トルコリラ円見通し 3〜4か月周期のリバウンドを継続できるか試す(22/4/4)

トルコリラ円の4月1日は8.37円から8.29円の取引レンジ、2日早朝の終値は8.33円で前日終値の8.29円からは0.04円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 3〜4か月周期のリバウンドを継続できるか試す(22/4/4)

3〜4か月周期のリバウンドを継続できるか試す

〇トルコリラ円、1日はドル円が持ち直しに入ったことで8.30台中盤へ戻す
〇対ドルではリラ買い一服でドル高リラ安へやや揺れ返し、31日から1日へ安値切り下げ
〇1日発表のイスタンブール製造業PMIは49.4で2月から悪化、好況不況の分岐点50を割り込む
〇本日16時に3月CPI発表、市場予想は前月比5.77%上昇で2月から伸びが加速
〇8.26以上での推移中は3/11安値からのリバウンド継続の可能性あり
〇8.26割れからはリバウンド一巡し下落期に入る可能性あり、下値目途8.20前後試し

【概況】

トルコリラ円の4月1日は8.37円から8.29円の取引レンジ、2日早朝の終値は8.33円で前日終値の8.29円からは0.04円の円安リラ高だった。
3月28日にドル円が125.10円へ上昇したことによる円安に押し上げられ、ドル円が調整安に入ったものの3月29日のイスタンブールで開催されたロシアとウクライナの停戦協議で進展があったとの報道から対ドルでリラが買われたことで3月30日には8.45円を付けて3月11日以降の高値を切り上げた。
対ドルでのリラ買いが一服したことと3月31日深夜までドル円の調整安が続いたことで3月31日深夜安値8.26円までまで安値を切り下げたが、4月1日は対ドルではややリラ安だったもののドル円が持ち直しに入ったことで8.30円台中盤へ戻した。
4月1日夕刻に発表されたイスタンブールの製造業PMIが強弱分岐点の50を割り込む悪化となったところからやや売られる場面もあったが、1日夜の米雇用統計が良好だったことで米長期債利回りと共にドル円が上昇したことで下支えられた印象だ。
週間では3月25日終値8.22円からは0.11円の円安リラ高だった。

【ドル/トルコリラ動向 3月29日のリラ反騰一巡でジリ安の推移】

ドル/トルコリラの4月1日は14.69リラから14.61リラの取引レンジ、2日早朝の終値は14.68リラで前日終値の14.67リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
3月29日のイスタンブールにおけるロシアとウクライナの停戦協議後に進展があったとの報道から地政学的リスク後退としてリラ買いとなり3月30日に14.49リラへ上昇したが、その後は先行き不透明で進展期待も楽観過ぎるとしてリラ買いも一服したためにドル高リラ安へとやや揺れ返しの動きとなり3月31日から4月1日へ安値を切り下げている。
週間では3月25日終値の14.82リラから0.14リラのドル安リラ高だった。

【製造業PMIは50を割り込む】

【製造業PMIは50を割り込む】

4月1日夕刻に発表された3月のイスタンブール製造業PMIは49.4となり2月の50.4から悪化した。好況と不況の分岐点となる50を割り込んだのは感染急増の影響が見られた2021年5月の49.3以来。
パンデミックショックで2020年4月に33.4まで悪化した後は景気回復の流れで持ち直し、2021年8月には54.1まで改善したが、感染の波が繰り返される中での景気回復がサプライチェーンの停滞と高インフレを招いたことで徐々に悪化傾向となってきた。
昨年9月から12月にかけてのトルコ中銀による4会合連続利下げを背景にリラ暴落が発生したものの景況感としてはさほど大きな影響を受けていなかったが、インフレの深刻化が圧迫感を招き、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻から先行き不透明感が増したために50を割り込んだといえる。
ウクライナ情勢が改善し、世界的なインフレ進行が落ち着けばトルコの製造業景況感も回復するところだが、今のところはまだ圧迫感に押される状況だ。

