ドル円 押し目買いは続き、常に新高値を意識(週報5月第1週)

先週のドル円は東京後場に130円の大台乗せを示現。その後も円安の流れを続け、NY市場では20年ぶりの円安水準となる131.25レベルをつけることとなりました。

ドル円 押し目買いは続き、常に新高値を意識(週報5月第1週)

ドル円 押し目買いは続き、常に新高値を意識

〇先週のドル円、28日NY市場131.25レベル到達、20年ぶり円安水準
〇日銀の大規模金融緩和継続姿勢、連続指値オペ実施発表で円一段安に
〇日米4月金利差最大2.725%、ドル円動きと相関高く上抜ける動き注意
〇今週は米FOMC結果発表、同4月ISM製造業景況指数、雇用統計等発表予定
〇今週は128.00レベルをサポートに132.00レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

先週のドル円は週前半こそ前週後半の踊り場局面を継続し方向感がはっきりしないもみあいを続けていました。しかし連休前の28日に開催された日銀会合において予想通り大規模緩和が継続されることが示され連続指値オペも毎日実施されるという発表があったことで、急速に円安に振れ東京後場には130円の大台乗せを示現。その後も円安の流れを続け、NY市場では20年ぶりの円安水準となる131.25レベルをつけることとなりました。

円安ペースが速いことは財務省の高官発言にもある通りですが、日米財務相会談での介入の話は飛ばし記事でおそらくは米国側に却下されたであろうことも円売り安心感が広がる結果となっています。10年債利回りも米国債は先週半ばに底打ちの動きとなっていますが、日本国債は0.25%でキャップされることから再び拡大の流れとなっています。4月の金利差は2.725%が最大ですが、ほぼ最大値で横ばい状況です。10年債の日米金利差とドル円の動きの相関が高いことから、この2.725%を上抜ける動きに注意が必要です。

今一度チャートで確認しておきましょう。青のラインが金利差、ローソク足がドル円の日足チャートとなっています。

ドル円 押し目買いは続き、常に新高値を意識

非常に似通った動きをしていることがわかります。今週は4日にFOMC、6日に米国雇用統計があり、大きな動きをするとなるとどちらかがきっかけとなりそうですが、金利差という観点ではFOMCで予想通り0.5%の利上げが行われた後のパウエルFRB議長会見は要注意という感じがします。

ドル円の長期チャートでは2002年高値135.16レベルがターゲットとなっていることは変わりませんが、短期的にはどうでしょうか。日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

3月末の押し121.27を短期上昇N波動の起点と捉えることができますので、そこから4月19日高値129.39までの上げ、その後26日126.93までの押しを3点としてフィボナッチ・エクスパンションを考えると次のターゲットが61.8%エクスパンションの131.95(ピンクのターゲット)となります。100%エクスパンションが135.05と2002年高値とほぼ一致していますので、テクニカルにも135円は中期的なターゲットとして有力な水準と言えます。

いっぽう下値は上述した4月19日高値129.39と26日安値126.93がサポートとなります。前者は近すぎ後者は遠すぎる印象ですから間の水準で128円あたりが買いが出やすくなってくる水準ではないかと見ています。
今週はゴールデンウィークで東京時間の動きは鈍くなりそうですが、下がったところは買いのスタンスで128.00レベルをサポートに132.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

5月2日(月)
**:** 英国、香港、シンガポール、中国、南ア、トルコ市場休場
15:00 ドイツ3月小売売上高
16:50 フランス4月製造業PMI
16:55 ドイツ4月製造業PMI
17:00 ユーロ圏4月製造業PMI
18:00 ユーロ圏4月消費者信頼感 ☆
22:45 米国4月製造業PMI
23:00 米国3月建設支出
23:00 米国4月ISM製造業景況指数 ☆

5月3日(火)
**:** 東京、シンガポール、中国、トルコ市場休場
07:45 NZ住宅建設許可
13:30 豪中銀政策金利発表 ☆
16:55 ドイツ4月失業率
17:30 英国4月製造業PMI
18:00 ユーロ圏3月失業率
18:00 ユーロ圏3月PPI ☆
23:00 米国3月製造業新規受注
**:** FOMC(〜4日)

5月4日(水)
**:** 東京、中国、トルコ市場休場
07:45 NZ1〜3月期失業率
10:30 豪州3月小売売上高
15:00 ドイツ3月貿易収支
16:50 フランス4月サービス業PMI
16:55 ドイツ4月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏3月小売売上高
21:15 米国4月ADP全国雇用者数 ☆
21:30 米国3月貿易収支
22:45 米国4月サービス業PMI
23:00 米国4月ISM非製造業景況指数 ☆
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆

5月5日(木)
**:** 東京市場休場
10:30 豪州3月貿易収支、住宅建設許可
10:45 中国4月MarkItサービス業PMI ☆
15:00 ドイツ3月製造業新規受注
15:45 フランス3月鉱工業生産
16:00 トルコ4月CPI、製造業PMI
17:30 英国4月サービス業PMI
19:30 レーンECB理事講演 ☆
20:00 英中銀MPC結果発表 ☆
20:30 米国4月チャレンジャー人員削減数
21:30 米国1〜3月期単位労働コスト速報値 ☆
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 オーストリア中銀総裁講演

5月6日(金)
08:30 本邦4月東京区部CPI ☆
10:30 豪中銀四半期金融政策報告
15:00 ドイツ3月鉱工業生産

16:30 フランス中銀総裁講演
17:30 英国4月建設業PMI
21:30 米国4月雇用統計 ☆
22:15 NY連銀総裁講演
28:00 (アトランタ連銀総裁講演)

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月25日(月)
週明けのドル円は早朝こそややドル買いが先行したもののその後は上下の動きを挟みながらもドル売りが目立つ一日となりました。基本的に米金利の動きに沿った動きで米金利低下とともに水準を下げ、NY昼前に127.52レベルの安値をつけましたが、引けにかけては米金利が上昇に転じたことから128円台に乗せて引けました。

4月26日(火)
ドル円は朝方こそ売りが先行しましたが、財務大臣による協調介入否定発言や元財務官の円安容認発言を受けて買い戻しが入りました。しかし朝方の高値にはわずかに届かず、その後売りに転じると米金利低下も手伝ってNY前場には127.02レベルの安値をつけ、引けにかけては127円台半ばに戻しました。

4月27日(水)
ドルが全面高の一日となりました。ドル円は早朝に若干下押しが先行したものの、前日下げていた米金利が上昇に転じたことや日銀会合を前にした円売りの動きもあった様子でした。海外市場に移ってからはユーロドルの下げに引っ張られてのドル買いとなり、NY市場では改めて日銀の緩和継続思惑による円売りが出ていました。

4月28日(木)
東京の昼頃に日銀会合の結果が発表され予想通りの大規模緩和継続とはなったものの連続指値オペを毎日実施すること、成長率を下方修正したことなどを受けて円が一段安となりました。連休前の実需のドル買いもあったようでNY前場には131.25レベルの高値をつけ、そのまま高値圏での引けとなりました。

4月29日(金)
東京が休場となった29日金曜は週末を前にロング勢が利食いの売りを入れてきたこと、月末のロンドンフィキシングでドル売りの実需が出たこともあって、129円台半ばまで押した後に130円近くに戻して引けました。

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