トルコリラ円見通し トルコ中銀金融政策決定会合後の買い戻しは勢い付かず(22/5/30)

トルコリラ円の5月27日は7.85円から7.73円の取引レンジ、28日早朝の終値は7.82円で前日終値の7.76円からは0.06円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀金融政策決定会合後の買い戻しは勢い付かず(22/5/30)

トルコリラ円見通し トルコ中銀金融政策決定会合後の買い戻しは勢い付かず

〇トルコリラ円5/27高値7.85、中銀金融会合後7.71つけ安値更新、買い戻し一巡後反落
〇対ドル16リラ台序盤で越週、5/30午前16.45へ下落、リラ安基調継続感強める
〇5/31トルコ1-3月期GDP発表予定、予想7.1%増、前期から大幅鈍化の見方もあり
〇6/3消費者物価上昇率発表予定、リラ安でインフレ率加速の可能性
〇7.85を超える場合は7.90手前試し、7.90手前では戻り売りにつかまりやすいとみる
〇7.80を下回った状況が続く場合は7.73円試し、7.73割れからは7.60円台中盤を目指すとみる

【概況】

トルコリラ円の5月27日は7.85円から7.73円の取引レンジ、28日早朝の終値は7.82円で前日終値の7.76円からは0.06円の円安リラ高となった。
5月26日夜にトルコ中銀は5会合連続で政策金利の週間レポレートを14.0%で据え置いたが、発表直後に7.71円をつけて4月28日高値8.88円以降の最安値を更新したものの、当面の売り材料消化として買い戻しに入り8.82円までいったん戻した。買い戻し一巡後の反落で5月27日夜には7.73円まで下げたものの5月26日夜安値割れを回避したために目先は底固いとみられて再び買い戻し優勢となり深夜高値で7.85円をつけた。
週間では前週末の5月20日終値8.03円から0.21円の円高リラ安で3週連続の週足陰線となった。
5月30日午前序盤は7.80円を割り込んで反落開始している。トルコ中銀金融政策発表を通過した後のポジション調整的な動きも積極的な上昇基調への転換には至らずにリラ売り再開の気配。

【対ドルでの大幅下落一服だが1ドル=16ドル台序盤にとどまる】

ドル/トルコリラの5月27日は16.40リラから16.18リラの取引レンジ、28日早朝の終値は16.18リラで前日終値の16.34リラからは0.16リラのドル安リラ高だった。
5月26日夜のトルコ中銀政策金利発表を前にして26日午後に16.45リラまで安値を更新してからは様子見の展開となっていたが、市場予想通りの政策金利現状維持だったためにイベント通過感から26日夜にはいったん16.24リラへ反発し、27日夜にかけて再びリラ売り優勢となり16.40リラまで下げたものの新たな安値更新を回避したことで底固いとみられてリラ買い戻しの動きが回復、深夜には16.18リラまで上昇し、そのまま16リラ台序盤で週を終えた。
週間では前週末5月20日終値の15.90リラから0.28リラのドル高リラ安、6週連続の週足陰線での下落となった。
5月30日午前序盤は一時16.45リラへ下落してリラ安基調の継続感を強めており、トルコ中銀が16.50リラ手前でリラ安抑制へ動くのか注目されるところだ。

【5月31日のGDPから6月3日の5月CPI発表へ重要週に】

5月26日のトルコ中銀政策金利発表を通過したことで、市場の関心は5月31日のトルコ1-3月期GDP、6月3日の5月トルコ消費者物価上昇率の発表へと向かう。
トルコはパンデミック発生時の景気悪化から早く立ち直り、G20の中でも力強い回復数字を示してきた。2020年4-6月期に前年同期10.4%減へ落ち込んだ後は6%以上を維持、2021年4-6月期は前年からの反動で21.7%増の高成長となり、2021年7-9月期も7.5%増、10-12月期も9.1%増と強い数字を示した。
2022年1-3月期についての市場予想は7.1%増であり10-12月期から伸びが鈍化して2021年1-3月期の7.2%を下回るのではないかとみられている。ただし、ウクライナ戦争とロシア制裁がどの程度の悪影響となるのかについては市場の見方も分かれており、前期から大幅に鈍化するのではないかとの見方も一部にはあるようだ。強い数字ならリラ売り攻勢もやや収まる可能性があるが、予想よりも悪い数字の場合はリラ売りが勢い付く可能性もあるだろう。

