『約3年9ヵ月ぶり高値圏から反落。コモディティ価格の動向に注視』
〇南ア円、ドル円での円安に週明け早々3年9ヶ月ぶり高値8.62まで上昇
〇週後半にかけては戻り売りと中国、南アの指標悪化、資源価格低下に8.29まで反落
〇南ア円テクニカルの地合い強いが、反動売りで安く、頭の重い展開か
〇ファンダメンタルズも南ア円下落要因南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇ウクライナ情勢と資源価格、3月SACCI景況感指数要注視
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.20ー8.50
今週のレビュー(3/28−4/1)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.37円で寄り付いた後、@日銀による10年物国債の指し値オペ実施や、Aその後の連続指値オペの通告発表、B上記@Aを背景とした日銀による金融緩和の長期化観測(対主要通貨で円が独歩安。ドル円は約6年7ヵ月ぶり高値となる125.11まで高騰)が支援材料となり、週明け早々に2018年6月7日以来、約3年9ヵ月ぶり高値となる8.62円まで急伸しました。しかし、短期間で上昇した反動から戻り売り圧力(利食い売り)が強まると、C経済的な結びつきの強い中国(上海市)が新型コロナウイルス感染拡大でロックダウンを開始したことや、D南ア10ー12月期失業率(結果35.3%、予想は35.1%)の更なる悪化(集計が開始された2008年以降で最悪の結果)、
E南ア2月財政収支(結果▲34億ZAR、予想▲6億ZAR)の赤字額拡大、Fコモディティ価格(プラチナ・パラジウムなど)下落に伴う南ア交易条件の悪化懸念が重石となり、週後半にかけて、週間安値8.29円まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、G南ア2月PPI(結果+10.5%、予想+10.2%)の伸び率昂進や、H上記Gを背景とした南ア中銀の追加利上げ観測(5月・7月の会合で各々50bpの利上げに踏み切るとの思惑)などが支えとなり、本稿執筆時点(日本時間4/2午前4時45分現在)では8.34円前後で推移しております。
来週の見通し(4/4−4/8)
南アランド円相場は週明け早々に約3年9ヵ月ぶり高値8.62円まで上値を伸ばすも、週後半にかけて一転して8.29円まで反落する冴えない動きとなりました。依然として強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」や「ダウ理論の上昇トレンド」は継続しているものの、急ピッチで上昇した反動売りが出やすい相場展開(見切り売りや利食い売りを誘発しやすい地合い)でもあるため、ここからの上昇は容易では無いと考えられます(上値は次第に重くなる見込み)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(市場心理悪化)や、A資源価格の上昇一服(南アフリカの主要産品である金やプラチナ、パラジウム価格が反落→南アフリカの交易条件悪化)、B米FRBによるタカ派傾斜観測(5月・6月の連続大幅利上げと早期バランスシート圧縮開始を織り込む動き→新興国から米国への資本流出圧力)、C南アフリカにおける慢性的な電力不足(国営電力会社エスコムによる相次ぐ計画停電→南ア経済への下押し圧力)、D過去最大規模の失業率(今週発表された失業率は統計開始以来最悪の結果→南アフリカの政情不安に繋がる恐れ)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります(南ア中銀の利上げ観測のみでは、その他の悪材料を支えきれない可能性あり)。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はロシア・ウクライナを巡るヘッドラインとそれに伴うコモディティ価格の動向、南ア3月SACCI景況感指数の結果に注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.20ー8.50
南アフリカランド円日足
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