トルコリラ円見通し 円高に押されて3日ぶり反落だったが31日午前は持ち直しに入る(22/3/31)

トルコリラ円の3月30日は8.45円から8.28円の取引レンジ、31日早朝の終値は8.30円で前日終値の8.42円からは0.12円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 円高に押されて3日ぶり反落だったが31日午前は持ち直しに入る(22/3/31)

円高に押されて3日ぶり反落だったが31日午前は持ち直しに入る

〇30日のトルコリラ円、朝8.45へと高値を切り上げるもドル円一段安から昼に8.29へ急落
〇対ドルでも高値14.49へ切り上げ後にリラ買い一巡、停戦協議先行き不透明でリラ売りに傾斜
〇30日トルコ統計局発表の3月経済信頼感指数は95.7、1月から2か月連続で悪化
〇ロシアとウクライナの停戦協議は4月1日からオンライン形式で再開見込み
〇8.32以上での推移中は上向き、8.37超えからは8.40円台前半を目指すとみる
〇8.32割れからは下向き、8.28割れからは8.20円台前半への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の3月30日は8.45円から8.28円の取引レンジ、31日早朝の終値は8.30円で前日終値の8.42円からは0.12円の円高リラ安となった。
ドル円の急伸を背景にトルコリラ円は3月28日に高値で8.42円を付けた後、ドル円が125円台到達後に急落調整に入ったもののウクライナ停戦協議進展報道により対ドルでリラ高反応となったために3月29日夜には高値で8.44円へ上昇、30日朝には8.45円へとさらに高値を切り上げていたが、日銀黒田総裁と岸田首相が会談すると報じられたことで円安けん制の動きとなるのではないかとの懸念からドル円が一段安となり、トルコリラ円も30日昼には8.29円へ急落した。
30日夕刻発表のトルコ経済信頼感指数も2か月連続の悪化となったことで8.28円まで安値を切り下げたが、ドル円が下げ渋りから戻し始めたことでトルコリラ円も31日午前は8.30円台中盤へ持ち直している。

【ドル/トルコリラ動向 停戦協議進展報道からのリラ買い一巡で横ばい】

ドル/トルコリラの3月30日は14.68リラから14.49リラの取引レンジ、31日早朝の終値は14.65リラで前日終値の14.56リラからは0.09リラのドル高リラ安だった。
ウクライナ情勢を背景に3月11日安値14.99リラ(ベンダーによっては15リラを付ける)へ下落した後は下げ渋りに入り、3月29日夜にイスタンブールで開催されたロシア・ウクライナの停戦協議で進展があったとの報道からトルコを取り巻く地政学的リスクが後退するとみてリラ買い反応となって14.54リラへ上昇、30日も14.49リラへ高値を切り上げたもののその後はリラ買いも一巡、停戦協議もまだ先行き不透明とされたことでややリラ売りに傾斜している。3月31日午前序盤は14.65リラを挟んで揉み合いの様相。

【トルコの経済信頼感指数は悪化】

3月30日にトルコ統計局が発表した3月の経済信頼感指数は95.7となり2月の98.2から悪化した。1月の100.8から2か月連続の悪化となった。

円高に押されて3日ぶり反落だったが31日午前は持ち直しに入る

新型コロナウイルスのパンデミック発生により2020年4月に52.4まで悪化したところから回復基調に入り、2021年9月には103.0まで改善したが、高インフレの中で9月から12月にかけて4会合連続でトルコ中銀が利下げを強行してインフレが一層加速しリラ暴落を招いたことで12月には98.2へ悪化、リラ暴落が落ち着いて1月はやや改善したもののインフレの継続にウクライナ情勢も重なったことで再び基調が悪化してきているところだ。
ウクライナ停戦にこぎつければ両国との通商関係が濃いトルコ経済にもプラスとなるが、停戦に至らず泥沼化する場合や、ロシア制裁の長期化で原油価格等が高騰する場合にはウクライナ情勢の発生前から高インフレに見舞われてきたトルコ経済には大きな打撃となるところだ。
3月31日には2月の貿易収支の発表、4月1日は米雇用統計とイスタンブール製造業PMI、4月4日にはトルコ3月消費者物価指数の発表と続く。

【停戦協議はオンラインで再開見込み】

ロシアとウクライナの停戦協議は3月29日のイスタンブールでの対面交渉で一定の進展があったとされるが、30日は協議継続とせずに両国が持ち帰りとし、4月1日から再びオンライン形式での協議を行うとされている。
一定の前進はあったのだろうが、3月30日にはゼレンスキー大統領がロシアの発言は信用できないとの旨を述べるなど先行き不透明感は拭えず、3月30日のNYダウは5日ぶりに反落、NY原油はロシア制裁の拡大懸念や欧州向け天然ガス供給停止への懸念も出始めていることで前日比3.58ドル高と上昇しており3月29日の停戦協議進展報道で付けた安値98.44ドルから30日高値108.75ドルまで10ドル強の上昇となっている。

ウクライナのNATO非加盟については合意レベルにあるようだが、ウクライナのEU入りやポーランドやトルコを含めた安全保障体制、クリミアやドンバス州の帰属については隔たりがあるようだ。ロシア軍はキエフ近郊から前線を後退させているものの米国は再配置にすぎず撤退の兆候とは見ていない。ロシアへの制裁もまだ拡大中であり、東欧からのロシア外交官追放やロシアによる欧州向け天然ガス供給代金のルーブル払い要求等の混乱も続く。
地政学的に近くリスクの大きいトルコとしては停戦協議と戦後への介入により外交的プレゼンスを向上させつつ大混乱に陥っているウクライナ及びロシア向けの貿易が正常化することが何より大事になっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月29日夜の急伸で3月28日夕高値を超えたために3月30日午前時点では3月29日昼安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして3月31日夕から4月4日夕にかけての間への上昇を想定し、弱気転換は3月29日昼安値8.30円割れからとした。
30日午前へ一段高してから8.30円割れへと反落し、31日午前には8.30円台前半へ戻す展開となっているため、3月25日昼安値から3日半となる30日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと改める。トップ形成期は30日午前高値を基準として4月4日午前から6日午前にかけての間と想定するが、30日夜安値を割り込む場合は底割れからの新たな弱気サイクル入りとして4月4日夜から6日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月30日の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後の持ち直しで遅行スパンは悪化しやすい位置に来ている。このため遅行スパン好転からは高値試し優先とし、先行スパン突破を目指すとみる。ただし先行スパンの突破ヘ進めずに遅行スパンが再び悪化する場合は下げ再開を疑い、30日夜安値割れからは一段安入りとなるため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は30日夕刻に30ポイント台序盤へ低下したところから50ポイント超えへ戻している。このため50ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは70ポイントを目指す上昇を想定するが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.28円を下値支持線、8.37円を上値抵抗線とする。
(2)8.32円以上での推移中は上向きとし、8.37円超えからは8.40円台前半(8.40円から8.45円)を目指すとみる。8.43円以上は反落注意とするが、8.35円以上を維持しての推移なら4月1日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.32円割れからは下向きとし、8.28円割れからは8.20円台前半(8.20円から8.25円)への下落を想定する。8.23円以下は反騰注意とするが、8.30円以下での推移なら1日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月31日
 16:00 2月 貿易収支 (1月 -102.6億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 3/25時点 (3/10時点 565.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 3/25時点 (3/10時点 172.0億ドル)
4月01日
 16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.4)
4月04日
 16:00 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 4.81%)
 16:00 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 54.44%)
 16:00 3月 消費者物価コア指数 前月比 (2月 3.8%)
 16:00 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 44%)

注:ポイント要約は編集部

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