ドル円、振れを伴いつつも方向感を見出しづらい展開。本日は米雇用統計に注目
〇ドル円、米国時間午後にかけて、安値121.29まで急落
〇米金利低下に伴うドル売り圧力、米指標の不冴え、月末ロンドンフィキシングでのドル売りフローが重石
〇売り一巡後は買い戻され121円台後半で推移
〇ユーロドル、米国時間にかけ1.1062まで急落、停戦交渉長期化懸念からのリスク選好の後退が重石に
〇ドル円、急落後もテクニカルの地合い強く、年初来安値からの上昇の38.2%押し120.66等もサポート
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の差に加え、米国のドル高容認の可能性も上昇に寄与か
〇ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇本日米雇用統計等、ISM製造業指数等の米指標、FRB関係者発言に要注目
〇本日の予想レンジ:121.00ー123.00
海外時間のレビュー
月末31日(木)のドル円相場は振れを伴いつつも方向感を見出しづらい時間帯が継続。@本邦年度末公表相場のドル不足が支援材料となる中、アジア時間朝方にかけて、高値122.45まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、A岸田文雄首相による「為替の安定は重要であり急速な変動は望ましくない」「米国などと意思疎通を図りつつ適切に対応する」との円安牽制発言や、B年度末東京カットに向けてのオプション絡みのドル売りフロー、C米金利低下に伴うドル売り圧力、D注目された米2月PCEコアデフレータ(結果5.4%、予想5.5%、※前年同月比)の市場予想を下回る結果(但し、1983年以来の伸び率を記録)、E米新規失業保険申請件数(結果20.2万件、予想19.7万件)の予想比悪化、
F月末ロンドンフィキシングに絡むドル売りフローが重石となり、米国時間午後にかけて、安値121.29まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、G日米金融政策格差に着目したドル買い・円売り(日銀はアジア時間に4ー6月期の「中長期債の買い入れ増額」を発表)や、Hロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの再燃(対ユーロでのドル買い→ドル円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間4/1午前5時00分現在)では、121.75前後で推移しております。
月末31日(水)のユーロドル相場は急反落。アジア時間朝方にかけて、高値1.1184(3/1以来、約1ヵ月ぶり高値圏)まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの再燃(ロシア大統領府は「ウクライナとの交渉に急展開はなく、多くの作業が残っている」と発言)や、Aプーチン露大統領による「欧州向け天然ガス供給でルーブルでの代金支払いを要求する」との方針発表、B上記@Aを背景とした欧州経済の先行き不安(ECBによる利上げ観測後退→欧州債利回り急低下→ユーロ売り)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1062まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4/1午前5時00分現在)では、1.1066前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は3/28に記録した約6年7ヵ月ぶり高値125.11(2015年8月12日以来の高値圏)をトップに反落に転じると、昨日は一時121.29まで急落しました。但し、テクニカル的に見ると、日足・週足・月足の全てにおいて強い買いシグナル(一目均衡表三役好転など)が点灯している他、ダウンサイドには1/24に記録した年初来安値113.47と3/28に記録した年初来高値125.11を起点としたフィボナッチ38.2%押しが位置する120.66が控えているため、ここからの更なる下落は容易では無いと考えられます(ここ数日の下落は急ピッチで上昇したドル高・円安の反動と整理。売り一巡に再び持ち直す展開を想定)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによる明確なタカ派傾斜(5月FOMCでの50bp利上げ+早期バランスシート圧縮開始)や、A日銀による金融緩和の長期化方針(連続指値オペを実施するなど金融緩和政策の継続を明確化。昨日は4ー6月期の「中長期債買い入れ増額」も発表)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル高・円安)など、ドル円相場の反発を連想させる材料が揃っています(政府・当局者による円安牽制発言が都度警戒されるものの、2015年6月とは異なり、米国側はインフレを和らげる効果のあるドル高を容認する公算大。円安牽制とドル高牽制の組み合わせは「インパクトが絶大」であるが、円安牽制単体なら「インパクトは弱い」と考えられる)。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は今週のメインイベントでもある米3月雇用統計に加え、米3月ISM製造業景況指数、シカゴ連銀エバンズ総裁発言ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁発言などに注目が集まります。米経済指標が力強い結果を示す場合や、米当局者よりタカ派的な発言が示される場合などには、5月のみならず6月FOMCでの連続大幅利上げを織り込む形で、ドル円には強い上昇圧力が加わるものと推察されます。月末・四半期末・年度末をこなしたことで特殊フローの影響も軽減されることから、本日海外時間はドル円相場の急反発に注意が必要となるでしょう(尚、本日アジア時間に発表される日銀短観は回答期間が2/25ー3/31でロシアによるウクライナ侵攻の影響を反映した数字であるため、ネガティブサプライズに要警戒)
本日の予想レンジ:121.00ー123.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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