円安基調変わらず、ドル/円は底堅く推移
〇先週のドル円はドル一段高、20年ぶりに130円台を突破し131.25まで値を上げる
〇4/28の日銀決定会合では金融緩和策継続を発表し円安進行を容認
〇時事通信が「円安阻止の妙手もない」とレポート、円買い要因はポジション調整程度か
〇今週は4月ISM製造業景況指数や同雇用統計などの米経済指標発表に加え、FOMCに注目
〇今週のドル/円予想レンジは、128.00-131.50、ドル高・円安は130円半ばが弱い抵抗
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドル一段高。一時20年ぶりに130円台を突破し、131.25円まで値を上げている。
前週末は、実施されたフランス大統領選の決選投票で現職のマクロン氏が再選される見通しとなり、そののち勝利宣言も。それとは別にTBSが報じ思惑を呼んだ「日米財務相会談で協調介入議論」との話を、ロイターが「財務省幹部、TBS報道を否定」と指摘し物議を醸していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は128円半ばで寄り付いたのち、当初はドル売り先行。週間安値である126.95円まで1円を超える下落をたどっている。しかし切り返すと、一転してドルは急騰。前週記録した年初来高値129.41円や130円を超え、一気に131円台へ。週間高値の131.25円を示現したものの、週末にかけてはポジション調整と思しき動きも観測され、週末NYは130円台を維持できず。129円台後半で取引を終え越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「ロシア情勢」と「円安けん制発言と日銀金融政策」について。
前者は、ロシア軍がウクライナ南東部マリウポリをほぼ陥落させたと伝えられるなど、ウクライナ国内での戦闘は依然として継続。そうしたなか、欧米諸国を中心とした対露制裁はますます激しさを増す反面、ロシア側からは「核戦争が起きるかなりのリスクがあり、過小評価すべきでない」(ラブロフ外相)、「核兵器の使用を辞さない」(プーチン大統領)などとした、核の恫喝発言が週間を通して何度も聞かれている。また、それとは別にロシアが東欧2カ国への天然ガス供給を4月27日に停止するなど、エネルギーをめぐる「欧州vsロシア」のバトルが少しずつ鮮明化している。
対して後者は、前述したようにロイターが匿名財務省幹部の発言として否定した「TBS報道」を、そののち当事者である鈴木財務相も「事実ではない」とコメント。フェイクニュースだったことが明らかになった。なお、その一方、渡辺元財務官が「130円や135円は日本経済にとって悪い水準でない」と、従来とは一線を画す円安容認コメントを発したとされるなか、4月28日に日銀が決定会合の結果として、「当座預金残高の政策金利をマイナス0.10%で維持」などとし、現在の大規模な金融緩和策の継続を発表している。結果的に当局が一段の円安進行を容認したともいえそうで、実際日銀の決定が前述した「20年ぶりの130円台乗せ」を誘発していたことは間違いない。
<< 今週の見通し >>
今年3月のドル/円相場は2年ぶりとなる月間変動幅10円超を記録したが、続く4月も月間変動幅は10円近い変動となった(安値121.67円、高値131.25円)。さらに言えば、ザックリ「月初安・月末高」の様相で、ドルの強さとともに円の弱さが際立った1ヵ月間と言ってよい。本日から始まる5月相場も、そんな過去2ヵ月を継ぐ3ヵ月連続の「大相場」を期待する声も少なくないようだ。
前述したように、日銀が先週改めて「大規模な金融緩和策の継続」を発表する一方、米国は今週3-4日に開催されるFOMCで「0.5%の利上げ」がほぼコンセンサスだ。単純に日米金利差という観点では、ドル高・円安基調が当面続くと言わざるを得ない。と言うより、それが基本的にはファンダメンタルズに沿った正常な動きと見られるだけでなく、先週時事通信がレポートしたように「円安阻止の妙手もない」。さすがに行き過ぎ感は出ているものの、ポジション調整程度しか円が大きく買い進められる要因は思いつかない。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場はイケイケドンドンでドル高・円安が止まらない。先週ついに20年ぶりとなる130円台乗せを記録している。正直、2002年4月1日に記録した133.84円を「中期ターゲット」として認識しているが、先週を含めたここ最近のドル高進行スピードからすると、到達は意外に早いのかもしれない。仮に上抜ければ、2002年高値の135.20円がターゲットに。
材料的に見た場合、中長期的には、ここ最近人民元の下げが目立っており今週もその動きが気掛かりな「中国情勢」。いわゆるXデーを過ぎたものの、米国務省副報道官が「核実験再開」発言をするなど警戒感が依然として強い「北朝鮮情勢」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
そうしたなか今週は、4月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった重要な米経済指標が発表されるほか、欧州を主とした企業決算発表も相次ぐ。そうしたなか、週を通して最大の注目要因である米FOMCが開催される見込みだ。また、3-5日に東京が休場になるが、経験則的に東京休場時は波乱が多いことも頭に入れておいて損はない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、128.00-131.50円。ドル高・円安については130円半ばが弱い抵抗で、上抜けると先週記録した年初来高値131.25円が再び視界内に。
対するドル安・円高方向は、129円レベルの攻防にまずは注目。割り込めば、なし崩し的なドル安進行も否定できない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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