四半期末で需給要因などにも要注意
〇本日のドル円、一時122円半ば近くまで値を上げるもその後121.60レベルまで下げ安値圏で推移
〇ドル/円は上値トライ仕切り直し、121円レベルをしっかり下回ればさらなるドル下押しも
〇本日は2月PCEデフレーターや週間新規失業保険申請件数などの米経済指標が発表される予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは120.70-122.40、122円レベルが弱い抵抗
〇ドル安・円高方向は121.20-30、121円レベルを割り込めば一段のドル安進行も
<< 東京市場の動き >>
31日の東京市場は、若干落ち着いた値動き。ここのところ東京だけで1円以上動くことも少なくなかったが、本日は80ポイントほどの動きにとどまっている。
ドル/円は121.80-85円で寄り付いたのち、上値を試す展開。122円台を回復し、一時122円半ば近くまで値を上げている。しかし、高値を示現したのちは一転して下値を探る動き。結果、「行って来い」となり、夕方には日中安値の121.60-65円まで軟化。16時現在では、そのままドル安値圏で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「当局者の口先介入」について。
前者は、29日に実施されたウクライナ停戦交渉で予想以上ともいえる成果があったとされ、一部ではそれを受けてかロシア軍撤退と見られる動きも観測されている。実際、「ロシア軍がウクライナのチェルノブイリ原発から撤退を始めた」とする報道も。しかし、その一方でウクライナ大統領はテレビ演説で「いまのところはまだ言葉のみで、具体的ものは何もない」と述べるなど、先行きを不安視する発言も聞かれていた。また、ウクライナ側から「ロシアとの平和協議が4月1日に再開される」との見通しも取り沙汰されていたようだ。
対して後者は、本日東京時間のドル/円はざっくり122円挟み。これまでの経緯からすると、決して「過度の円安」というわけではないと思うが、それでも政府要人などから口先介入と思しき動きが幾つか観測されていた。そのひとつは松野官房長官で、再び「米国などの通貨当局と緊密な意思疎通したうえで対応する」との発言が聞かれていたほか、岸田首相は「為替介入にはノーコメント」としたうえで、「為替の安定は重要で急速な変動は望ましくない」と述べている。
<< 欧米市場の見通し >>
為替市場は昨日も大相場。ポンド/円は連日で2円を超える変動となったほか、ドル/円やユーロ/円も1.80-1.90円という動きをたどっていた。それに対して、本日東京は80銭ほどの変動で若干落ち着いてきた感もあるが、まだ東京が終わっただけで、このあと欧米時間が残っている。月末・四半期末ということで、ロンドンフィキシングを警戒する声も聞かれるなど、まだまだ波乱含みであるのかもしれない。
「利上げに消極的な日本」と「積極的な米国」という日米両国の金融政策の違いを背景にしたドル高・円安基調は依然として継続。しかしながら、一時125円まで達したようなドル高の流れは一旦仕切り直しとなったようだ。そうしたなか本日は発表される米経済指標や、オンライン形式で実施されるOPEC閣僚理事会を注視している向きが多いほか、前述したような駆け込み的な月末需給要因にも一応注意しておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は上値トライも仕切り直しとなるなか、一転して下値が正念場。昨日安値を含めた121.20-30円、あるいはフィボナッチポイントの121円レベルをしっかり下回ると、さらなるドルの下押しも否定できない。120円割れに向け、短期的には一段のドル安進行もありそうだ。
ただし、121円レベルなどで下値を支えられた場合には価格ではなく、今後は時間調整の色合いを強めそう。121-123円といったレンジ取引も。
材料的に見た場合、中長期的には昨日中露外相会談が実施され、「さらなる関係強化で一致した」と伝えられている「中国情勢」。懸念されていた上海市でも、検査の結果次第でロックダウンが解除される見通しと報じられている「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」、「エネルギー・穀物相場」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、2月のPCEデフレーターや週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表されるほか、先で取り上げたOPEC閣僚理事会にまずは要注意。また「米国が大量の石油備蓄放出検討」などと報じられるなか、バイデン氏がガソリン価格抑制策について説明を行う予定とされていた。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは120.70-122.40円。122円レベルが弱い抵抗で、抜ければ本日東京高値122円半ばが次の上値メドに。
対するドル安・円高方向は、昨日安値を含めた121.20-30円、そして121円レベルの攻防に注目。割り込めば一段のドル安進行もありそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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