ユーロ テクニカルに今回もユーロの下げを考えたい
〇先週のユーロドル、米金利上昇とWSJ観測受け、安値0.9705更新後一転して高値0.9869到達
〇今週後半のECB理事会、0.75%の大幅利上げ予想、会見後のラガルド総裁発言に注目集まる
〇主要国PMI速報値及び7〜9月期GDP速報値も予定、ドイツGDP速報値は前期比マイナス予想
〇ユーロ売りにつながる材料依然として多い、買いの局面ではカウンターで売り出やすい流れか
〇今週は0.9725レベルをサポートに、0.9925レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、週初は英国の減税案撤回によるポンド買いに追随してのユーロ買いとなっていましたが、火曜には高値をつけ全般的なドル買いの動きの中で水曜にはストップオーダーも巻き込んで月曜に買われる前の水準へと押していました。0.97台半ばではユーロ買いも出て来ましたが、上がり切らず金曜には米金利上昇とその後のWSJの利上げ幅縮小検討の観測記事による米金利低下で、ユーロドルは週間安値更新後に切り返して高値圏に近づきドル円とともに荒っぽい週末相場を見ました。
今週は週初に主要国のPMI速報値、週後半にはECB理事会、主要国7〜9月期GDP速報値、ドイツCPI速報値と連日重要イベントが続きます。ECB理事会は0.75%の大幅利上げがコンセンサスとなっていますが、ドイツのCPIが現時点でどのような数字が出てくるのか、またドイツの7〜9月期GDP速報値は前期比でマイナス予想となっていることから今後のスタグフレーション懸念がどの程度高まるのかが気になるところです。
ECB理事会も結果よりもラガルド総裁の会見がより注目され、次の利上げに向けて何らかのガイダンスが示されるかが気になります。米国も景気後退リスクよりも利上げによるインフレ退治優先という見方がFRB関係者、市場参加者ともに共通の認識となっていましたが、WSJの記事がいつものようにFRBの代わりに市場にスタンスの微調整を伝えていると見られ、ECBでは理事会後の会見で同様の見方が示される可能性もありそうです。
ECB理事会も結果よりもラガルド総裁の会見がより注目され、次の利上げに向けて何らかのガイダンスが示されるかが気になります。米国も景気後退リスクよりも利上げによるインフレ退治優先という見方がFRB関係者、市場参加者ともに共通の認識となっていましたが、WSJの記事がいつものようにFRBの代わりに市場にスタンスの微調整を伝えていると見られ、ECBでは理事会後の会見で同様の見方が示される可能性もありそうです。
ただ、現状では利上げが素直にユーロ買いという流れではありませんし、依然としてエネルギー問題やウクライナ問題、さらにはイタリアの右派連合による連立政権などユーロ売りにつながる材料の方が多いこと、テクニカルにも戻り売りで入りやすい水準にいることから、今週もユーロが買われる局面ではカウンターで売りが出やすい流れとなりそうです。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
先週から大きな変化は見られず、年初来高値からのレジスタンスライン(青の太線)と平行ラインと(青)とで構成される下降チャンネル内で、短期的には年初来安値と10月安値を結んだサポートライン(ピンク)とでトライアングル(三角もちあい)を形成中です。
週明け早朝に0.9899レベルの高値をつけ、ちょうどレジスタンスラインにぶつかったところで反落しているため、このまま下げるとこれまでと同じレジスタンスでの戻り売りを繰り返すこととなりますが、ラインの位置する水準自体が0.98台後半とだいぶ低くなってきていることを考えると、今週は上下どちらに抜けてもおかしくない状況です。
材料やこれまでのテクニカルな動きを考えるとトライアングルの下抜けの可能性の方が高いのですが、ローソク足の終値ベースで抜けてくる場合に、その方向についていくことがよいでしょう。ここでは今回も上ヒゲでのトライ程度で反落するシナリオを想定し、0.9725レベルをサポートに、0.9925レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週はポンドドルの日足チャートを見ておきましょう。
史上最安値更新後のポンドドルは上下しながらも短期的には底打ちから一段高を目指しやすいチャートとなっています。ドル高の動きがポンドの上値を抑えてはいますが、9月高値からのレジスタンスラインを上抜けそうなチャートとなってきました。
もちろんレジスタンスラインを抜けられず反落ということになれば、改めてポンド売り再開ということになりますが、現在案撤回とトラス首相辞任を受け目先の悪材料が一巡したことから9月高値水準までの買い戻しが続きやすいと見ています。ユーロポンドの売りも良いかもしれません。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
10月24日(月)
16:15 フランス10月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ10月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏10月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国10月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
**:** 保守党党首選第1回投票
10月25日(火)
17:00 ドイツ10月ifo企業景況感 ☆
10月26日(水)
15:45 フランス10月消費者信頼感
10月27日(木)
15:00 ドイツ11月消費者信頼感
21:15 ECB理事会 ☆
21:30 米国7〜9月期GDP速報値 ☆
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
10月28日(金)
14:30 フランス7〜9月期GDP速報値 ☆
15:45 フランス9月PPI
17:00 ドイツ7〜9月期GDP速報値 ☆
18:00 ユーロ圏10月消費者信頼感
21:00 ドイツ10月CPI速報値 ☆
10月30日(日)
**:** 欧州冬時間移行 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月17日(月)
ユーロドルはNY市場までは0.97台前半の狭いレンジでもみあいが続いていましたが、英国の減税案撤回後のポンド高の動きに引っ張られユーロドルでも買いが強まりました。0.9852レベルの高値をつけ高値圏でもみあいのまま引けました。
10月18日(火)
ユーロドルは動きが鈍い1日で0.98台半ばを中心として狭い値幅でのもみあいに終始しました。1日の値幅は64pipsにとどまり、ユーロも対ドルより対円での動きが中心の1日でした。
10月19日(水)
ユーロドルは終日ドル買いの動きからユーロが下げていましたが、欧州市場では前日安値を下回ると短期筋のストップも出ていました。値幅は大きくはなかったものの、珍しくドル円よりもユーロドルでのドル買いが目立った一日でした。
10月20日(木)
ユーロドルは前日安値圏でもみあい後に若干買いが入って欧州市場入り。英国でトラス首相の党首辞任を好感したポンド買いとその後の政局流動化を嫌気したポンド売りの動きに沿って、ユーロドルも0.9846レベルまで買われた後に下落し、ほぼ行って来いの0.97台後半での引けとなりました。
10月21日(金)
ユーロドルはドル高の流れの中でじり安の流れを続け、米10年債利回りが4.335%のピークをつけた際には0.9705レベルと週間安値を更新しました。その後WSJの記事をきっかけに一転ドル売り・ユーロ買いの動きとなり、ドル円の介入によるドル売りも加わって0.9869レベルまで買い戻され高値圏での引けとなりました。
ディスクレーマー
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