ユーロは今週ももみあいか(週報4月第4週)

ECB関係者が7月利上げの可能性、デギンドス副総裁も7月利上げの可能性に言及したことで一時1.0936レベルと前週高値を上抜け4月7日の高値圏に並ぶ値動きとなりました。

ユーロは今週ももみあいか(週報4月第4週)

ユーロは今週ももみあいか

〇先週のユーロ、1.0936レベルへ一時上昇、米金利上昇で急速に下げる
〇一部ECB関係者7月利上げ可能性言及、理事会認識は10〜12月期実施
〇今週は独4月CPI、独・ユーロ圏1〜3月期GDP速報値発表、欧州景気映す注目材料
〇米欧金利差とユーロドル相関高い場合も、ユーロドル買戻し入りやすい状況か
〇今週は1.0700レベルをサポートに1.0900レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週前半は前週安値圏でのもみあいを続け方向感がはっきりしないままでしたが、20日にECB関係者が7月利上げの可能性、翌21日にはデギンドス副総裁も7月利上げの可能性に言及したことで一時1.0936レベルと前週高値を上抜け4月7日の高値圏に並ぶ値動きとなりました。金曜にはラガルドECB総裁がECB高官に理事会決定事項と異なる個人的見解を述べないように通告したと述べたことで、ラガルドECB総裁の発言内容に注目が集まりました。

ラガルドECB総裁は同日のインタビューにおいて、APPは7〜9月期の早い段階で終了する公算が高く、年内利上げの可能性は高いとしました。APPが7月以降は行われないものの、即利上げということは無く、10〜12月期に利上げが行われるというあたりが、現在のECB理事会の認識であると考えられます。デギンドス副総裁や前日のラトビア中銀総裁は7月利上げの可能性とタカ派な発言をしましたが、ECB理事会としては今のところ主流ではないという見方でよいでしょう。

ウクライナ問題は重要テーマではあるものの停戦協議はストップしたままで、ロシアも攻撃を強めるいっぽうです。更なる状況悪化や欧州経済に与える影響を考えるとスタグフレーションが着実に近づき長期的なユーロ安要因となることは確実です。そうした中で、短期的にはECBの金融政策思惑で先週のようにユーロが買われる場面はあるでしょうが、米国の金融政策はそれよりも早く速いペースで進んでいくことから結局はドル買いのほうが強いということになりそうです。

上記考え方が正しいとすると、日米金利差とドル円との相関が高いように米欧金利差とユーロドルとの相関も高いのかは気になるところですが、結論から言うと比較的相関は高い場面が多かったため、詳細は今週のコラムをご覧ください。

今週の他の材料は金融政策よりは欧州の景気判断に関する経済指標に重要なものが目立ちます。特に木曜のドイツの4月CPI、金曜のドイツとユーロ圏の1〜3月期GDP速報値は欧州のインフレと景気と今後懸念されるスタグフレーションの可能性を探る判断材料のひとつです。インフレ率が高く、GDPが鈍化ということになればユーロ売りに繋がりますが、コンセンサスではCPIは前回と同じ年率7.6%、GDPは前期比でドイツが+0.2%、ユーロ圏が+0.3%となっています。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロは今週ももみあいか

チャート内のラインが増え過ぎましたので、いったん全て消してシンプルに2月高値からのレジスタンスライン(青)と同高値からの逆N波動(ピンク)のフィボナッチ・エクスパンションによるターゲットのみを示してあります。現状ではレジスタンスラインまでやや距離があることや、4月に入ってからの1.09台前半の上値の重さを考えると1.09台では売りが出やすいという見方でよいでしょう。

下値については先週も示した2月高値を起点とした逆N波動による61.8%エクスパンション1.0758が直近ではサポートとなっているため、同水準を明確に抜けてくれば次のターゲットとなる78.6%(61.8%の平方根)エクスパンション1.0642を視野に入れ始めると言えますが、今週中にも下抜けがあってもおかしくはなさそうです。

今週も1.0700レベルをサポートに1.0900レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週は本文中で軽く触れた米欧金利差のチャートをご覧ください。

本来的には米金利からドイツ金利を引いた方が金利差としてはわかりやすいのですが、ユーロドルの建値が自国通貨建てではなく外国通貨建てのため、ここではドイツ金利から米金利を引いた値とユーロドルのレートを比較しています。

ユーロは今週ももみあいか 2枚目の画像

青のラインが金利差(右軸)、オレンジのラインがユーロドル(左軸)です。3月前半は一時的な逆相関となっていますが、それ以外は総じて金利差とユーロドルの動きが似通っています。どちらが正しいという類のものではありませんが、先週末には逆相関の傾向が見えますが、金利差の動きから考えるとユーロドルの買い戻しが入りやすそうだと考えることもできそうです。

今後日米金利差、米欧金利差など主要通貨間の金利差と為替相場についても追いかけてみたいと思います。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

4月25日(月)
17:00 ドイツ4月ifo企業景況感
18:00 ユーロ圏2月建設支出

4月26日(火)
21:15 フランス中銀総裁講演

4月27日(水)
15:00 ドイツ5月消費者信頼感 ☆
15:45 フランス4月消費者信頼感

4月28日(木)
18:00 ユーロ圏4月消費者信頼感 ☆
21:00 ドイツ4月CPI速報値 ☆
21:30 米国1〜3月期GDP速報値 ☆

4月29日(金)
14:30 フランス1〜3月期GDP速報値 ☆
15:45 フランス4月CPI速報値、3月PPI
17:00 ドイツ1〜3月期GDP速報値 ☆
18:00 ユーロ圏4月CPI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP速報値 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月18日(月)
ユーロドルはイースター4連休の影響からNY市場までは小動き、NY市場で米金利上昇の動きに沿ったドル買いの動きからややユーロ売りの動きとなったあとは再び小動きで引けました。

4月19日(火)
ユーロドルは東京後場から欧州市場序盤にユーロ買い戻しの動きが見られた程度で、イースター明けの動きは鈍く、ほとんど動きが見られないまま一日のレンジも54pipsに留まりました。

4月20日(水)
ユーロドルは米金利低下の動きに沿ってユーロがじり高の展開となり、ECB関係者による7月利上げの可能性という発言もユーロ買いにつながりました。しかし、別のECB関係者からは利上げ時期に慎重な発言もあり、欧州市場後場以降はやや神経質な動きを挟んで高値圏での引けとなりました。

4月21日(木)
ユーロドルは欧州市場に入りデギンドスECB副総裁がデータ次第で7月にも利上げの可能性と発言したことを受け急騰、1.0936レベルの高値をつけました。しかし、それでも米金利の上昇の方が大きく早いことには変わりがないことから急速に下げに転じ、NY市場では米債利回りが一段高となったことも手伝って行って来いの動きとなりました。

4月22日(金)
ユーロドルは東京市場では動きが鈍く欧州市場では売りが先行後に買い戻しといった動きが見られた程度で方向感は出ないままでした。NY市場ではドル円の動きに引っ張られてユーロ売り後の買い戻しという動きになりましたが、ラガルドECB総裁がAPPの7月終了と年内利上げ開始を示唆したことで、引けにかけては買い戻しが入りました。しかし、上値も重く木曜高値からのユーロ売り地合いに変化は無いままの週末クローズとなりました。

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