ドル円 短期的高値をみて今週はもみあい(週報4月第1週)

米国の利上げ思惑が加速する中で日本は大規模緩和を継続することが明確に示されたことで、投機筋を中心に円売りが加速、2015年以来の125円台を見ることとなりました。

ドル円 短期的高値をみて今週はもみあい(週報4月第1週)

ドル円 短期的高値をみて今週はもみあい

〇ドル円、先週高値125.10、日銀連続指値オペと米利上げ姿勢で円売り加速
〇米年内2%利上げ、ECB緩和早期縮小織り込む、クロス円全般に円安進行
〇ターゲットは2015年高値125.67、超えると円安止まらない流れか
〇今週は米3月ISM非製造業景況指数、連銀関係者ら講演、FOMC議事録公表予定
〇今週は121.00レベルをサポートに124.00レベルをレジスタンスとする

今週の週間見通し

先週のドル円は日銀の連続指値オペが29〜31日に実施との通知があり、米国の利上げ思惑が加速する中で日本は大規模緩和を継続することが明確に示されたことで、投機筋を中心に円売りが加速、2015年以来の125円台を見ることとなりました。1日の値幅が3円を超えること自体も珍しいのですが、3月は月初から一貫して円安に動いていたこともあって月間レンジは10円を超えました。月間レンジが10円を超えたのは最近ではコロナショック後、トランプリーなど重大な背景があった時くらいしかありませんので、いかに3月の円安が急速であったのかもわかります。

こうした動きを受け財務大臣、財務官は繰り返し為替市場を注視するとの発言をしていますが、発言の強さとしては具体的に円安の水準に触れるまででは無いため、市場参加者にはその後も円売り安心感が広がっています。米国が今後年末までに2%程度の利上げを織り込むいっぽうで日本は大規模緩和継続ですから簡単には止めることは出来そうもありません。主要国ではECBでさえも緩和の早期縮小を織り込み始めましたので、ドル円だけでなくユーロ円などクロス円全般にも円安が進行するのは当然です。

しかし、今の日本の産業構造は円高への耐性はあっても円安への耐性は低く、円安が進むほど輸入物価の上昇につながり、4月からの値上げのようなことは年内に繰り返し見る可能性があり、明らかに悪い円安となって行くことは間違いありません。政府がどのように考え財務省に対応を指示するのかを考えると、さらなる円安に急速に進まないよう、もう一段ギアアップしたけん制発言を出さないと日本経済にとっていいことはありません。2015年の125.67レベルよりも円安に行かせないために、今後125円台に再度乗せるような動きが出てくる時には何らかのけん制発言が出る可能性は高いと考えます。

テクニカルにはまず長期の月足チャートをご覧ください。

ドル円 短期的高値をみて今週はもみあい

テクニカルなターゲットとしては2015年高値125.67ですが、ここを上抜けると次のターゲットとしては1998年高値147.66と2011年安値75.55レベルとの78.6%(61.8%の平方根)もどしである132.23、202年高値135.01といった水準があげられます。逆に2015年高値を超えると130〜135円レンジへと次の5円は速く円安が止まらないという流れになりそうです。

為替市場ではトルコリラや南米の新興国通貨を見ればわかるように弱い通貨は徹底的に売り込まれる傾向が強く、日本円がそのようにならないためにも本来であればそろそろ対策を考えるべきです。その点にだけは注意をしながら、今はまだ円安トレンドに乗るしかないでしょう。

日足チャートもご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

先週の週明けに125円台まで行くほどのスピードは想定外でしたが、短期的には上のターゲットは先週月曜高値の125.08、下のターゲットは年初来安値と先週高値との38.2%押しにあたる120.65を考えています。この約4円50銭レンジの中でけん制が弱ければ下値は限られるという見方でよいでしょう。

今週は先週短期的な高値を見た後のもみあいを想定し、121.00レベルをサポートに124.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

4月4日(月)
**:** 豪州冬時間移行
**:** 中国市場休場(〜5日)
15:00 ドイツ2月貿易収支
16:00 トルコ3月CPI
18:05 英中銀総裁講演 ☆
23:00 米国2月製造業新規受注

4月5日(火)
13:30 豪中銀政策金利発表 ☆
15:45 フランス2月鉱工業生産
16:50 フランス3月サービス業PMI
16:55 ドイツ3月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏3月サービス業PMI
17:30 英国3月サービス業PMI
21:30 米国2月貿易収支
22:45 米国3月サービス業PMI
23:00 米国3月ISM非製造業景況指数 ☆
23:05 ブレイナードFRB理事講演 ☆

4月6日(水)
10:45 中国3月MarkItサービス業PMI
15:00 ドイツ2月製造業新規受注
17:30 英国3月建設業PMI
18:00 ユーロ圏2月PPI ☆
19:45 レーンECB理事講演 ☆
22:30 (フィラデルフィア連銀総裁講演)
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC議事録公表 ☆

4月7日(木)
10:30 豪州2月貿易収支
15:00 ドイツ2月鉱工業生産
18:00 ユーロ圏2月小売売上高
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:00 セントルイス連銀総裁講演
27:00 (アトランタ連銀、シカゴ連銀総裁講演)

4月8日(金)
08:50 本邦2月貿易収支(国際収支)
20:30 アイルランド中銀、ギリシャ中銀総裁講演
23:00 米国2月卸売売上高

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月28日(月)
週明け寄り付きは122.07レベルでしたが、日銀が金利上昇を抑えるため29日から31日までの連続指値オペを通知したことで利上げサイクルに入っている米国との金融政策の方向性が180度異なることを見て投機的な円売りが急速に入りました。125円にあったと思われるストップもつけ、欧州市場序盤には125.11レベルの高値をつけましたが、さすがに短時間に3円以上もの円安を見たこと、125円台に乗せた達成感からその後は急速に円買い戻しへと転じ123.15レベルまで押した後123円台後半での引けとなりました。

3月29日(火)
ドル円は月曜に目先の高値となりそうな125円台を見て達成感もある中、財務官と米国財務次官代行との会談において、為替も大きな問題として取り上げたとの発言も出て上値が重くなっていました。東京後場には買い戻しも見られましたが戻りは鈍く、欧州市場以降はユーロドルの大幅高とともにドルが売られ、NY前場には一時121.97レベルの安値をつけました。引けにかけては123円に近づいての引けとボラが高い流れが続きました。

3月30日(水)
ドル円は東京市場では朝方から実需のドル売りが出たこと、首相と日銀総裁の定例会議があることなどを材料に朝方から急速に水準を下げ、昼過ぎには一時121.31レベルの安値を付けました。その後は121.80レベルをもみあいの中心として狭い値幅でもみあいのまま引けました。

3月31日(木)
ドル円は東京市場では期末の駆け込みドル買いが入ったことから仲値過ぎには122.45レベルの高値をつけました。その後は上値が重くなり後場には逆に実需のドル売りも出た様子で一時121.34レベルまで反落したもののすぐに元の水準へ。海外市場では改めて売りが強まりNY昼前には121.28レベルまで売られ、引けにかけてはやや戻して引けました。

4月1日(金)
金曜のドル円は新年度入りしたことによる外貨買いが東京前場には目立ち、早朝の121.65レベルから昼過ぎには122.73レベルと1円以上円安に動きました。その後は米国雇用統計発表を控えNY市場までは動きは乏しかったものの雇用統計の結果はNFPは若干予想よりも弱かったものの想定内、失業率3.6%をはじめ総じて強い結果であったことからドル円は123.03レベルまで上昇、引けにかけては週末前のポジション調整もあり122円台半ばに押して引けました。

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