調整局面継続も短期的には円高
〇先週のドル円、ユーロドルの上昇とともにドルの上値が重たい展開
〇黒田日銀総裁が出口戦略と米金利上昇による円安について言及、直後は円高に動くが戻す
〇今週は月曜がNY市場、木曜金曜がLDN市場休場でロンドンフィキシングが動きにつながる可能性
〇125円レベルトライか上昇に転じるか、今週から来週にかけては次のトレンドを見極める時期
〇今週は125.80レベルをサポートに127.80レベルをレジスタンスとする流れとみる
今週の週間見通し
先週のドル円はECB関係者からタカ派発言が続くことによるユーロドルの上昇とともにドルの上値が重たい展開となりましたが、気になった発言としては衆議院予算委員会での質問に答える形ではあったものの黒田日銀総裁が出口戦略と米金利上昇による円安について言及した点が目新しかったというところでしょうか。総裁発言直後には円高に動いたもののその後は下げる前の水準へと戻し、週末に向けては方向感が出ないまま、もみあいで終わった週末でした。
今週はイベントは多いのですが、米国雇用統計はすでに大きな材料とはなりませんし、米国も欧州も当面の金融政策についてはコンセンサスがブレなくなってきたことで、こちらもまた大きな材料とはしにくくなってきました。月末月初を挟んで月曜がNY市場休場、木曜金曜がLDN市場休場となることで、ロンドンフィキシングのほうが動きにつながる可能性があるかもしれません。
材料的な面では長期的には日米金利差拡大によるドル高トレンドに変化は無いものの目先は最初のテクニカルなターゲットとなっていた127円レベルで調整を挟み、次のテクニカルなターゲットとなる125円レベルをトライするのか、あるいは短期下降トレンドが終わって上昇に転じるのか、今週から来週にかけては次のトレンドを見極める時期に入ってきたかと思います。
テクニカルにはどうか、日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
前週と同じく年初来安値と高値のフィボナッチ・リトレースメント23.6%押し127.12近辺で下げ止まっていますが、上値も重いことから次のターゲットとなる3月高値125.08レベルを視野に入れている状況に大きな変化は無いと見られます。
シカゴの通貨先物も円売りポジションが10万枚前後の高水準で変化が見られないことから、ポジション的には円売りに傾いていますので、短期的には先週の黒田日銀操作発言後の下げといった動きが今週も見られるのではないかという気がしてなりません。日柄的には6月3日前後に円高方向への調整が入りやすいということもあり、125円を目指す前段階として先週安値をトライする週になるのではないかと考えています。
今週は125.80レベルをサポートに127.80レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
5月30日(月)
**:** NY市場休場
15:00 ドイツ4月輸入物価指数
18:00 ユーロ圏5月消費者信頼感
21:00 ドイツ5月CPI速報値
22:15 ポルトガル中銀総裁講演
24:00 ウォラーFRB理事講演
26:00 ドイツ連銀総裁講演
**:** EUサミット(〜31日)
5月31日(火)
07:45 NZ4月住宅建設許可
08:30 本邦4月失業率・有効求人倍率
10:00 NZ5月企業信頼感
10:30 中国5月製造業PMI
10:30 豪州4月住宅建設許可
15:45 フランス5月CPI速報値、4月PPI
16:00 フランス中銀総裁講演
16:00 トルコ1〜3月期GDP
16:00 トルコ4月貿易収支
16:55 ドイツ5月失業率
17:30 イタリア中銀総裁、アイルランド中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏5月CPI速報値
18:30 南ア1〜3月期失業率
21:00 南ア4月貿易収支
22:00 米国3月住宅価格、ケースシラー住宅価格
22:45 米国5月シカゴ購買部協会景況指数
6月1日(水)
10:30 豪州1〜3月期GDP
10:45 中国5月MarkIt製造業PMI
15:00 英国5月住宅価格
16:00 トルコ5月製造業PMI
16:50 フランス5月製造業PMI
16:55 ドイツ5月製造業PMI
17:00 ユーロ圏5月製造業PMI
17:30 英国5月製造業PMI
18:00 ユーロ圏4月失業率
20:00 ラガルドECB総裁、フランス中銀総裁講演
22:45 米国5月製造業PMI
23:00 カナダ中銀政策金利発表
23:00 米国5月ISM製造業景況指数
23:00 米国4月建設支出
24:15 パネッタECB理事議会証言
24:30 レーンECB理事講演
24:30 NY連銀総裁講演
26:00 セントルイス連銀総裁講演
27:00 ベージュブック
6月2日(木)
**:** LDN市場休場
10:30 豪州4月貿易収支
15:45 フランス中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏4月PPI
20:30 米国5月チャレンジャー人員削減数
21:15 米国5月ADP全国雇用者数
21:30 米国1〜3月期非農業部門労働生産性改定値
21:30 米国新規失業保険申請件数
23:00 米国4月製造業新規受注
24:00 週間原油在庫統計
24:15 スペイン中銀総裁講演
26:00 クリーブランド連銀総裁講演
6月3日(金)
**:** 香港、中国、LDN市場休場
15:00 ドイツ4月貿易収支
15:45 フランス4月鉱工業生産
16:00 トルコ5月CPI
16:50 フランス5月サービス業PMI
16:55 ドイツ5月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏5月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏4月小売売上高
21:30 米国5月雇用統計
22:45 米国5月サービス業PMI
23:00 米国5月ISM非製造業景況指数
23:30 ブレイナードFRB理事講演
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
5月23日(月)
ドル円は東京前場に下押しする場面も見られましたが昼過ぎにはすぐに戻し、その後は終日127円台半ばから後半でのもみあいに終始しました。
5月24日(火)
ドル円は東京仲値過ぎに米金利上昇の動きとともに一時的に上昇する場面も見られましたが、その後の米金利は一貫して低下しドル円も上値の重たい展開が続きました。NY市場に入り4月26日安値を割り込むと仕掛けの売りが加わって126.36レベルまで水準を切り下げた後に後半まで買い戻しが入って引けました。
5月25日(水)
ドル円は終日じり高の流れとなっていましたが、前日海外市場での下げに対する調整に加え、ユーロドルの下げによるドル買いによってドル強含みとなりましたが、127円台半ばではドル売りオーダーも見られたことでそれ以上のドル買いにはつながりませんでした。
5月26日(木)
ドル円は欧州市場序盤に黒田日銀総裁が衆議院予算委員会で出口戦略について「金融市場の安定を確保しながら適切に遂行するのは十分可能」と出口戦略について言及したこと、また米国の利上げで「どんどん円安になるということではない」とも発言したことで円高に振れ一時126.55レベルの安値をつけました。NY市場では堅調な株式市場の動きとともに買い戻しという従来型のリスクオフの巻き返しといった動きとなり、下げる前の水準に戻して引けました。
5月27日(金)
ドル円は安値を切り上げるいっぽうで127円台前半では上値が重く収束の流れを終日続けました。米国が3連休となる週末で目立った材料も無かったことからレンジも57銭と最近にしては狭く方向感が出ないままの週末となりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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