ドル円 米雇用統計などに注目、ドル再上昇も(週報5月第5週)

先週のドル/円相場は、ドルが続落しさらに下値を探る展開。週足は9週連続陽線を示現したのち、3週続けての陰線引けを記録している。

ドル円 米雇用統計などに注目、ドル再上昇も(週報5月第5週)

米雇用統計などに注目、ドル再上昇も

〇先週のドル円、ドルが続落、3週続けての陰線引けを記録し127.10レベルで越週
〇ロシア軍によるウクライナ侵攻開始から3ヵ月、依然として停戦の終結は見出せない状況
〇週末発表の米雇用統計が良好かつ米株がさらに続伸ならドルが連れ高推移する可能性も
〇今週は5月ISM製造業景況指数や同雇用統計、ベージュブックの公表に注目
〇今週のドル/円予想レンジは、126.00-128.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが続落しさらに下値を探る展開。週足は9週連続陽線を示現したのち、3週続けての陰線引けを記録している。

前週末は、実施された豪総選挙で野党・労働党が勝利を収め、9年ぶりとなる政権交代が実現。また、バイデン米大統領が韓国を訪問し、就任したばかりの尹大統領と会談を行い、「軍事演習拡大のほか必要なら新たな兵器配備を行うことで合意」するなか、早くも次の訪問地である日本への到着を果たしている。
そうした状況下、ドル/円は127.80-90円で寄り付いたのち、しばらくは127円台を中心とした揉み合い。そのなかで週間高値の128.08円を示現している。しかし、そののち値を崩すと126.36円まで一気に下落。そのレベルでは下げ止まるも上値はすでに重く、週末にかけては127円挟み、126.50-127.50円といったような方向性に欠けるレンジ取引をたどっていた。週末NYも、そのまま127.10円レベルで取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「バイデン氏の日韓訪問」と「ロシア情勢」について。
前者は、バイデン米大統領が21-24日の日程で日韓を訪問。23日からの訪日では天皇陛下に接見後、岸田首相との日米首脳会談を実施。「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)の初会合を7月に開催する方針を表明したうえ、岸田首相は米国主導のインド太平洋経済枠組み(IPEF)に日本が参加する方針を表明していた。そののち、豪印を加えた4ヵ国のクワッド首脳会議も実施されていた。そうしたなか、中国軍の爆撃機がロシア軍と共同で「パトロール」と称し日本周辺を飛行したほか、バイデン氏が離日するタイミングを狙い北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことも明らかとなった。一連のバイデン氏の行動に対する抗議かつ威嚇の動きだったことは疑いない。

対して後者は、ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まってから、24日で3ヵ月となったが、依然として停戦の終結は見出せない状況だ。むしろ、ロシア国防相は「民間人を避難させるために意図的に攻撃を遅らせている」と述べたうえで、今後再び激しい戦闘が行われる可能性を示唆。そして、実際にロシア軍がウクライナ側の最後の要衝セベロドネツクへの突入を始めたと、そののち公表されている。なお、「ロシアは食料を人質にとっている」などといった怨嗟の声も聞かれるなか、プーチン氏は「世界的な食糧危機の解決に大きく貢献する用意がある。ただ、貢献するのは西側諸国が制裁を解除した場合のみ」と上から目線のコメントを発していたようだ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は131.25円と131.35円でダブルトップを付けたあとの調整局面。先週は一時126.36円まで値を下げている。しかし、その後の展開を見ると、ドルは短期的な下押しに失敗した感も否めず、足もとはやや方向性を欠いた値動きだ。実際、先週半ば25日以降はザックリ127円±50銭といった1円程度のレンジ取引だった。今週も、まずはそんな狭いレンジ取引からの脱却の有無、そして次なる動意の方向性が注視されている。

今後さらに拡大するであろう単純な日米金利差に加え、イエレン米財務長官から消極的ながらドル高容認コメントが聞かれたこともあり、基本的にはドル買い有利な状況。ただ、根強い米ファンダメンタルズの悪化懸念や、不安定な米株などが、一段のドル買い・円売りに歯止めをかけているようだ。とは言え少なくとも後者部分、たとえばNYダウについては先週だけで1700ドルを超える反発を達成しており、すでに底入れしたといった明るい見通しを指摘する声も聞かれ始めている。週末に発表される米雇用統計が良好な数字となり、かつ米株がさらに続伸するようだと、ドルも連れ高推移する可能性を否定できない。

テクニカルに見た場合、ドル/円の週足を見てみると過去11週連続で2円以上の変動をたどってきたが、先週の変動は1.72円。よく言えば相場が落ち着きを取り戻しつつあるのかもしれない。
いずれにしても、足もとは方向性を欠いた時間調整の様相を呈するなか、今週は次なる動意に向けた動きが観測されるか否かにまずは注目だ。短期的な抵抗127円半ばを超えれば128円前半、さらには129円台の回復も見込める反面、フィボナッチポイントにもあたる24日安値126.36円を仮に下回れば、125円台へと続落しても不思議はないだろう。

そうしたなか今週は、5月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった重要な米経済指標が発表されるほか、ベージュブックの公表も予定されている。そのほか要人の講演など発言機会も少なくないうえ、5月が終わり6月相場入りすることでの需給要因の変化などにも一応注意しておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、126.00-128.50円。ドル高・円安については短期的な抵抗となっている127円半ばの攻防に注目で、上抜けると128円前半から半ばがターゲットに。
対してドル安・円高方向は、24日安値126.36円が最初のサポート。割り込めばフィボナッチからは125円レベルを意識した深めの押しも否定できない。

米雇用統計などに注目、ドル再上昇も

ドル円日足

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