ドル円見通し 125円到達後の調整続く、今晩の米雇用統計から流れ変わるか試される(22/4/1)

ドル円は3月31日夜に121.26円へ下落して3月30日昼安値121.30円をわずかに割り込み3月28日夕高値125.10円以降の安値を更新した。

ドル円見通し 125円到達後の調整続く、今晩の米雇用統計から流れ変わるか試される(22/4/1)

ドル円見通し 125円到達後の調整続く、今晩の米雇用統計から流れ変わるか試される

〇ドル円、3/31夜121.26へ下落、3/30昼安値121.30を割り込み、3/28夕高値125.10以降の安値更新
〇125円到達後の調整局面、本日夜の米雇用統計きっかけに円安再開となるか試される
〇米10年債利回りは3日続落、2年債利回りはパンデミック以降の最高値圏維持
〇NYダウは続落、NY原油は米政権による原油戦略備蓄大量放出決定を受け下落
〇今晩の米雇用統計後、米長期債利回りが顕著に上昇するなら、ドル円も上昇再開に入る可能性
〇昨日高値122.44を上抜けないうちは一段安余地あり、121.26割れからは120円前後への下落を想定
〇122.44超えからは反騰入りの可能性を優先して、123円台序盤試しを想定する

【概況】

ドル円は3月31日夜に121.26円へ下落して3月30日昼安値121.30円をわずかに割り込み3月28日夕高値125.10円以降の安値を更新した。米長期債利回りの上昇と輸入インフレによる経常収支悪化から悪い円安感が増長し、日銀の連続指値オペによる長期金利上昇抑制が円安容認と受け止められて2015年以来の125円台に到達したが、当面の円売り材料消化と125円台到達による高値警戒感及び米10年債利回りの上昇一服による低下が重なったこと、期末の円の買い戻しにより調整局面入りとなった。
3月31日夜は石油の米戦略備蓄大量放出決定による原油安や、ウクライナ停戦協議進展への先走った楽観の後退でNYダウが下落する中でドル円も安値を切り下げたが、下落速度は鈍っており121円台序盤での底固さも見られる。今晩の米雇用統計をきっかけに円安再開となるのか試される週末というところだ。

【米10年債利回りは3日連続で低下するも2年債利回りは高止まり】

3月31日の米10年債利回りは前日比0.01%低下の2.34%となった。3月28日に2.55%へ上昇してパンデミック発生以降の最高値を更新したところから上昇一服に入り、31日まで3日間の続落で一時は2.30%まで低下したが終盤に持ち直している。
利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.03%上昇の2.34%となり終値ベースでは10年債利回りと同水準になった。2年債利回りは29日に2.45%へ上昇したところで10年債の利回りを一時的に上回り2019年9月以来の逆イールドとなり、30日は逆イールドをいったん解消したが、31日は2.27%まで低下してから再び上昇しておりパンデミック以降の最高値圏を維持している。
ドル円が3月28日に125円台へ到達した局面では米10年債利回りの上昇が押し上げ要因となり、その後の調整安は米10年債利回り低下と同調している。今晩の米雇用統計をきっかけに10年債利回りが上昇再開に入るのかどうかという点もドル円にとっては重要だ。

【NYダウは続落、NY原油は戦略備蓄大放出決定で下落するも先行き不透明感高まる】

3月31日のNYダウは前日比550.46ドル安と下落した。3月24日から29日にかけて4連騰して2月24日以降の高値を切り上げてきたが、30日の前日比65.38ドル安からの続落となった。ウクライナ停戦協議進展への楽観が再び後退していることが圧迫要因となっており、ロシアがウクライナの首都包囲の前線を後退させたものの砲撃は継続しており、欧州向け天然ガス供給におけるルーブル払いが拒否される場合にガス供給を停止するとしていることも懸念を再拡大させている。
NY原油はバイデン米政権による原油戦略備蓄の大量放出決定を受けて3月31日に前日比7.54ドル安と下落したが100ドルを割り込んだところは買い戻されており、3月に入ってからの急上昇分を解消したとは言え昨年来の大上昇基調の範囲で高止まりしている。

