ユーロドルの下降トレンドは続く(週報5月第1週)

ユーロにとって悪材料ばかりが目立つ一週間でしたが、この状況はすぐに変わるようなことはないでしょう。

ユーロドルの下降トレンドは続く(週報5月第1週)

ユーロドルの下降トレンドは続く

〇先週のユーロ、米欧金利差やファンダメンタル、対ロシアなど悪材料目立つ一週間に
〇今週は欧州の材料としては連日経済指標の発表はあるものの流れを決めるような材料なし
〇5日のレーンECB理事講演、ロシアの天然ガス供給停止影響などファンダメンタルを考える上で注目
〇今週もユーロは買われるようであれば戻り売りを考えるということになりそう
〇今週は上値が重たい展開を考え1.0390レベルをサポートに1.0610レベルをレジスタンスとする

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、材料的には今週のFOMCによる米国利上げで米欧金利差も拡大すること、EUとロシアとが制裁合戦の様相を呈してきたことから欧州経済が一段と悪化するというファンダメンタルなこと、そして最も影響が大きかったのは週初から前週安値を下回り年初来安値を切り下げたことです。ユーロにとって悪材料ばかりが目立つ一週間でしたが、この状況はすぐに変わるようなことはないでしょう。

今週は欧州の材料としては連日経済指標の発表はあるものの、流れを決めるような材料はありません。4日のFOMC同様に5日の英中銀MPCは注目されるものの、現在のユーロ安、ポンド安の流れの中で反応したとしても買われたところではカウンターで売りが出るということになるでしょう。また最近のロシアによる一部の国への天然ガス供給停止の影響等を考える上で5日のレーンECB理事の講演はファンダメンタルを考える上で注目されます。

また来週になりますが、5月9日はロシアの戦勝記念日であることから同日に向けてウクライナでの攻撃を強めるなどロシアの動きにも注意が必要です。英国の国防相はロシアが特別軍事作戦と呼んできたウクライナへの攻撃を戦争状態と宣言する可能性にも言及していることから一段と西側諸国との対立が強まることも考えられ、今週もユーロは買われるようであれば戻り売りを考えるということになりそうです。

テクニカルには月足チャートから見て行きます。

ユーロドルの下降トレンドは続く

先週の下げで2017年1月安値1.0351が最後のサポートとなってきましたが、2018年高値を起点とした逆N波動を考えると、その手前1.0429もフィボナッチ・エクスパンションのターゲットとなってきます。早ければ今週中にも1.0429、1.0351という水準を試しに行く可能性があります。

日足チャートもご覧ください。

ユーロドルの下降トレンドは続く 2枚目の画像

短期的には2月高値を起点とした逆N波動を考えられますが、先週一気に下げてきたことで、フィボナッチ・エクスパンションの100%エクスパンションまで全て達成しています。100%エクスパンションの1.0495前後で下げ止まっていますが、踊り場としてのもみあいを挟む程度で、最終的には2017年1月安値1.0351(赤の太線)を試しに行く流れであると見ています。

今週もユーロドルは上値が重たい展開を考え1.0390レベルをサポートに1.0610レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はドルインデックスの四半期足チャートを見てみます。

ユーロドルの下降トレンドは続く 3枚目の画像

ドルインデックスは100の大台を超え2017年高値も上抜けたことで現在の水準は2002年以来20年ぶりの高値圏と円安と時期を揃えています。

これまでは2001年高値と2008年安値の半値戻しを中心として38.2%戻しと61.8%戻しとの間のレンジで2015年以来上下を繰り返していましたが、米ドルも20年来の高値で何も無ければドル高を問題にする水準です。しかしインフレ率が高騰しているため、ドル高によって輸入物価の上昇を抑える効果を今は選んでいると言えるでしょう。

しばらくは米国のインフレが収まることも無いでしょうから、ドルインデックスももみあいを抜け出して次のターゲットとなる110の大台方向へと向かう動きは止められそうもありません。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

5月2日(月)
**:** 英国市場休場
15:00 ドイツ3月小売売上高
16:50 フランス4月製造業PMI
16:55 ドイツ4月製造業PMI
17:00 ユーロ圏4月製造業PMI
18:00 ユーロ圏4月消費者信頼感 ☆

5月3日(火)
16:55 ドイツ4月失業率
17:30 英国4月製造業PMI
18:00 ユーロ圏3月失業率
18:00 ユーロ圏3月PPI ☆

5月4日(水)
15:00 ドイツ3月貿易収支
16:50 フランス4月サービス業PMI
16:55 ドイツ4月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏3月小売売上高
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆

5月5日(木)
15:00 ドイツ3月製造業新規受注
15:45 フランス3月鉱工業生産
17:30 英国4月サービス業PMI
19:30 レーンECB理事講演 ☆
20:00 英中銀MPC結果発表 ☆
21:30 オーストリア中銀総裁講演

5月6日(金)
15:00 ドイツ3月鉱工業生産
16:30 フランス中銀総裁講演
17:30 英国4月建設業PMI
21:30 米国4月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月25日(月)
ユーロは対ドル、対円で売りが目立ちましたが、材料というよりは東京後場にユーロドルが週間安値を割り込んだことによるテクニカルな売りがきっかけでした。ドル円がじり安となっていた中でユーロ円にも売りが目立ち、ユーロは対ドル、対円ともにストップオーダーも巻き込みながら下げ、ユーロドルは一時1.0697レベルと2020年4月以来の安値を見ることとなりました。

4月26日(火)
ユーロは前日のユーロドルが2020年3月以来の安値となった動きを継続し、対ドル対円ともに一段安の展開となりました。NY市場では米株の下げとともに欧州株も全面安となり、ユーロドルが1.0636レベル、ユーロ円も135.30レベルまで下値を切り下げ安値引けとなりました。

4月27日(水)
ユーロドルは東京市場では動きが鈍かったものの欧州市場に入りロシアが前日に一部の国に対して天然ガス供給を止めたことを嫌気した売りが強まる動きとなりました。安値を更新するとテクニカルな売りも加わってNY市場前場には1.0514レベルの安値をつけました。

4月28日(木)
ユーロドルはドル円のドル高の動きに沿ったユーロ売りと、ユーロ円でも円安となったことによるユーロ買いとが相殺する流れでしたが、前日までのユーロ売りの動きを継続したことで上値も重くNY朝方には1.0470レベルへと年初来安値を更に切り下げました。

4月29日(金)
ユーロドルは前日に大台1.05割れを見たことによる達成感もあり、週末前のポジション調整が欧州市場前場に出たことから1.06目前まで水準を切り上げました。その後NY朝方に買われる前の水準に押す動きを挟み、月末実需によるユーロ買いから1.05台半ばでの引けとなりました。

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