ドル円見通し 3月28日高値からの下落一服、122円を挟んだ揉み合いで上昇再開を伺う(22/3/31)

ドル円は3月28日高値125.10円から調整局面に入ったが、3月30日昼安値の後は下げ渋り底固さを見せている。

ドル円見通し 3月28日高値からの下落一服、122円を挟んだ揉み合いで上昇再開を伺う(22/3/31)

3月28日高値からの下落一服、122円を挟んだ揉み合いで上昇再開を伺う

〇ドル円、30日昼安値121.30以降は下げ渋り調整安一服、122円を挟んだもみ合いに
〇30日の米長期債利回りは総じて低下、上昇一服感で逆イールドも解消
〇米連銀高官の0.50%利上げ支持表明相次ぐ、中期的な円安基調はさらに続きやすい環境
〇30日発表の米GDP確定値、2021年通年では前年比5.7%増、1984年以来37年ぶりの高水準
〇121.30割れを回避するうちは反騰入りの可能性、122.50超えからは123円台前半を目指すとみる
〇121.30割り込めば28日高値からの調整安がさらに続くとみて120円台中盤への下落を想定

【概況】

ドル円は3月28日高値125.10円から調整局面に入ったが、3月30日昼安値の後は下げ渋り底固さを見せている。輸入インフレによる経常収支悪化と日銀による金融緩和政策維持による日米長期金利差の拡大を背景に円安が進行し、3月28日には日本10年債利回り上昇抑制のために日銀は二度の指値オペを実施、さらに夕刻には29日からの連続指値オペ通告を行ったことで円売りが加速したために2015年8月以来の125円台に到達したが、高値警戒感と当面の円安材料消化として調整局面に入った。
3月29日夜はウクライナ停戦協議の進展報道からドル安となったところで121.97円へ下落、30日はいったん123.20円まで戻したものの黒田日銀総裁と岸田首相が会談するとの報道から円安けん制発言が出されることが警戒されて121.30円まで一段安となった。しかし黒田総裁は円安けん制姿勢は示さず、ウクライナ停戦への期待感も時期尚早となったことで122円を挟んだ揉み合いに入り、125円到達後の調整安に落ち着きが見られるところだ。

【米長期債利回りは上昇一服】

3月30日の米長期債利回りは総じて低下した。指標の10年債利回りは前日比0.05%低下の2.35%、30年債利回りは0.02%低下の2.48%、2年債利回りは0.06%低下の2.31%となった。前日は2年債利回りが2.45%へ上昇してパンデミック発生以降の高値を更新して10年債の利回りを一時的に上回り2019年9月以来の逆イールドとなったが30日は上昇一服感で逆イールドも解消している。
米連銀高官によるインフレ抑制のための利上げペース加速支持発言は続いており、30日もカンザスシティー連銀のジョージ総裁が「金融政策を中立スタンスへ速やかに動かすのが適切」として利上げを急ぐ姿勢を示し、前日の逆イールド発生についても量的緩和策による資産の膨張が一因として速やかな資産縮小が必要とした。またリッチモンド連銀のバーキン総裁もインフレ動向を見極めたうえで5月のFOMCにおける0.5%の大幅利上げを判断するとした。

3月21日のパウエル米連銀議長による「インフレへの驚き」表明と0.50%利上げ示唆発言以降、連銀高官の0.50%利上げ支持表明が相次いでおり、市場も0.50%利上げを織り込んでいているが、日銀の長期金利上昇を抑制する指値オペに表れた金融緩和維持姿勢とのギャップも含めて、中期的な円安基調はさらに続きやすい環境と思われる。

【ダウは4日ぶり反落、米経済指標は良好】

3月30日のNYダウは前日比65.38ドル安と下落、ナスダック総合指数も177.37ポイント安と下落した。ダウは前日まで4連騰していたが、停戦協議への期待は時期尚早としてNY原油が反騰したことも影響して上昇一服となっている。
3月29日のロシアとウクライナの停戦協議では進展が見られたとし、仮条約作成への動きも伝えられたが、30日はゼレンスキー大統領が「ロシアの発言は信用できない」と述べるなど先行き不透明感は払拭せず、協議においてもロシア側が要求するクリミア半島の帰属問題も棚上げを主張しているとの報道もあり、簡単にはまとまりそうにない印象となっている。このためNY原油は前日比3.58ドル高(3.43%高)と上昇している。

