ止まるようだと再び反転上昇となる可能性もあります。
ただ高値圏も年初来高値と年初来安値の半値戻しの水準に微妙に届かずに下げたことを考えると、当面は先週安値1.0223レベルと先々週高値1.0480レベルとの間で高値圏でもみあい継続と考えることがよさそうです。今週はこれらの水準を参考に、1.0225レベルをサポートに、1.0475レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートを見ておきましょう。
ドル円でのドル売りの動きが目立っていたことでユーロ円でも円買いの動きが強まり、大きくはピンクの上昇チャンネルの中で中期的には青の下降チャンネルの中での動きとなっています。ピンクの上昇チャンネルの下限サポートラインにかなり近づいてきましたので、このサポートラインを維持するか下抜けるかが今週のユーロ円の注目ポイントとなります。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
11月28日(月)
17:00 オランダ中銀総裁講演
23:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
26:10 ドイツ連銀総裁講演
11月29日(火)
19:00 ユーロ圏11月消費者信頼感 ☆
22:00 ドイツ11月CPI速報値 ☆
11月30日(水)
16:45 フランス11月CPI速報値 ☆
16:45 フランス10月PPI ☆
17:55 ドイツ11月失業率
19:00 ユーロ圏11月CPI速報値 ☆
12月1日(木)
17:50 フランス11月製造業PMI
17:55 ドイツ11月製造業PMI
18:00 ユーロ圏11月製造業PMI
18:30 英国11月製造業PMI
19:00 ユーロ圏10月失業率
12月2日(金)
11:40 ラガルドECB総裁講演 ☆
16:00 ドイツ10月貿易収支、輸入物価
19:00 ユーロ圏10月PPI ☆
21:00 デギンドスECB副総裁講演☆
22:30 米国11月雇用統計 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
11月21日(月)
ユーロドルは金曜NY市場からの下げを続け、仲値過ぎに前週木曜安値を割り込むとドル買いの動きにユーロ売りのストップオーダーも加わって一段安となりました。欧州市場前場に1.0226レベルの安値をつけた後に若干の買い戻しを挟んで、NY昼過ぎには1.0223レベルと日中安値をわずかに更新し安値圏での引けとなりました。
11月22/23日(火/水)
ユーロドルは22日も23日も緩やかなユーロ買いが続きました。21日までのユーロ売りに対するポジション調整が米金利低下の動きとともに続いた動きでした。23日東京時間にはドル円が動かなかったこともあり、ユーロ円も146円台まで上昇していました。
11月24日(木)
ユーロドルはドルの動きとしてはドル円同様でしたが、ユーロが高値をつけたのは早い時間帯で東京昼過ぎの1.0449レベル。欧州市場では1.0382レベルまで下げていましたが、NY時間にシュナーベルECB理事が利上げ減速余地は限定的とタカ派な発言をしたことで切り返し、1.04台前半に戻した後もみあいのまま引けました。
11月25日(金)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場では米金利上昇を材料にしたユーロ売りの動きとなりました。しかし、1.0355レベルまで水準を下げた後に売られる前の水準に買い戻され、引けにかけては再び売りが出る流れでした。1日の値幅は74pipsに留まり連休の狭間という動きとなっていました。
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