ユーロ 長期下降トレンド内の踊り場でもみあい(週報10月第1週)

先週のユーロドルは、ポンドの動きの影響が大きく東京市場で史上最安値を更新したポンドドルの下げとともにユーロ売り、週半ばまで上値の重たい動きとなっていました。

ユーロ 長期下降トレンド内の踊り場でもみあい(週報10月第1週)

ユーロ 長期下降トレンド内の踊り場でもみあい

〇先週のユーロドル、ポンド史上最安値更新に伴い0.9553まで下げる、週半ばまで上値重い展開
〇英中銀QE再開でポンド・ユーロともに買戻しの動きに、伊極右政党台頭はユーロ売り材料に
〇円買い介入でユーロ円は安値137.39至る、ユーロドル・ドル円ともにドル買い継続は変わらず
〇今週はECB理事会議事録公表、新規材料の有無に注目、ハト派的内容が出た場合のユーロ売り注意
〇今週は0.9630レベルをサポートに、0.9880レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、ポンドの動きの影響が大きく週初の東京市場で史上最安値を更新したポンドドルの下げとともにユーロ売り、その後週半ばまでは上値の重たい動きとなっていました。週後半はポンドの買い戻しとともにユーロも買い戻された動きですが、ポンド買い戻しのきっかけは英中銀によるQE再開の発表でした。

全体としては、依然としてピーク感が出て来ない欧州のインフレとそれに対応したECBの大きく速い利上げが景気後退を招くというベースがあります。さらに既に停止して1か月が経過するノルドストリームの影響から天然ガス価格が高止まりしていますが、ノルドストリームでのガス漏れも悪材料とされました。このガス漏れはロシアによる意図的なものではないかとも言われ、今後もノルドストリームの再開は一層困難になってきたと言えるでしょう。

そして懸念されてはいたもののイタリアの総選挙で極右が第1党となり、右派連合が連立政権を組むことになったことから、欧州の足並みが乱れることになるのではないかということもユーロの売り材料として加わりました。金融政策的にはECBの利上げをユーロ買いと見ることも可能ですが、米国の利上げはECB以上のペースでしばらくは続いていきますので、金利差という点ではECBの利上げを素直にユーロ買いとは取れません。

また冒頭に書いたポンドの史上最安値更新ですが、現時点ではいったん収まっているものの、どこで売りが再開するかわかりませんし、その時にはポンドでもパリティを目標にしてくるでしょうから、これでポンド売りが止まったとは言えません。すぐにでは無いにせよ、今後ポンド売りが再開する時にはユーロも引っ張られて年初来安値を更新してくる流れになりそうです。

今週は経済指標は多いもののPMIは改定値ですから、影響の大きそうなものはECB理事会の議事録公表で新たな材料が出てくるかどうかというところでしょうか。ただ、既にタカ派な動きは織り込んでいることを考えると、議事録でハト派的な内容が出た際のユーロ売りの動きが最も影響が出やすいと見られます。サプライズは無いと思いますが、その点にだけは注意です。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロ 長期下降トレンド内の踊り場でもみあい

年初来高値からのレジスタンスライン(青の太線)と平行ラインと(青)とで構成される下降チャンネルは依然として有効ですが、ごく短期的には安値を見て戻している動きです。その戻しも9月高値と安値の半値戻しが0.9867と8月下旬から9月上旬にかけての安値圏と一致していることから、この短期的な戻しのターゲットとしてはこの半値戻しが参考になります。

多少の誤差を考えて0.98台後半がレジスタンスとなり、パリティまでの戻しは期待できないという見方ですが、下値に関しては0.96台前半ではいったん買いも出てきやすいという動きです。今週は長期下降トレンドの中の踊り場形成の週と考え、0.9630レベルをサポートに、0.9880レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートを見ておきましょう。

ユーロ 長期下降トレンド内の踊り場でもみあい 2枚目の画像

円買い介入でユーロ円も大きく下げ、先週月曜にはポンドドルの史上最安値更新とともにユーロ円は137.35レベルまで下げました。チャートでは安値が137.39となっています。

ユーロドルとドル円双方が買い戻されたことによるものですが、大きな流れはドルの独り勝ち状態であり、ドル円もユーロドルもドル買いの動きが続きやすい流れには変化は無いと見ています。ユーロ円は9月高値と安値の61.8%戻しが142円台半ばとなっていて、9月中旬までは同水準がサポートとなっていて、その後大きく下げる動きとなりました。

以前のサポートはレジスタンスとなりやすいことからユーロ円の142円台半ばから後半にかけてはいったん売り場になりやすいものと見ています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

10月3日(月)
16:50 フランス9月製造業PMI
16:55 ドイツ9月製造業PMI
17:00 ユーロ圏9月製造業PMI
17:30 英国9月製造業PMI

10月4日(火)
18:00 ユーロ圏8月PPI ☆
21:30 ポルトガル中銀総裁講演

10月5日(水)
15:00 ドイツ8月貿易収支
15:45 フランス8月鉱工業生産
16:50 フランス9月サービス業PMI
16:55 ドイツ9月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏9月サービス業PMI
17:30 英国9月サービス業PMI

10月6日(木)
15:00 ドイツ8月製造業新規受注
17:30 英国9月建設業PMI
18:00 ユーロ圏8月小売売上高
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆

10月7日(金)
15:00 ドイツ8月小売売上高、鉱工業生産、輸入物価
15:45 フランス8月貿易収支
21:30 米国9月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月26日(月)
ユーロドルは週末のイタリア総選挙で極右が第1党となり反EUの姿勢を強めるとの懸念に売りが先行していたところに、ポンドドルが500pips近い急落で史上最安値を更新した動きが重なり0.9553レベルの安値をつけました。その後は急速に値を戻し0.96台半ばを中心としたもみあいとなり、引けにかけては小緩んで引けています。

9月27日(火)
ユーロドルは東京市場ではドル売りの動きからユーロの買い戻しが先行しましたが、欧州市場に入りノルドストリームでガス漏れが発生しているとのニュースに天然ガスが大幅高となり、ユーロドルは売りに転じました。その後もイタリアの政治など新たな不安材料も出てきたことからユーロは上値が重たいままで引けました。

9月28日(水)
 ユーロドルはNY市場までは上値が重く東京後場には一時0.9538レベルと安値を更新しましたが、NY市場に入りポンドが買い戻される動きとともにユーロドルにも買い戻しが入り、0.9751レベルまで上昇後、高値圏でもみあいのまま引けました。

9月29日(木)
ユーロドルも基本的にはドル円同様にユーロ売りが先行後、欧州市場以降はユーロ買い戻しの動きとなりました。月末を控えて実需のユーロ買いも出ていたことから、0.9816レベルまで上伸後に高値引けとなりました。

9月30日(金)
ユーロドルは、ドル円とはやや動きは異なるものの東京前場はユーロ売り、後場はユーロ買いとなり欧州市場序盤には0.9854レベルの高値をつけました。その後は米金利上昇の動きからユーロ売りとなりNY朝方には0.9734レベルの安値をつけ、その後買い戻されてからは0.98前後でもみあいのまま引けました。

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