トルコリラ円見通し 3月30日からの下落一服、ドル円の持ち直しで8.30円割れを切り返す(22/4/1)

トルコリラ円の3月31日は8.35円から8.26円の取引レンジ、4月1日早朝の終値は8.29円で前日終値の8.30円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 3月30日からの下落一服、ドル円の持ち直しで8.30円割れを切り返す(22/4/1)

3月30日からの下落一服、ドル円の持ち直しで8.30円割れを切り返す

〇トルコリラ円、ドル円の下落基調続いたため戻り売り基調となり、3/31深夜8.26まで安値を切り下げる
〇対ドル、3/31は14.68から14.52の取引レンジ、停戦協議進展期待でのリラ買い一巡、市場の楽観は後退
〇トルコの貿易赤字、1月から減少するも悪化基調、ウクライナ情勢の影響で3月貿易統計も悪化の懸念
〇8.32以上での推移中は上向き、8.37超えからは8.40円台前半を目指すとみる
〇8.32割れからは下向き、8.28割れからは8.20円台前半への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の3月31日は8.35円から8.26円の取引レンジ、4月1日早朝の終値は8.29円で前日終値の8.30円からは0.01円の円高リラ安だった。
トルコリラ円はドル円が125円台へ上昇した過程で円安に押し上げられて3月28日に8.42円へ上昇、ドル円が高値警戒感から下落に転じたものの3月29日のイスタンブールにおけるロシアとウクライナの停戦協議で進展があったとの報道から対ドルでリラが上昇したために3月29日夜には8.44円へ高値を切り上げた。しかしその後は停戦協議進展への楽観は時期尚早として対ドルでのリラ高が一服、ドル円の下落基調が続いたために戻り売り基調となり31日深夜には8.26円まで安値を切り下げた。
深夜以降はドル円の下落がやや収まって持ち直しに入り、対ドルでの動きも膠着状態だったことで買い戻し優勢となり4月1日午前序盤には8.30円台を回復している。

【ドル/トルコリラ動向 停戦協議進展期待でのリラ買い一巡後は横ばい】

ドル/トルコリラの3月31日は14.68リラから14.52リラの取引レンジ、4月1日早朝の終値は14.67リラで前日終値の14.65リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
3月29日のイスタンブールで開催されたロシアとウクライナの対面による停戦協議で合意に向けて前進したとの報道から早期停戦期待が盛り上がり、地政学的に近隣として売り圧力のかかっていたリラが対ドルで買い戻されて30日には14.49リラへ上昇したが、3月30日の停戦協議2日目の予定がキャンセルされて本国持ち帰りとなり、31日はウクライナ側によるロシアへの不信感表明やNATOによるロシア軍は撤退ではなく戦線再構築の動きに過ぎないとの見方、欧米によるロシア制裁のエスカレートとロシアによる欧州向け天然ガス供給停止懸念が高まったことで市場の楽観も後退している。

ドル/トルコリラは12月の史上最安値更新と乱高下の後、12月23日高値10.06円からから3月11日安値14.99リラへ下落してからは14リラ台後半での持ち合いが続いている。
4月1日からはオンラインによる停戦協議が再開予定とされているが、歩み寄りがあるのかどうか注目される。また4月1日夜の米雇用統計から4月4日夕のトルコ物価上昇率の発表と相場を方向付けるイベントも続く。

【トルコの貿易赤字は1月から縮小するも悪化基調】

トルコ統計局が発表した2月のトルコ貿易収支は78.8億ドルの赤字となった。1月の赤字102.6億ドルからは減少しているもののリラ安による収支悪化基調の範囲にある。
トルコは慢性的な貿易赤字国であり、貿易赤字を観光収入で補う構造だが、貿易赤字規模は2020年後半から40億ドル前後の規模で安定していたところからパンデミック発生で落ち込んだ後の景気回復により2021年10月には15.1億ドルの赤字まで縮小傾向にあった。このためトルコ政府は貿易収支改善から経常収支黒字化を見込み、エルドアン大統領の念願でもある利下げによる景気刺激策に打って出るのだが、高インフレ下での連続利下げによりリラが暴落してしまい、貿易収支も当然ながら大幅に悪化してリラ売り要因となってきた。
リラ暴落が一服したことで2月は貿易赤字規模がやや持ち直したものの依然として高水準にあり、2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻から戦争状態に突入したために、トルコにとっての重要な貿易相手であるウクライナ及びロシアとの通商が混乱に陥っていること、原油価格高騰によるインフレ継続により3月の貿易統計も悪化が懸念される状況だ。

【外貨準備高のネットは減少】

3月31日夜に発表された週次の外貨準備高は3月25日時点のグロスが656.4億ドルとなり3月18日時点の665.0億ドルから若干の減少だった。
外貨準備高のネットは159.6億ドルとなり3月18日時点の172.0億ドルからの減少が目立っており、期末とリラ預金保護政策を反映した中銀によるリラ買いの動きを反映している可能性がある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月30日午前へ一段高してから8.30円割れへと反落して31日午前に8.30円台前半へ戻す展開となったため、31日午前時点では3月25日昼安値から3日半となる30日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして4月4日夜から6日夜にかけての間への下落を想定するとした。
3月31日深夜に一段安したところから戻しているため、3月31日深夜安値を直近のサイクルボトムと改めて強気サイクル入りとし、高値形成期を4月4日午前から6日午前にかけての間と想定する。ただし、31日深夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして4月5日夜から7日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では先行スパンから転落した状況が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込み始めるところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とみる。先行スパンを突破するところからは上昇が勢い付く可能性があるが、先行スパンを突破できない場合は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は30日夕安値から31日深夜への一段安に際して指数のボトムが切りあがる強気逆行が見られるため50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇継続性があるとみる。ただし45ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.28円を下値支持線、8.37円を上値抵抗線とする。
(2)8.32円以上での推移中は上向きとし、8.37円超えからは8.40円台前半(8.40円から8.45円)を目指すとみる。8.43円以上は反落注意とするが、8.35円以上を維持しての推移なら4月1日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.32円割れからは下向きとし、8.28円割れからは8.20円台前半(8.20円から8.25円)への下落を想定する。8.23円以下は反騰注意とするが、8.30円以下での推移なら1日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月01日
 16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.4)
4月04日
 16:00 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 4.81%)
 16:00 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 54.44%)
 16:00 3月 消費者物価コア指数 前月比 (2月 3.8%)
 16:00 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 44.%)



注:ポイント要約は編集部

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