『約1ヵ月ぶり高値圏へと上値を伸ばす90日線に阻まれ失速』
〇トルコ円、週半ばにかけ8.46まで上昇
〇ドル円の円安とウクライナ情勢改善期待、政府の為替保証付きリラ預金の非居住者への拡大等が背景
〇その後はトルコの指標悪化等から8.34前後に反落
〇トルコ円90日線に阻まれテクニカルにはここからの上昇容易でないか
〇ファンダメンタルズもトルコ反落要因多い
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):8.10ー8.50
今週のレビュー(3/28−4/1)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.22円で寄り付いた後、早々に週間安値8.21円まで軟化しました。しかし、一目均衡表転換線や基準線に続落を阻まれると、@日銀による10年物国債の指し値オペ実施や、Aその後の連続指値オペの通告発表、B上記@Aを背景とした日銀による金融緩和の長期化観測(対主要通貨で円が独歩安→トルコ円連れ高)、Cロシア・ウクライナを巡る停戦期待(トルコのイスタンブールで停戦協議開始)、Dトルコ政府による「為替補償付きリラ建て定期預金」のスコープ拡大(非居住者口座まで対象を拡大)が支援材料となり、週半ばにかけて、2/21以来、約1ヵ月ぶり高値となる8.46円まで上昇しました。しかし、90日移動平均線に続伸を阻まれると、Eトルコ3月経済信頼感指数(結果95.7、前回98.2)の冴えない結果や、Fトルコ3月製造業PMI(結果49.4、前回50.4)の冴えない結果(分岐点の50割れ)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4/2午前4時45分現在)では8.34円前後まで反落する動きとなっております。
来週の見通し(4/4−4/8)
トルコリラの対円相場は3/11に記録した約2ヵ月半ぶり安値7.76円をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、約1ヵ月ぶり高値となる8.46円(2/21以来の高値圏)まで急伸しました。しかし、上方には市場参加者に注目されている強力なレジスタンス90日移動平均線が控えているため、ここからの続伸は容易では無いと考えられます(事実、今週は90日線に続伸を阻まれ失速)。テクニカル的に見て、上値余地は乏しい(戻り売り圧力が強まり易いチャート形状)と判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(今週の停戦協議で一定の進展が見られたものの、ロシア大統領府からは「ウクライナとの交渉に急展開はなく、多くの作業が残っている」との見解が示されるなど情報は錯綜中。ロシア・ウクライナ両国と親密な関係にあるトルコにとって、両国間の緊張状態長期化は経済的に下押し圧力)や、Aトルコ国内におけるインフレ昂進リスク、Bトルコ中銀による追加利下げ観測(エルドアン大統領はインフレを利下げで退治するという独自理論を展開しているため、インフレ昂進→利下げ再開の波及経路)、
Cトルコ中銀の外貨準備残高の脆弱さ(介入余力の乏しさ)、D経常赤字拡大に伴うリラ売り圧力、E米FRBによるタカ派傾斜観測(5月・6月FOMCでの連続50bp利上げと早期バランスシート圧縮開始を織り込む動き→過剰流動性相場逆流懸念→新興国から米国への資金流出圧力)、Fエルドアン大統領の求心力低下(世論調査会社ORC社の調査によると、同国で総選挙が行われた場合、1997年から2012年生まれのZ世代の約半数が野党側に投票するつもりがあるとの集計結果)など、トルコリラ円相場の反落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はロシア・ウクライナを巡るヘッドラインに加えて、4/4に予定されているトルコ3月消費者物価指数、トルコ3月生産者物価指数などのインフレ指標に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):8.10ー8.50
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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