3月30日の米経済指標は概ね良好だった。米3月ADP雇用統計は前月比45万5000人増で市場予想の45.0万人増を若干上回り、2月分は当初の47.5万人増から48.6万人増へ上方修正された。
米商務省による2021年10-12月期の米GDP確定値は年率換算前期比で6.9%増となり改定値の7.0%増からは若干下方修正されたものの7-9月期の2.3%増から大幅に伸び、6期連続のプラスで2021年の通年では前年比5.7%増となり1984年以来37年ぶりの高水準となっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては3月28日高値125.10円をサイクルトップとして弱気サイクル入りしたが、3月25日安値から3日目となる3月30日昼安値で直近のサイクルボトムを付けた可能性がある。122.50円を超えるところからは強気サイクル入りとして31日夕から4月4日夕にかけての間への上昇を想定する。ただし、30日昼安値を割り込む場合は底割れによる新たな弱気サイクル入りとして4月4日から6日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月30日昼安値からの下げ渋りにより遅行スパンは好転しやすい位置にある。遅行スパン好転からは高値試し優先として先行スパンの上限を試すとみる。先行スパン突破へ進めずに遅行スパンが再び悪化するところからは下落再開とみて安値試し優先へ切り替えるが、先行スパンを上抜く場合は3月28日からの調整局面を抜け出して上昇再開へ向かう可能性が高まるとみる。

60分足の相対力指数は3月30日昼に30ポイントを割り込んだところから持ち直しているため、40ポイント以上での推移中は60ポイント台への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開を警戒して20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月30日昼安値121.30円を下値支持線、122.50円を上値抵抗線とする。
(2)3月30日昼安値割れを回避するうちは反騰入りの可能性を優先し、122.50円超えからは123円台前半(123.00円から123.50円)を目指すとみる。123.50円以上は反落注意とするが、122円以上での推移なら4月1日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)3月30日昼安値を割り込む場合は3月28日高値を起点とした調整安がさらに続く展開とみて120円台中盤(120.70円から120.30円)への下落を想定する。120.50円以下は反騰注意とするが、30日昼安値を割り込んだ後も122円以下での推移が続く場合は4月1日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/31(木)
OPECプラス閣僚級会合
10:30 (中) 3月 製造業PMI (2月 50.2、予想 49.9)
14:00 (日) 2月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (1月 2.1%、予想 1.1%)
15:00 (英) 10-12月期 GDP改定値 前期比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
15:00 (英) 10-12月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 6.5%、予想 6.5%)
15:00 (英) 10-12月期 経常収支 (7-9月 -244億ポンド、予想 -176億ポンド)
15:00 (英) 3月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (2月 1.7%、予想 0.8%)
15:00 (独) 2月 小売売上高 前月比 (1月 2.0%、予想 0.5%)
15:00 (独) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 10.3%、予想 6.1%)

16:55 (独) 3月 失業者数 前月比 (2月 -3.30万人、予想 -2.00万人)
16:55 (独) 3月 失業率 (2月 5.0%、予想 5.0%)
17:00 (欧) レーンECB理事、講演
18:00 (欧) 2月 失業率 (1月 6.8%、予想 6.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 18.7万件、予想 19.7万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 135.0万人、予想 135.0万人)
21:30 (米) 2月 個人所得 前月比 (1月 0.0%、予想 0.5%)
21:30 (米) 2月 個人消費支出(PCE) 前月比 (1月 2.1%、予想 0.5%)
21:30 (米) 2月 PCEデフレーター 前年同月比 (1月 6.1%、予想 6.4%)
21:30 (米) 2月 PCEコア・デフレーター 前月比 (1月 0.5%、予想 0.4%)
21:30 (米) 2月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (1月 5.2%、予想 5.5%)
22:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、挨拶
22:45 (米) 3月 シカゴ購買部協会景況指数 (2月 56.3、予想 57.0)

4/1(金)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業製造業・現況 (10-12月 18、予想 12)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業製造業・先行 (10-12月 13、予想 10)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業非製造業・現況 (10-12月 9、予想 5)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業非製造業・先行 (10-12月 8、予想 8)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業全産業設備投資 前年度比 (10-12月 9.3%、予想 4.4%)
10:45 (中) 3月 財新製造業PMI (2月 50.4、予想 50.0)
16:55 (独) 3月 製造業PMI改定値 (速報 57.6、予想 57.6)

17:00 (欧) 3月 製造業PMI改定値 (速報 57.0、予想 57.0)
17:30 (英) 3月 製造業PMI改定値 (速報 55.5、予想 55.5)
18:00 (欧) 3月 HICP消費者物価指数速報値 前年同月比 (2月 5.9%、予想 6.7%)
18:00 (欧) 3月 HICP消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (2月 2.7%、予想 3.1%)
21:30 (米) 3月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (2月 67.8万人、予想 48.0万人)
21:30 (米) 3月 雇用統計・失業率 (2月 3.8%、予想 3.7%)
21:30 (米) 3月 雇用統計・平均時給 前月比 (2月 0.0%、予想 0.4%)
21:30 (米) 3月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (2月 5.1%、予想 5.5%)
22:05 (米) エバンズ・シカゴ連銀総裁、講演
22:45 (米) 3月 製造業PMI改定値 (速報 58.5、予想 58.5)
23:00 (米) 3月 ISM製造業景況指数 (2月 58.6、予想 58.8)
23:00 (米) 2月 建設支出 前月比 (1月 1.3%、予想 1.0%)

注:ポイント要約は編集部

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