ロシアは非友好国向けの天然ガス代金を4月1日以降はルーブル払いとし、従わない場合はガス供給契約を停止するとの法令にプーチン大統領が署名した。G7はルーブル払いを拒否しているため、天然ガス供給停止の可能性が高まっている。ロシア産への依存度としてはEUが凡そ4割と高いが、日本も液化天然ガスの凡そ8%がロシア産であり特に岸田首相のお膝元である広島のガス会社での依存比率が高いとされている。
米バイデン政権は最大で1億8000万バレル規模、日量100万バレルずつ6か月間の戦略備蓄放出すると決定した。30日に発表されたエネルギー省統計における米戦略備蓄在庫は9億7830万バレル、それ以外の商用在庫が4億1000万バレルであり、今回の決定により向こう6か月間のみなし在庫が大幅に拡大したことになるが、欧州各国等はロシア産以外の原油争奪戦となること、ロシアが参加しているOPECプラス会合では大規模な増産姿勢が見られないことから先行きの資源エネルギー需給逼迫感は増してゆくと思われる。

【今晩、米雇用統計】

3月31日に米商務省が発表した2月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比6.4%上昇となり市場予想と一致したために市場の反応は限定的だったが、1982年1月以来40年ぶりの高水準となった。食品とエネルギーを除いたコア指数も5.4%上昇となり1月の5.2%から伸びが加速して1983年以来39年ぶりの高水準となっている。
米労働省による新規失業保険申請件数は前週比14000件増の20万2000件となり市場予想の19万7000件を上回り3週ぶりの増加だったが、パンデミック発生以降での最低水準に近い改善状況を維持している。失業保険受給者総数は130万7000人で前週から3万5000人減少して市場予想の135万人を下回った。

今晩は米3月雇用統計の発表がある。非農業部門就業者数についての市場予想は49万人増で2月の67.8万人増からは鈍化するものの好調な水準を維持するとみられる。失業率は2月の3.8%から3.7%へ改善が見込まれている。市場予想に近い数字なら市場の反応も限定的と思われるが、3月後半に入ってからの米連銀高官による0.50%の利上げ支持発言を踏まえ、雇用統計後に米長期債利回り上昇が顕著になるようだとドル円も調整局面を終えて上昇再開に入る可能性もあるところとして注目したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては3月28日高値125.10円をサイクルトップとして弱気サイクル入りしてきた。3月31日午前時点では3月25日安値から3日目となる3月30日昼安値で直近のサイクルボトムを付けた可能性があるとしたが、31日夜に安値を更新している。このため、3月31日午前高値122.44円を超えないうちは30日昼安値を底割れしたことによる新たな弱気サイクル入りとして4月4日の日中から6日にかけての間への下落を想定するが、31日午前高値を上抜き返す場合は31日深夜安値ないしは直前の安値をボトムとした強気サイクル入りとして1日午後から4月4日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では先行スパンからの転落状況が続いているので、先行スパンを下回るうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。ただし3月31日午前高値を超えるところからは上向きとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇が勢い付きやすいとみる。

60分足の相対力指数は3月30日昼安値から31日深夜への安値更新に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られるため、50ポイント以上での推移中は上向きとし、60ポイント超えからは上昇が勢い付くとみるが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台を目指す低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月31日深夜安値121.26円を下値支持線、3月31日午前高値122.44円を上値抵抗線とする。
(2)3月31日午前高値を上抜けないうちはもう一段安余地ありとし、31日深夜安値割れからは120円前後への下落を想定する。120円以下は反発注意とするが、121.26円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)3月31日午前高値超えからは反騰入りの可能性を優先して123円台序盤試しを想定する。米雇用統計発表等をきっかけとして上昇が勢い付く場合は123円台後半へ上値目途を引き上げ、31日午前高値を超えた後も122円以上での推移が続くなら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/1(金)
10:45 (中) 3月 財新製造業PMI (2月 50.4、予想 50.0)
16:55 (独) 3月 製造業PMI改定値 (速報 57.6、予想 57.6)
17:00 (欧) 3月 製造業PMI改定値 (速報 57.0、予想 57.0)
17:30 (英) 3月 製造業PMI改定値 (速報 55.5、予想 55.5)
18:00 (欧) 3月 HICP消費者物価指数速報値 前年同月比 (2月 5.9%、予想 6.7%)
18:00 (欧) 3月 HICP消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (2月 2.7%、予想 3.1%)

21:30 (米) 3月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (2月 67.8万人、予想 49.0万人)
21:30 (米) 3月 雇用統計・失業率 (2月 3.8%、予想 3.7%)
21:30 (米) 3月 雇用統計・平均時給 前月比 (2月 0.0%、予想 0.4%)
21:30 (米) 3月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (2月 5.1%、予想 5.5%)
22:05 (米) エバンズ・シカゴ連銀総裁、講演
22:45 (米) 3月 製造業PMI改定値 (速報 58.5、予想 58.5)
23:00 (米) 3月 ISM製造業景況指数 (2月 58.6、予想 59.0)
23:00 (米) 2月 建設支出 前月比 (1月 1.3%、予想 1.0%)


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