ドル高一服、調整局面ながら底堅い動きか(週報4月第1週)

先週のドル/円相場は、結果「行って来い」。週の初めに一時125円台まで続伸する局面も観測されたが、その後は上げ幅を急縮小させている。

ドル高一服、調整局面ながら底堅い動きか(週報4月第1週)

ドル高一服、調整局面ながら底堅い動きか

〇先週のドル円、一時125円台まで続伸後上げ幅縮小、3月月間で10円超えるドル高進行
〇高値示現後は調整局面入りか、ドル高基調継続だが上値重い状況
〇今週は米3月ISM非製造業景況指数、FOMC議事録要旨公開、連銀総裁ら発言に注目
〇今週のドル/円予想レンジは121.20-124.00、先週末高値123.03をめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向は121.30レベルが最初のサポート

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、結果「行って来い」。週の初めに一時125円台まで続伸する局面も観測されたが、その後は上げ幅を急縮小させている。

前週末は、「停戦合意」を含めウクライナ情勢で興味深いニュースが複数観測されるなか、中国上海で新型コロナの感染が拡大。「3月28日から事実上のロックダウンに入る」ことも、話題となっていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は前週末のNYクローズよりも若干円高である122円前後で寄り付いたのち、ドルは大きく続伸。上方向のストップロスを次々巻き込むと一気に125円台、2015年8月以来の高値を示現した。しかし、その後は調整の動きに押される展開が目に付き、ドルは逆に冴えない。一時は週初安値を下回る121.28円まで下落する局面も観測されていた。週間を通してなかなか激しい上下動をたどるなか、週末NYは122円半ばで取引を終え、越週としている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ウクライナ情勢」と「円安けん制発言」について。
前者は、3月29日に実施された停戦交渉で予想以上ともいえる大きな動きあり。実際にウクライナ交渉担当者からは「ロシアとウクライナの大統領会談開催への十分な進展があった」との発言も聞かれたほか、「ロシアがキーウ(キエフ)近郊の軍を大幅縮小」、「ロシア軍がウクライナのチョルノービリ(チェルノブイリ)原発から撤退を始めた」などとも伝えられている。ただその一方で、米国防総省報道官から「ロシア軍の部隊移動は戦争からの撤退ではなく再配置」、ウクライナ大統領「いまのところはまだ言葉のみで、具体的ものは何もない」といった発言も。結局のところ、バイデン米大統領が指摘する「ロシアがどういう行動を取るか見極める必要がある」ということになるのだろう。

対して後者は、週初に日銀が「国債金利の上昇抑制」を目的として「指し値オペを通告」。これが円安容認と捉えられたこともあり、前述したような一時125円台を付けるひとつの原動力となっていたことは間違いない。しかし、いわゆる「黒田ライン」と言われる124円を超えるような状況を見たことで、本邦要人などからそののち慌てた様子の「口先介入」が相次ぎ発せられていた。一例を挙げると、松野官房長官「為替の急速な変動は望ましくない」、鈴木財務相「悪い円安にならないようしっかり注視」、神田財務官「為替問題は日米で緊密に連携」、岸田首相「為替の安定は重要で急速な変動は望ましくない」−−などになる。今週も引き続き当局者らの発言には一応要注意。

<< 今週の見通し >>

今年3月、ドル/円相場の月間レンジは「114.65-125.10円」で、その変動幅は実に10.45円。これは、月末に掛けて「ミニ・フラッシュクラッシュ」ともいえるドル急落をたどった、2020年3月以来(10.52円)の大変動になる。ただしそのドル/円、ドル高基調は依然として継続しているものの、前記した125.10円で目先の高値を付けた感もあり、短期的にはやや調整の動きが優勢との見方も。週間を通してドルは上値の重い状況が続く可能性も否定できない。
先週末に発表された3月の米雇用統計は堅調な内容。それもあり、「次回5月のFOMCでの0.5%の利上げが正当化される」との見方が、一部で再び取り沙汰されていた。ともかく、利上げに消極的な日本と、積極的な米国という両国のスタンスの差からすれば、為替市場では円を積極的に買いにくいと言わざるを得ない。引き続きウクライナ情勢や原油を中心としたエネルギー相場の行方、日本の当局者による円安けん制コメントなどを注意しつつも、ドル/円の底堅い値動きは継続されるとの見方が有力だ。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週はじめに125.10円の高値を示現するも、その後の動きをみると高値トライは一旦仕切り直しか。つまり、調整局面入りした感がある。先でも指摘したように、今年3月だけで10円を超えるドル高の進行があり、それからすると価格調整であればさらにドル安が進行しても不思議はない。ちなみに、2月24日114.41円が一連のドル高の起点だとすれば、フィボナッチの38.2%押しは121円レベル、半値押しだと119.75円レベルだ。

材料的に見た場合、中長期的には、ロシア支援について「二枚舌外交」の可能性も取り沙汰されている「中国情勢」、中国衛生当局の発表で「感染者が過去最多」になったことがわかった「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」、「エネルギー・穀物相場への懸念」−−などに注目。

そうしたなか今週は、3月のISM非製造業景況指数などの米経済指標が発表されるほか、3月15-16日に実施されたFOMCの議事録要旨が公開される予定だ。そのほか、引き続き米地区連銀総裁らの講演など発言機会も数多く予定されており、そちらも注意しておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、121.20-124.00円。ドル高・円安については先週末、米雇用統計発表後に記録した高値123.03円をめぐる攻防にまずは注目。抜ければ124円に向けたドル続伸も。
対するドル安・円高方向は、先週ザラ場ベースで数回止められている121.30円レベルが最初のサポート。その少し下にはフィボナッチポイントの121円レベルが位置しており、ドルは底堅いイメージ。

ドル高一服、調整局面ながら底堅い動きか

ドル円日足

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