短期的な高値は見たものの押し目は買い
〇先週のドル円、一貫してドル高円安の動きで金曜NY市場に151.94レベルまで上伸
〇その後米金利低下に介入も入り146円台前半まで押した後147円台半ばでの週末クローズ
〇週明け、金曜に続き介入出て145円台半ばまで下げたが直後は148円台後半でのもみあい
〇150円の大台を超える動きに対しては現段階では介入で対処するという動きと考えられる
〇今週の日銀会合、現状維持は変わらず総裁会見で出口戦略や円相場への言及あるかに注目
〇今週は145.00レベルをサポートに、大台150.00レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通し
先週のドル円は、覆面介入の噂も出ていましたが、週初から一貫してドル高円安の動きが続き、金曜NY市場で米金利が上昇し10年債利回りは4.335%と2007年11月以来の水準まで上昇するとドル円も151.94レベルまで上伸しました。その後WSJのフェドウォッチャーが12月FOMCの利上げ幅縮小の検討を11月FOMCで行うという観測記事を出し、それをきっかけに米金利低下、ドル売りという動きが出たところに介入も出たことで146円台前半まで押し、その後147円台半ばでの週末クローズとなりました。
市場参加者は介入が出たらカウンターでドル買いと考える向きが多く、実際に週明けのドル円は149円台後半までドル買いが強まっていましたが、金曜に続いて介入が出たことで145円台半ばまで下げたものの、直後は148円台後半でのもみあいとなっています。今朝の動きを見る限り150円の大台を超える動きに対しては現段階では介入で対処するという動きと考えられますが、背景にある日米金利差拡大の流れが変化してこない限り、介入だけで円安進行を止めることは出来ず、円安が急速に進行することに対しての時間稼ぎに過ぎません。
こうした流れで介入が入る際のインターバンクの動きとしても、介入指示が出た直後にはドルを売りますし、介入金額に乗せて自己のドル売りポジションを作ることもありますが、下がり切らないと見たらすぐに自己ポジションは買い戻しますし、再度ドル買いと考えれば介入が入るまではドル買い再開という動きに出てきます。今朝の介入は今回の介入が初めてという個人投資家は騙せても、プロの投機筋に絶好のドルの買い場を提供するのみです。元の原因である日米金利差が縮小方向になるか、あるいは別の新規ドル売り材料が出て来ない限り止まるものではありません。
今週は金融政策ではECB理事会、日銀会合とありますが、ECBによる0.75%利上げは織り込み済みで、来週にはFRBの0.75%利上げが続くことを考えると、これを材料にドル円が動くことは無さそうですし、日銀会合も現状維持は変わりませんので、総裁会見で何か出口戦略や円相場への言及があるかを見たいというところでしょうか。それ以外にも連日経済指標の発表が多く、中でも米国7〜9月期GDP速報値がもっとも注目される材料となりそうです。今回は+2.1%予想ですが、予想よりも弱いと12月の利上げペース縮小思惑が強まることとなりそうです。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
長期的には1990年高値の160円台まで大きなレジスタンスはありませんが、金曜と今朝の介入もあり、短期的には金曜で高値をつけた格好です。そこで前回介入時の安値と今回介入前の高値から押しを計算すると半値押しが146.13、61.8%押しは144.77(それぞれ赤のターゲット)となっていることがわかります。前者は今朝の下げで割り込んでいましたので、後者の145円割れの水準が今後のサポートになってくると考えられます。
値動きも荒っぽいため、ある程度の値幅を考えた方が良さそうですから、今週はテクニカルなターゲットに近い145.00レベルをサポートに、大台150.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
10月24日(月)
**:** NZ、シンガポール市場休場
16:15 フランス10月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ10月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏10月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国10月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
22:45 米国10月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
**:** 保守党党首選第1回投票
10月25日(火)
17:00 ドイツ10月ifo企業景況感 ☆
22:00 米国8月住宅価格、ケースシラー住宅価格 ☆
23:00 米国10月消費者信頼感 ☆、リッチモンド連銀製造業景況指数
10月26日(水)
09:00 NZ10月企業信頼感
09:30 豪州7〜9月期CPI ☆
15:45 フランス10月消費者信頼感
21:30 米国9月卸売在庫
23:00 米国9月新築住宅販売 ☆
23:00 カナダ中銀政策金利発表 ☆
23:30 週間原油在庫統計
24:00 カナダ中銀総裁会見
10月27日(木)
**:** 日銀会合(〜28日)
09:30 豪州7〜9月期輸入物価
15:00 ドイツ11月消費者信頼感
16:00 トルコ9月貿易収支
18:30 南ア9月PPI
21:15 ECB理事会 ☆
21:30 米国7〜9月期GDP速報値 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国9月耐久財受注
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
10月28日(金)
08:30 本邦10月東京区部CPI ☆
08:30 本邦9月失業率・有効求人倍率
09:30 豪州7〜9月期PPI
**:** 日銀会合結果発表
14:30 フランス7〜9月期GDP速報値 ☆
15:30 黒田日銀総裁会見 ☆
15:45 フランス9月PPI
17:00 ドイツ7〜9月期GDP速報値 ☆
18:00 ユーロ圏10月消費者信頼感
21:00 ドイツ10月CPI速報値 ☆
21:30 米国9月個人所得・消費支出 ☆
21:30 米国7〜9月期雇用コスト
23:00 米国10月ミシガン大消費者信頼感
23:00 米国9月住宅販売保留件数
10月30日(日)
**:** 欧州冬時間移行 ☆
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月17日(月)
ドル円は148円台に乗せても全く下がる気配がなく勢いは無いもののじりじりとドル高が進む1日となりました。NY市場後場には149円台に乗せ、他通貨ではドル安の動きとなる中で円独歩安の動きが鮮明となってきました。
10月18日(火)
ドル円は東京市場では上値が重く148円台後半で小動きを続けていましたが、欧州市場序盤にドル買いに切り返し18時前には149.29レベルの高値をつけました。18時を過ぎた頃に突然1円以上円高に振れ、直後に戻すという動きがあり、介入が噂されました。しかし、その後は改めてドル買いへと回帰しNY昼前には149.39レベルと日中高値を更新、そのまま底堅い動きのまま引けました。
10月19日(水)
ドル円は終日ドル高円安が続きました。NY後場には149.91レベルの高値をつけましたが、150円にはオプション絡みのオーダーがあり、149.95~99では防戦のドル売りオーダーも出ている様子でした。
10月20日(木)
ドル円は東京市場では高値圏でのもみあいを続けていましたが、欧州市場序盤に150円台に乗せた直後に反落した後はNY昼過ぎまでは再びもみあいとなりました。NY後場に入りFRB関係者からタカ派発言が続き150.29レベルまで上昇後、わずかに押して引けました。
10月21日(金)
ドル円はNY市場まで日米金利差拡大思惑を背景としたドル買いが続き、NY前場には米10年債利回りが4.335%まで上昇し、ドル円も151.94レベルへと高値を切り上げました。その後WSJの12月利上げ幅縮小観測記事に反応し、米金利低下とドルの頭打ちの動きが始まったところに介入が出たことで146.1レベルまで急落し、引けにかけては147円台半ばに戻して引けました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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