ユーロ 先週レンジ内で上値の重い流れを継続(週報3月第2週)

先週のユーロは週初月曜がウクライナ情勢に対して欧州景気への悪影響という悲観がピークに達した動きとなり、月曜に週間安値となる1.0806レベルをつけました。

ユーロ 先週レンジ内で上値の重い流れを継続(週報3月第2週)

先週レンジ内で上値の重い流れを継続

〇先週のユーロ、ウクライナ情勢への悲観ピークで月曜に週間安値1.0806レベルをつける
〇その後停戦協議も含めた期待感とECB理事会前のポジション調整による買い戻しが目立つ
〇16日のFOMCは議長会見でサプライズが無い限りは大きなきっかけにはならないとみる
〇今後も米国とEUとの金利差拡大続く、当面ユーロドルは戻り売りが出やすい地合いに
〇今週は1.0850レベルをサポートに1.1050レベルをレジスタンスとする一週間とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは週初月曜がウクライナ情勢に対して欧州景気への悪影響という悲観がピークに達した動きとなり、月曜に週間安値となる1.0806レベルをつけました。その後は、停戦協議も含めた期待感とECB理事会前のポジション調整による買い戻しが目立ちました。ECB理事会ではPEPP終了後のAPP増額の縮小を決め、早期にAPP終了に持って行ける流れとしました。

個人的にはAPPの修正はなく、4〜6月期を予定通りに粛々と進め利上げタイミングは耐えるという見方をしていたのですが、ECBとしては現在のインフレ率が今後さらに上昇していく可能性が高いことから予定を変え、早ければ7〜9月期にも利上げに移れるような下地を整えていくことにしたようです。今週は英中銀MPCもあり0.25%の追加利上げが予想されていますが、ECBにとっては想定していなかったロシアによるウクライナ侵攻という事態で、景気減速下でのインフレという教科書でしか見たことが無いようなスタグフレーションのリスクに直面することとなってしまいました。

ECBとしては今年後半は相当に悩ましい状況に追い込まれそうですが、ロシアでクーデターが起きプーチン失脚によるその後の新生ロシアへの制裁解除というシナリオを一番望んでいるのはECBであるような気がします。今週ですが英中銀MPCはあるものの、それ以上に注目度が高いのはFOMCでしょう。ただ16日FOMCは既に0.25%の利上げでコンセンサスが固まっていますので、議長会見でサプライズが無い限りは大きなきっかけにはならないかもしれません。

しかし米国とEUとの金利差拡大は少なくとも6月末までは続きますので、それを材料にしたドル買いが、これまでの有事のドル買いと欧州のスタグフレーションリスクによるユーロ売りに加わるわけで、当面ユーロドルは戻り売りが出やすい地合いが続くものと見ています。

テクニカルにも見てみましょう。今週も週足チャートからご覧ください。

先週レンジ内で上値の重い流れを継続

先週初の下げでピンクの平行線で示した下降チャンネルを下ヒゲで抜けたもののまだ抜けたとは言えず、引き続きこのチャンネルの中での下降トレンドを継続し、中期的にはコロナショック時のユーロ安値1.0633レベルを視野に入れる流れであるという見方に変化はありません。

日足チャートで拡大して見てみます。

先週レンジ内で上値の重い流れを継続 2枚目の画像

以前の拡散型もみあいの下側ラインを青のラインで残してありますが、ECB理事会後の戻り高値もまたこのラインがレジスタンスとなっていて、現状はこれら両線をそれぞれサポートとレジスタンスにしやすい流れにあると見てよいでしょう。今週は1.0850レベルをサポートに1.1050レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきますが、ウクライナ情勢次第で振れる可能性には常に注意です。

今週のコラム

今週はECB理事会の結果が個人的にはタカ派的なものとなったので、ドイツ10年債利回りを見ておきたいと思います。

先週レンジ内で上値の重い流れを継続 3枚目の画像

こうして見ると先々週金曜時点が直近の長期金利低下の流れのボトムで、それ以降大きく金利が反発する流れとなりました。少なくとも先週月曜時点ではまだECB理事会に向けてそれほどタカ派では無かったと思いますが、火曜以降急速に緩和縮小思惑が広がったという印象です。

現在は2月の利回り高値(0.331%)にわずかに及びませんが、今後この水準を上回ってくると更なる緩和縮小思惑拡大につながっていくことになりそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

3月14日(月)
16:45 フランス1月貿易収支
**:** 米国夏時間開始 ☆
**:** ユーロ圏財務相会合 ☆

3月15日(火)
16:00 英国2月失業率
16:45 フランス2月CPI
19:00 ドイツ3月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏3月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏1月鉱工業生産
21:30 米国2月PPI ☆
**:** EU財務相会合 ☆

3月16日(水)
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆

3月17日(木)
18:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
19:00 ユーロ圏2月CPI
19:15 レーンECB理事講演 ☆
21:00 英中銀MPC結果発表 ☆
21:15 シュナーベルECB理事講演
23:30 イタリア中銀総裁講演

3月18日(金)
15:30 黒田日銀総裁会見 ☆
19:00 ユーロ圏1月貿易収支

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月7日(月)
ウクライナ情勢が最大の材料であることに変化は無いものの、ロシアへの追加制裁が欧州景気に与える影響が地政学リスクと合わせてユーロの悪材料となりました。NY市場での停戦協議期待感は強かったものの成果は無く、中期的に2020年安値を視野に入れる展開にも変化は無い週明けとなりました。

3月8日(火)
ユーロは東京市場では動かなかったものの欧州市場に入り欧州共同債を起債しエネルギー価格高騰の補助にあてるとのニュースに反応しユートは対ドル、対円ともに買い戻しが入りました。さらに前日流れたウクライナはNATOには加盟しない方向とのニュースが焼き直されて1.0958レベルまで上伸後に急速に値を失う展開となりました。

3月9日(水)
ユーロドルは東京市場では動きが鈍かったものの欧州市場に入ってからは株式市場が堅調な動きとなっていたこともあり、ユーロが対ドル、対円でじり高の展開となりました。その後NY市場に入りウクライナが一定の譲歩をする用意があるとの発言に一段高。NY後場にはそれぞれ1.1095レベル、128.47レベルまで上昇後に高値圏でもみあいのまま引けました。

3月10日(木)
ユーロドルは前日の上昇に対してポジション調整からやや売られてのECB理事会待ちとなりました。結果はこれまでのAPP増額に修正を加え、4月以降の増額ペースを減額、また上昇を強めるインフレ率を考えデータを見た上で7~9月期にAPPも終了と緩和縮小ペースを早める内容となりました。この結果を受けユーロドルは1.1121レベルまで上昇しましたが、スタグフレーションが現実的なものとなってくるとの見方が広がりすぐに買われる前の水準へと下押し。NY市場では停戦協議が不発に終わったことから改めてユーロ売りが広がり、1.0976レベルまで下押しして安値圏での引けとなりました。

3月11日(金)
ユーロドルは欧州市場前場までは動意薄ではあったものの上値が重たい展開が続きましたが、プーチンがウクライナとの交渉で前進と発言したことから一時的に買われ1.1043レベルをつけたものの、その後特に何も出ずウクライナ側が前進を否定したことで反落。週末前の警戒感もあって引けにかけては1.0902レベルまで水準を切り下げて安値圏での引けとなりました。

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