ドル円、一時137円台半ばまで急落するも米当局者による相次ぐタカ派発言で急反発(11/29朝)

週明け28日(月)のドル円相場は急落後に急反発。

ドル円、一時137円台半ばまで急落するも米当局者による相次ぐタカ派発言で急反発(11/29朝)

ドル円、一時137円台半ばまで急落するも米当局者による相次ぐタカ派発言で急反発

○ドル円、米FRBによる利上げペース鈍化観測などで、欧州時間朝方に約3ヵ月ぶり安値137.51まで急落
○しかし、その後下げ渋ると、FRB高官による相次ぐタカ派的発言を支援材料に138.88前後まで持ち直す
○ユーロドル、米金利低下などを背景に約5ヵ月ぶり高値1.0497まで急伸後、反動売りなどで値を崩す展開
○ドル円、主要サポートポイントを軒並み下抜けするなど地合いは極めて弱いと判断
○今後は、134円台前半に位置する200日移動平均線を試しにいく動きに注意が必要
○ファンダメンタルズも、日米名目金利差の縮小観測など、ドル円相場の下落を連想させる材料増
○ドル円相場の下落(一巡後の反落)をメインシナリオとして予想
○本日の予想レンジ:137.75ー139.75

海外時間のレビュー

週明け28日(月)のドル円相場は急落後に急反発。(1)好調なブラックフライデーの結果を好感する形で、アジア時間早朝に高値139.42まで上値を伸ばすも、先週末金曜日に記録した高値139.60をバックに伸び悩むと、(2)米FRBによる利上げペース鈍化観測や、(3)上記2を背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは10/5以来の低水準となる3.62%へ低下)、(4)中国各地で広がるゼロコロナ政策への不満を背景としたデモ活動、(5)株式市場の軟調推移、(6)上記4、5を背景としたリスク回避の円買い圧力(円キャリートレード逆流への警戒感→クロス円下落→ドル円連れ安)、(7)原油先物価格の急低下(本邦の貿易赤字縮小期待→円売り圧力の減退)(8)11/15に記録した直近安値137.68を下抜けたことに伴うロスカットが重石となり、欧州時間朝方にかけて、8/26以来、約3ヵ月ぶり安値となる137.51まで急落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(9)急ピッチな下落に伴う反動(自律反発)や、(10)セントルイス連銀ブラード総裁による「市場はFOMCがより積極的になる可能性があることを過小評価」「2024年に入っても利上げを継続する可能性も」とのタカ派的な発言、(11)ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「中銀はインフレ抑制の為に一段の行動を取る必要がある」「追加利上げは経済のバランス回復に役立つ」とのタカ派的な発言、(12)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが3.62%から3.71%へ急上昇)、(13)株式市場の大幅下落(リスク回避の円買いからリスク回避のドル買いへのシフト)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間11/29午前5時00分現在)では、138.88前後まで持ち直す動きとなっております。

週明け28日(月)のユーロドル相場は急伸後に急反落。アジア時間朝方にかけて、安値1.0341まで下げ幅を広げるも、一目均衡表転換線をバックに下げ渋ると、(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)オランダ中銀クノット総裁による「インフレ目標を達成するにはユーロ圏の景気減速が不可避」とのタカ派的な発言、(3)スロバキア中銀カジミール総裁による「ユーロ圏の景気後退リスクが高まっているがインフレ抑制を重視するため利上げを継続する」とのタカ派的な発言、(4)独国債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(5)11/15に記録した直近高値1.0481を上方ブレイクしたことに伴う仕掛け的なユーロ買い・ドル売りが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、6/29以来、約5ヵ月ぶり高値となる1.0497まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)短期間で上昇したことに伴う反動売り(利食い売り)や、(7)米当局者によるタカ派的は発言、(8)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/29午前5時00分現在)では、日通し安値圏となる1.0346前後まで値を崩す展開となっております。

本日の見通し

ドル円は10/21に記録した約32年ぶり高値151.95をトップに反落に転じると、昨日は一時137.51(8/26以来、約3ヵ月ぶり安値圏)まで急落する展開となりました(約1ヵ月で14.44円の暴落劇→海外勢参入後に持ち直すも戻りは鈍い)。この間、ローソク足が主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、雲上限や雲下限、21日移動平均線や90日移動平均線)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。ここから先は134円台前半に位置する200日移動平均線を試しにいく動きに注意が必要でしょう。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、米利上げペースの鈍化観測や、日米名目金利差縮小観測、それらに伴う円キャリートレードの逆流懸念、原油先物価格低下に伴う本邦貿易赤字の縮小期待(構造的な円売り圧力の後退)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります(米当局者によるタカ派的な発言が散見されますが、米利上げペース鈍化の方向性は不変と見られることから影響は小さいと判断)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落(一巡後の反落)をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米11月消費者信頼感指数に注目が集まりますが、明日11/30に今週のメインイベントの一つであるパウエルFRB議長講演を控えているため、本日から明日にかけては上下しつつも方向感を見出しにくい時間帯が続きそうです(重要イベントを前に様子見ムードが広がり易い)。

本日の予想レンジ:137.75ー139.75

注:ポイント要約は編集部

ドル円、一時137円台半ばまで急落するも米当局者による相次ぐタカ派発言で急反発

ドル円日足

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