トルコリラ円見通し 停戦協議進展報道でリラ買い(22/3/30)

トルコリラ円の3月29日は8.44円から8.30円の取引レンジ、30日早朝の終値は8.42円で前日終値の8.36円からは0.06円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 停戦協議進展報道でリラ買い(22/3/30)

トルコリラ円見通し 停戦協議進展報道でリラ買い

〇トルコリラ円、3/29高値8.44、停戦協議進展でリラ買い反応に
〇対ドル、3/29朝14.52まで続伸、14.80挟んだ膠着上放れ
〇露ウクライナ協議、停戦合意至るか動向注視
〇8.36以上での推移中は上昇余地ありとし、8.45超えからは8.50試しとみる
〇8.36割れからは下向きとし、8.30前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の3月29日は8.44円から8.30円の取引レンジ、30日早朝の終値は8.42円で前日終値の8.36円からは0.06円の円安リラ高となった。
トルコのイスタンブールでロシア・ウクライナの停戦協議が開催されたが、協議後に両国双方が合意へ進展があったとし、ロシア軍がキエフ近郊から前線を後退させたこともあり事態打開に向けた期待感によるリスク選好でユーロ高ドル安となり、ドル円も125円到達後の反動と米10年債利回り低下を見て122円割れへとドル安円高反応となったが、停戦協議開催国でありロシア・ウクライナ双方との通商外交関係が深く地政学的リスクにさらされてきたトルコリラにとってはプラス材料と受け止められたためにドルトルコリラではドル安リラ高反応となり、トルコリラ円も3月28日高値を超えて3月10日以降の高値を更新した。
3月29日深夜以降は対ドルでのリラ高が一服しているもののドル円が122円割れからの買い戻しで円安に推移したことで30日早朝のトルコリラ円は8.45円まで高値を切り上げている。

【ドル/トルコリラ動向 対ドルでリラ急伸】

ドル/トルコリラの3月29日は14.84リラから14.54リラの取引レンジ、30日早朝の終値は14.56リラで前日終値の14.80リラからは0.24リラのドル安リラ高となった。
イスタンブールで開催されたロシア・ウクライナの停戦協議で進展があったと報じられたことでリラ買い反応となり、14.80リラを挟んで膠着状態だった持ち合いから上放れし始めた。
トルコリラはロシア・ウクライナ双方との外交通商関係が深く、ユーロと共に近隣として地政学的リスクの影響を最も受ける通貨の一つとなっていたが、事態打開への期待感が高まったとして29日夜はユーロが対ドルで急伸し、トルコリラも対ドルで急伸した。
3月29日朝に14.52リラまで続伸した後は上昇一服で14.60リラを挟んだ揉み合いとなっている。

【停戦合意に至るか、向こう数日が重要に】

トルコのエルドアン大統領がプーチン大統領と3月27日に電話協議してイスタンブールでのウクライナとロシアの和平交渉開催を実現させた。当初は28日から30日の予定とされていたが、実際に始まったのは29日夕刻からとなり、凡そ3時間の協議の後でウクライナとロシアの双方が協議に進展があったと述べたこと、協議を仲介したトルコも停戦合意へ前進したとの認識を表明したことで有事拡大リスクが大幅に後退した。協議進展報道からNY原油が急落し、安全資産買いされてきた金も下げた。
トルコは西側のロシア制裁には参加せずに和平交渉に尽力する姿勢を示してきたが、戦争勃発によりウクライナ及びロシアとの輸出入が大幅に停滞し、戦争の長期化により国内インフレが一段と悪化する懸念も拡大していた。ロシア軍がキエフ近郊の前線を大幅に後退させたこともあり、キエフ陥落やNATO介入と第三次世界大戦型の危機拡大及び第三次石油危機発生への不安心理もひとまず落ち着いた印象だ。

しかし2014年にロシアがクリミア半島を電撃的な軍事侵攻で制圧してドンバス地方に親ロ自治政府を樹立した後の停戦協定であるミンスク合意が破られて今回の戦争勃発に至った経緯もありまだ戦争終結への楽観は早すぎるかもしれない。また停戦合意しても西側のロシア制裁が継続し、欧州のロシア産以外の資源エネルギー調達に走れば石油需給逼迫による世界規模のインフレも継続しかねないという状況も継続する。
3月30日に予定されていた二日目の停戦協議は行われないことになっており、両国代表が本国に帰り停戦合意を前提とした両国首脳会談実現へ向かうか、決裂か、見定めが続く。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月23日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして28日午前から30日午前にかけての間への上昇を想定していたが、3月28日夕刻に8.40円超えへ急伸してから8.30円へ反落したために29日午前時点では3月28日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は28日夜から30日夜にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあるとし、8.38円超えからは新たな強気サイクル入りとした。
3月29日夜の急伸で3月28日夕高値を超えたため、3月29日昼安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして3月31日夕から4月4日夕にかけての間への上昇を想定する。弱気転換は3月29日昼安値8.30円割れからとし、その際は4月1日の日中から5日にかけの間への下落を想定する。

60分足の相対力指数は3月29日の日中に50ポイントを割り込んだところから持ち直しているが70ポイントには届かずにいる。50ポイント以上での推移中は上向きとして70ポイント超えからは上昇が勢い付くとみるが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台前半へ向かう流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.36円を下値支持線、8.45円を上値抵抗線とする。
(2)8.36円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.45円超えからは8.50円試しとみる。8.49円以上は反落注意とするが、8.36円以上での推移なら31日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.36円割れからは下向きとして8.30円前後への下落を想定する。8.30円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、8.36円以下での推移なら31日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月31日
 16:00 2月 貿易収支 (1月 -102.6億ドル)
 16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 98.2)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 3/25時点 (3/10時点 565.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 3/25時点 (3/10時点 172.0億ドル)
4月01日
 16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.4)
4月04日
 16:00 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 4.81%)
 16:00 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 54.44%)
 16:00 3月 消費者物価コア指数 前月比 (2月 3.8%)
 16:00 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 44.%)


注:ポイント要約は編集部

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