トルコリラ週報:『政策金利据え置きで約5ヵ月ぶり安値圏へ。インフレ指標に注目』(5/28朝)

トルコリラの対円相場は4/28に記録した約4ヵ月ぶり高値8.90円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約5ヵ月ぶり安値となる7.68円まで急落しました。

トルコリラ週報:『政策金利据え置きで約5ヵ月ぶり安値圏へ。インフレ指標に注目』(5/28朝)

『政策金利据え置きで約5ヵ月ぶり安値圏へ。インフレ指標に注目』

〇トルコ円、週後半にかけ約5ヵ月ぶり安値となる7.68円まで急落
〇トルコ経済先行き不透明感、高インフレ下の中銀の政策金利据え置き等が背景
〇トルコ円、全てのサポートポイントを下抜け弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも成立
〇ファンダメンタルズも、地政学的リスクの長期化懸念、中銀による特異な金融政策運営が重石
〇トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.55ー8.05

今週のレビュー(5/23−5/27)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.03円で寄り付いた後、早々に週間高値8.15円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線をバックに伸び悩むと、@米FOMC議事要旨のタカ派的な結果(米FRBによるインフレ抑制および金融引き締めスタンス明確化)や、A上記@を背景としたトルコから米国への資本流出懸念、Bトルコ経済の先行き不透明感、Cトルコ5年物CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の大幅悪化(2008年以来の水準まで急速に悪化)、Dトルコ中銀による政策金利の据え置き発表(トルコ中銀は4月CPIが69.97%であったにも係わらず、エルドアン大統領の方針に背けず、政策金利を5カ月連続で据え置く結果)、E上記Dを背景とした実質金利の低下圧力、F3/11に記録した直近安値7.76円を割り込んだことに伴う仕掛け的なリラ売り圧力が重石となり、週後半にかけて、昨年12/20以来、約5ヵ月ぶり安値となる7.68円まで急落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/28午前5時00分現在)では、7.82円前後で推移しております。

来週の見通し(5/30−6/3)

トルコリラの対円相場は4/28に記録した約4ヵ月ぶり高値8.90円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約5ヵ月ぶり安値となる7.68円(昨年12/20以来の安値圏)まで急落しました。この間、全てのサポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線、一目均衡表雲上下限など)を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシアを巡る地政学的リスクの長期化懸念(トルコはロシアやウクライナと親密な関係にあるため、地政学的リスクの長期化はトルコ経済の下押し要因)や、Aトルコ中銀による特異な金融政策運営(高インフレにも係わらず、エルドアン大統領の高金利を忌み嫌う独自理論を背景に、トルコ中銀は利上げのカードを使用できず)、B上記Aを背景としたトルコリラの実質金利急低下とトルコ中銀への失望感(政府・中銀の非独立性に対する失望感)、C米FRBによるタカ派スタンスの明確化(トルコから米国への資金流出懸念)、Dトルコ経済の先行き不透明感、E経常赤字拡大に伴う構造的なリラ売り圧力、F外貨準備減少に伴うリラ売り防衛能力の低下、Gエルドアン大統領に対する求心力低下など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。

昨年12月以降、トルコ政府・中銀は資本規制を通じて、リラ売り抑制を図ってきましたが、足元で急速にリラ売り抑制効果が剥落しつつあります(強引な資本規制は副作用を伴うことから長期化が難しい→5ヵ月の時を経て資本規制強化前の水準に逆戻り)。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(尚、来週は5/31のトルコ第1四半期GDPや、トルコ4月貿易収支、6/3のトルコ5月消費者物価指数、トルコ5月生産者物価指数などに注目。特にインフレ指標が市場予想を上回る場合は、実質金利の低下を通じてトルコリラにもう一段下押し圧力を加える恐れあり)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):7.55ー8.05

注:ポイント要約は編集部

『政策金利据え置きで約5ヵ月ぶり安値圏へ。インフレ指標に注目』

トルコ円日足

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