ユーロ ダマシの連続も短期上昇局面は変わらず(週報11月第1週)

先週のユーロドルは、月曜から木曜までは上下しながらもユーロ安の流れが続きました。

ユーロ ダマシの連続も短期上昇局面は変わらず(週報11月第1週)

ダマシの連続も短期上昇局面は変わらず

〇先週のユーロドル、月曜から木曜までは上下しながらもユーロ安の流れ続く
〇週末はやや売りが先行していた短期筋が週末前にポジション調整に動きユーロ買い戻し出る
〇既に景気後退リスクが高まっているため長期的にはユーロドルは下降トレンドを継続しやすい
〇今週は連日続くECB関係者の発言に注目、大幅利上げのECB理事会後の発言として変化あるか
〇今週は0.9800レベルをサポートに、1.0080レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、FOMC直後の一時的なドル売りの際にユーロドルでは買い戻しが入ったものの、それを除くと月曜から木曜までは上下しながらもユーロ安の流れが続きました。ひとつは米金利が上昇する動き、もうひとつは後述しますが、テクニカルなユーロ買いの仕掛けが失敗したことでポジション調整による売りが出ていたと考えられます。週末はやや売りが先行していた短期筋が週末前にポジション調整に動いたことによるユーロ買い戻しが出ていたようです。

先週の最大の注目材料はFOMCでしたが、前週に先に0.75%の利上げに動いたECBと同じ0.75%の利上げをFRBが実施したことで、金利差材料は変化なしです。問題はここから1.25%の利上げに動くであろうFRBに対して、今後ECBはどの程度利上げに動くのか、また米国同様に急速な利上げが今後の欧州経済にどの程度の後退リスクをもたらすのかという点でしょう。既に景気後退リスクがかなり高まっていることから、長期的にはユーロドルは下降トレンドを継続しやすいと考える向きが多いと見られます。

今週は経済指標よりも連日続くECB関係者の発言が気になります。特にラガルドECB総裁、エコノミストのレーンECB理事の講演を中心にリストには上げていない中銀総裁の講演もあり、タカ派的、ハト派的様々な意見が出てくるでしょうから、大幅利上げに動いたECB理事会後の発言として変化があるのかどうかを見ておきたいところです。

それ以外は英国GDP速報値程度ですので、テクニカルな動きを確認していきましょう。日足チャートをご覧ください。

ダマシの連続も短期上昇局面は変わらず

年初来高値からのレジスタンスライン(青の太線)を上抜けたことで、それまでのユーロ売りからユーロ買いに転換したと思ったら反落したことでレジスタンスラインを下回る水準まで下げ、そこから金曜の大幅高です。この道中でかなりのストップが出たと見られますし、往復ビンタをくらったトレーダーも多いと思います。ただ、一連の動きが終わった後で見ると、最後の下げの後の上昇はレジスタンスラインまで押した後の反発という動きの誤差の範囲でもあり、テクニカルには10月高値をターゲットにしやすい流れにあると言えます。

そして、動きとしては9月安値を起点とするピンクの上昇チャンネルの中での動きが考えられ、サポートラインは週初の段階で0.9780レベルです。これらを合わせて考えると、今週のユーロドルはやや底堅い展開を予想し、0.9800レベルをサポートに、1.0080レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週は久しぶりにユーロ円の日足チャートを見ておきましょう。

ダマシの連続も短期上昇局面は変わらず 2枚目の画像

ドル円同様にドル円での介入直前に高値148.39をつけ、介入直後に安値143.76をつけ、その後は横方向のもみあいとなっています。直近では介入直後の安値に近づきましたが、金曜のユーロドル上昇でユーロ円もまた上昇し、介入前後の高値と安値の半値となる146.08レベルをもみあいの中心としやすい流れになってきたと考えられます。

ドル円はもみあい、ユーロドルはやや底堅い展開を考えていますので、目先はややユーロ買いが先行しやすい地合いですが、147円台では売りも出てくるという流れが考えられます。ユーロ円は8月安値から大きな上昇チャンネル(ピンク)の中での動きを考えることもできますが、上昇トレンドに回帰するにはドル円で改めてドル買いが強まる必要もありそうですから、基本的には高値圏でのもみあいとなって行きそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月7日(月)
**:** 米国冬時間開始 ☆
16:00 ドイツ9月鉱工業生産
17:40 ラガルドECB総裁講演 ☆
18:30 パネッタECB理事講演

11月8日(火)
09:01 英国10月小売売上高
16:45 フランス9月貿易収支
17:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
19:00 ユーロ圏9月小売売上高
26:30 ベルギー中銀総裁講演

11月9日(水)
19:00 エルダーソンECB理事講演

11月10日(木)
09:01 英国10月住宅価格
20:30 スペイン中銀総裁講演
22:00 シュナーベルECB理事講演

11月11日(金)
**:** 米国債券市場休場
16:00 英国7〜9月期GDP速報値 ☆
16:00 英国9月鉱工業生産、貿易収支
16:00 ドイツ10月CPI
18:00 オーストリア中銀総裁講演
21:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
21:00 パネッタECB理事講演
25:00 レーンECB理事講演 ☆
25:00 スペイン中銀総裁講演
26:30 ドイツ連銀総裁講演

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月31日(月)
ユーロドルは欧州市場まではほとんど動きが見られませんでしたが、欧州市場に入るとドル円同様に米金利上昇によるドル買い・ユーロ売りとなりました。NY前場に0.9873レベルの安値をつけ、そのまま安値もみあいでの引けとなりました。

11月1日(火)
ユーロドルの動きはドル円と全く同じで、NY市場まで下げ続けた米金利の動きに引っ張られて0.98台後半から0.99台半ばまで上昇。しかし、その後の金利上昇局面では東京早朝安値を割り込み0.98台半ばまで押した後、やや戻しての引けとなりました。

11月2日(水)
ユーロドルも基本的な動きはドル円同様で3日FOMCを前にして若干売りが入り、FOMCと議長会見ではドル売り後のドル買いという流れから0.9976レベルまで上伸後に0.9813レベルまで下落し安値引けとなりました。

11月3日(木)
東京市場が休場となった3日はユーロドルは続落し0.9730レベルまで水準を切り下げ、その後0.97台半ばで引けました。ドル円よりも対ユーロでのドル買い(ユーロ売り)が強くユーロ円は2日東京の146.48レベルから3日NYの144.03レベルまで下げました。

11月4日(金)
ユーロドルはドルの動きとしてはドル円と同じで雇用統計までユーロ買い。発表直後からユーロ買いが強まり、引けにかけては0.9967レベルまで買われて高値圏での引けとなりました。

ディスクレーマー

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