6月3日の5月消費者物価上昇率についての市場予想はまだまとまっていないが、前月比では4月の7.25%から伸びがやや鈍化しても前年比では4月の69.97%を超えてくるのではないかと思われる。
消費者物価上昇率が70%近辺となり生産者物価上昇率も4月に121.82%となっている現状はもはやハイパーインフレへの深刻化が懸念される。
ドル/トルコリラ3月から4月にかけては1ドル=15リラ以下の水準だったのに対して5月9日に15リラを突破してから16リラ台前半までリラ安が進行しているため、国際原材料相場の平均値が4月水準と変わらなくてもリラ安によりインフレ率がさらに加速している可能性も考えられる。
コモディティ全体の動向を示すCRB指数は4月29日時点で308.27だったが、5月27日時点では320.52へ上昇しており上昇率は凡そ4%、ロンドン原油は4月29日終値の109.34ドルから5月27日終値119.43ドルへ9%を超える上昇となっている。5月のトルコ消費者物価等の上昇率が市場予想を超える場合は利上げ催促的なリラ売りが激しくなる可能性もあると注意したい。

【3か月から4か月周期での安値形成期】

【3か月から4か月周期での安値形成期】

トルコリラ円の4月28日高値からの下落については、日足チャートレベルにおける概ね3か月から4か月周期の底打ち・天井サイクルで当面の天井をつけて下落期入りしたところという見方をしてきた。このサイクルの前回ボトムは3月11日安値7.76円だったが、5月26日安値7.71円で割り込んでおり、昨年12月23日高値を起点とすれば3月11日安値までを一段目とし、4月28日高値からは二段目の下げに入ったところといえる。
このサイクルにおける主要な底打ちは2020年11月6日安値、4か月目の2021年3月8日安値、3か月目の同年6月2日安値、3か月半の同年9月27日安値、3か月目の同年12月20日安値、3か月弱の今年3月11日安値でつけてきた。3月11日安値を基準とすれば今回の安値形成期は3か月目の6月序盤から長引けば4か月目の7月序盤にかけての間と想定されるため、まだ暫くは安値試しが続きやすい時間帯にあると思われる。このため、数日レベルのリバウンドを入れつつも戻り売り有利の展開で安値更新を繰り返す可能性が高いのではないかと考える。

日足の一目均衡表では5月10日に26日基準線を割り込み、5月12日には9日転換線と26日基準線がデッドクロス、5月16日から17日にかけての下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落している。当面は26日基準線が低下傾向で実線を追いかけつつ短期的な戻りの上値抵抗線となりやすい状況で推移すると思われる。強気転換にはまず26日基準線を上抜き返し、その後に遅行スパンが好転へ向かうように実線へ接近する上昇が必要だ。

日足の14日相対力指数は5月26日時点で20ポイント割れまで下げており、相当な売られ過ぎともいえるが、昨年12月の暴落時では11月後半に10ポイント割れまで下げて12月20日に史上最安値をつけたところでは指数のボトムが10ポイント台へ切り上がって強気逆行を見せてようやく底打ちとなっている。今回はまだ強気逆行は見られない。
以上を踏まえれば、中勢レベルでの強気転換のためにはまず8円台を回復して維持し始めること、日足の3連騰等の上昇を繰り返して8.20円台へ戻すような上昇が必要と思われる。

【当面のポイント】

(1)当初、5月27日安値7.73円を下値支持線、5月27日高値7.85円を上値抵抗線とする。
(2)7.80円を一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、7.85円を超える場合は7.90円手前を試すとみるが、7.90円手前では戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)7.80円を下回った状況が続く場合は下向きの流れとして7.73円試しとし、7.73円割れからは7.60円台中盤(7.67円から7.63円)を目指すと考える。

【当面の主な予定】

5月31日
 16:00 1-3月期GDP 前期比 (10-12月 1.5%)
 16:00 1-3月期GDP 前年同期比 (10-12月 9.1%、予想 7.1%)
 16:00 4月 貿易収支 (3月 -81.7億ドル)
6月1日
 16:00 5月 イスタンブール製造業PMI (4月 49.2)
6月2日
 20:00 トルコ中銀 金融政策委員会議事要旨
 20;30 週次 外貨準備高 グロス 5/27時点 (5/20時点 600.1億ドル)
 20;30 週次 外貨準備高 ネット 5/27時点 (5/20時点 95.6億ドル)
6月3日
 16:00 5月 消費者物価 前月比 (4月 7.25%)
 16:00 5月 消費者物価 前年同月比 (4月 69.97%)
 16:00 5月 消費者物価コア指数 前月比 (4月 4.5%)
 16:00 5月 消費者物価コア指数 前年同月比 (4月 52.4%)
 16:00 5月 生産者物価 前月比 (4月 7.67%)
 16:00 5月 消費者物価 前年同月比 (4月 121.82%)


注:ポイント要約は編集部

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