【トルコの3月CPI前年比、市場の事前予想は61.6%上昇】

4月4日16時にトルコの3月消費者物価上昇率の発表がある。市場の事前予想では前月比が5.77%上昇で2月の4.81%から伸びが加速し、前年同月比では2月の54.44%から61.6%へとさらに大幅上昇すると見込まれている。
ウクライナ紛争による国際商品市場の急騰から輸入インフレが一段と悪化するため、今年末にかけても高インフレ状態は続くことが懸念されており、年末の消費者物価上昇率についての市場予想も従来の38%上昇から54%上昇へと予想水準が切り上がっており、予想レンジとしては32%へやや落ち着くとの見方もあるものの75%まで切り上がるとの見方もあるようだ。
4月1日には国営天然ガス輸入業会社BOTASがトルコ国内事業者向けの天然ガス価格を50%、一般家庭向け価格を35%引き上げる通告を行っている。
4月14日の次回トルコ中銀金融政策決定会合においても利下げできずに政策金利を据え置かざるを得ないだろうと市場は予想している。

【当面のポイント、3〜4か月周期でのリバウンド継続を試す】

【当面のポイント、3〜4か月周期でのリバウンド継続を試す】

トルコリラ円は日足チャートにおいて概ね3か月から4か月周期の底打ちを繰り返している。2020年11月6日底以降では2021年3月6日、同年6月2日、同年9月27日と主要な安値をつけ、さらに3か月目となる同年12月20日に史上最安値6.17円へ急落して底打ちとなった。
今年1月に入ってからは8.50円を中心に8円台を維持する持ち合いで推移していたが、ロシアのウクライナ侵攻本格化からの地政学的リスク増大により持ち合いを下放れとなり、3月11日安値7.76円へ下落したところから持ち直しに入っているが、12月20日安値から3か月弱となる3月11日安値でこのサイクルの底を付けてのリバウンド入りといえるだろう。

原油や金、穀物等の国際商品市場も3月7日から9日にかけて急上昇の天井を付けてから揺れ返しの下落に入っており、対ドルでのリラ安が3月11日まででひとまず落ち着く中てドル円の上昇が重なったためにトルコリラ円も3月11日から戻しており、現状のリバウンドを継続できるかどうかは、やはりウクライナ情勢を踏まえた国際商品市場動向、リラ安要因となる地政学的リスクが再び強まるかどうかという点にかかって来ると思われる。
概ね3か月から4か月周期のサイクルにおける主要な高値は昨年2月16日と3月19日のダブルトップ、3か月目の6月11日高値、3か月弱の9月1日高値、4か月弱の12月23日高値で付けており、12月23日高値からはすでに3か月を経過しているのでそろそろサイクルの高値を付けて下落期に転じても不思議ないところと注意したい。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当面、8.26円を下値支持線、8.40円を上値抵抗線とする。
(2)8.26円以上での推移中は3月11日安値からのリバウンドを継続する可能性ありとし、8.40円超えからは8.45円前後を目指すとみる。8.45円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、上昇が勢い付く場合は8.50円に迫る可能性もあるとみる。
(3)8.26円割れからはリバウンドが一巡して下落期に入る可能性があると注意する。当初の下値目途を8.20円前後試しとするが、ウクライナ情勢やトルコのインフレ率や経常収支悪化等を手掛かりに下げ足が早まる場合は8.10円台中盤(8.13円から8.17円)へ下値目途を引き下げ、先行きでは8円割れへ向かう流れと考える。

【当面の主な予定】

4月04日
 16:00 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 4.81%、予想 5.77%)
 16:00 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 54.44%、予想 61.6%)
 16:00 3月 消費者物価コア指数 前月比 (2月 3.8%)
 16:00 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 44.0%)
 16:00 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 7.22%)
 16:00 3月 生産者物価指数 前年同月比 (2月 105.01%)
4月07日
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 4/1時点 (3月25日時点 656.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 4/1時点 (3月25日時点 159.6億ドル)

4月11日
 16:00 2月 失業率 (1月 11.4%)
 16:00 2月 経常収支 (1月 -71.12億ドル)
4月12日
 16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 -2.4%)
 16:00 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 7.6%)
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 -1.5%)
 16:00 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 7.9%)
4月14日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.0%)

注:ポイント要約は編集部

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