ドルの下値余地拡大か、138円割れも
〇本日のドル円、日中高値139.40-45から1円超える下落、16時現在138.20-25で推移
〇ドル下落第二波の開始か、15日安値137.67がターゲット、下回ると更なるドル安進行の可能性も
〇本日は11月ダラス連銀製造業活動指数、NY連銀総裁ら要人の発言機会に注目
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは137.30-138.80、ドル高へ動くには早期の139円台回復が条件か
〇ドル安・円高方向は138.05、137.67をめぐる攻防に注目
<< 東京市場の動き >>
週明け28日の東京市場ではドルが弱含み。「寄り付き高・大引け安」に近い動きで、日中高値から1円以上も値を下げている。
先週末は、中国上海で「ゼロコロナ」政策に反対する動きとされる、異例の習氏退陣要求デモが発生し思惑を呼ぶ。一方、今月中旬に撤退したウクライナ南部ヘルソン州に対して、ロシア軍が再び激しい攻撃を加えたとも伝えられ、こちらも別途話題に。
そうした状況下、ドル/円は139.30円前後で寄り付いたのち、日中高値の139.40-45円を示現したものの、流れはすぐに流れはドル安・円高に。日米株価が弱含みに推移したことなどが嫌気されると、リスク回避と思しき動きも断続的に観測されていた。緩やかな右肩下がりをたどり一時は138.20円レベル。目先高値から1円を超える下落で、16時現在では138.20-25円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「中国情勢」と「ウクライナ情勢」について。
前者は、前述した異例の習氏退陣要求デモが金融市場以外でも思惑を呼ぶなか、中国政府の発表によると中国本土で26日に確認された新型コロナ感染者は3万8172人。統計を発表し始めた2020年春以降の最多記録を4日連続で更新したことが明らかになった。ゼロコロナ政策からの脱却は、なかなか難しいものがありそうだ。その一方、26日に投開票された台湾統一地方選で与党・民進党が惨敗したことについて、中国当局から「結果は平和や安定を求め、良い暮らしをしたいという主流の民意を反映したもの」と評価する上から目線の談話が確認されている。
対して後者は、IAEAが外部電源から遮断されていたウクライナ4原発について、「電力網に再接続」と発表し、目先は再び危機から脱した感もあるが依然として予断を許さない。そうしたなか、欧州委員長はゼレンスキー氏と電話会談し「電力復旧への支援」を表明したほか、英国のクレバリー外相は、ウクライナ大統領を訪問しゼレンスキー大統領と対面式で会談。学校や防空壕のインフラ再建として300万ポンドの資金提供などを明らかにしたという。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、週明けから予想以上のドル安が進行している。先週安値138.05円がすでに視界内に捉えられているうえ、割り込めば15日安値の137.67円がターゲットとなりそうだ。また15日安値も仮に下回ると、その下値メドは少し遠いが135円半ばとなる。さらなるドル安進行の可能性もある。
12月13-14日の米FOMCが市場では注視されており、それに向けて発表される一連の米経済指標の内容への関心も高い。筆頭は週末に発表される米雇用統計になるのだろうが、本日発表される11月のダラス連銀製造業活動指数も一応要注意だ。また、本日東京時間は日経平均などともに冴えないNYダウ先物の動きもドル売り要因として思惑を呼んでいただけに、実際のNYダウをはじめとする米現物株の動きもしっかりと見極めたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は151.94円を起点にしたドル下落第一波は137.67円で取り敢えず終了したが、先週記録した142.25円までの戻りを経て、ドル下落の第二波が始まった感もある。まずは前述した137.67円をめぐる攻防に注目だ。下回ると、ドル安値130.40円を起点とした上げ幅の76.4%戻しにあたる135円半ばがドルの下値メドとなる。
本日は米経済指標として、11月のダラス連銀製造業活動指数が発表されるほか、NY連銀総裁によるオンライン討論会参加など要人の発言機会も少なくない。また欧州ファクターとしてEU外相理が予定されており、こちらも一応要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは137.30-138.80円。ドル高・円安方向は140円が遠のきつつあるだけでなく、本日東京で割り込んだ139円との乖離も少し大きくなってきた。ドル高方向への動きを今後残すのであれば、早めに139円台を回復しておきたい。
対するドル安・円高方向は先週安値の138.05円、そして137.67円をめぐる攻防にまずは注目だ。ただ、ドル下落第二波がすでにはじまっているのだとすれば、ドルの下げ余地はまだまだ大きそう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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