引き続き上値は重いが米ロ会談次第
〇ユーロドルは先週に続きウクライナ問題が最大の材料、上値は重いが積極的に売り進めにくい
〇今週は欧州PMI速報値、英中銀総裁議会証言などの指標結果によって一時的に上下に振れる展開
〇ロシアの侵攻が避けられそうな動きとなれば、急速にユーロ買いが出てくる可能性も
〇今週は1.1250レベルをサポートに1.1400レベルをレジスタンスと見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週に続いてドル円もユーロドルもウクライナ問題の行方を最大の材料に米金利の動きが若干変化を添えている一週間でした。好材料としては米ロ首脳会談が今週にも開かれて事態打開の可能性もあることですが、悪材料としては米国から日々出てくるロシアはいつ進行してもおかしくない準備を整えているという発言です。
米国もロシアもお互いを牽制するための発言が続いていますが、何も起きないことが最善であることを考えると、今のところは米国によるロシア牽制がうまく働いているという印象でしょうか。おそらく米ロ首脳会談は今週にも開かれるでしょうし、それに先立ってロシアが動く可能性は低そうであることを考えると首脳会談までは長期的なロシアの脅威が続くことから上値は重いものの、積極的には売り進めにくいというところでしょう。
その他の材料としては欧州主要国のPMI速報値が月曜、英中銀総裁議会証言が水曜、ドイツとフランスのGDP改定値が金曜と経済指標もユーロの動きに影響を与えそうですから、上値が重たい中で指標の結果によっては一時的に上下に振れるという展開でしょう。
またこれまでの経過を考えると米ロ首脳会談ですぐに解決という流れにはならず、協議を継続するための落としどころを双方で模索するという流れがせいぜいでしょうが、それでもロシアの侵攻が避けられそうな動きとなれば、急速にユーロ買いが出てくる可能性もありますので、行方を見ずには何も言えないというのが週初のスタンスです。
ということで、テクニカルに見て行きますが、ユーロの日足チャートを見てみましょう。
テクニカルにも先週から目立った変化は無く難しい拡散型のもみあいを続けています。その中で年初来安値と高値との半値押しの1.1307を中心とした動きが続いていましたが、下値の目途としては61.8%押しの1.1263、いっぽうで上値の目途としては先週の高値1.1395が参考になります。
今週も1.1250レベルをサポートに1.1400レベルをレジスタンスと引き続き上値は重く下げ余地がある一週間を見ておこうと思います。
今週のコラム
先週はウクライナの通貨を見ましたが今週は更に重要と思えるロシアルーブルの動きを見てみましょう。こちらは日足チャートです。
ここ10日ほどの動きを見ていただくと、ウクライナ情勢が緊迫化するとドル買い・ロシアルーブル売り、落ち着くとドル売り・ロシアルーブル買いの動きになっています。わかりやすいところでは直近2本、金曜はルーブル売り、本日はルーブル買いです。ザラバ中も比較的素直にそうした動きになります。
これはロシアがウクライナに侵攻した場合には経済制裁となり、ロシアルーブル安は不可避という考え方による動きです。欧州時間にはそれなりにルーブルの取引も活発になりますので、ルーブルの動きに急なものが出てくる場合には、何かニュースが出ているかもしれないと考えても良さそうですね。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
2月21日(月)
16:00 ドイツ1月PPI ☆
17:15 フランス2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 スペイン中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
2月22日(火)
18:00 ドイツ2月ifo企業景況感
2月23日(水)
16:00 ドイツ3月GFK消費者信頼感
16:45 フランス2月企業景況感
18:30 英中銀総裁議会証言 ☆
19:00 ユーロ圏1月CPI ☆
2月24日(木)
16:45 フランス2月消費者信頼感
18:30 英中銀総裁講演 ☆
2月25日(金)
09:01 英国2月GFK消費者信頼感
16:00 ドイツ10〜12月期GDP改定値 ☆
16:45 フランス10〜12月期GDP改定値
16:45 フランス2月CPI速報値 ☆
16:45 フランス1月PPI
19:00 ユーロ圏2月消費者信頼感 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
2月14日(月)
ユーロドルはウクライナ情勢ではリスクオン・オフ双方の材料は出ていたもののNY市場でのリスクオン材料に一時的に買い戻される場面が見られた程度で、ほぼ終日上値が重くじり安の展開が続きました。ウクライナから16日ロシア侵攻の可能性という具体的な日付が出てきたことで、それまでは安心できないという流れとなりました。
2月15日(火)
ユーロドルは東京市場ではドル安の動きからやや底堅い動きとなっていましたが、欧州市場で入ってきたロシア軍撤退のニュースを受けてユーロ買いで反応、その後もじり高の展開を辿りNY昼前に1.1368レベルの高値をつけました。引けにかけても高値圏でもみあいのまま引けました。
2月16日(水)
ユーロドルは底堅い動きをしていましたが、NY市場朝方の米国務長官のロシア軍撤収の証拠は無いとの発言もあってやや反落、しかし思いのほか反応は鈍く引けにかけては下げる前の水準へと戻して引けました。米金利がNY後場にやや弱含む動きとなっていたことでドル全般にやや売りが見られた影響でした。
2月17日(木)
ユーロドルはウクライナ情勢を懸念したユーロ売りの動きが出ていたため上値は重たい流れとなっていましたが、ドル売りの動きも重なったことで安値も東京昼過ぎにつけた1.1323レベルから切り上げる展開となり、海外市場では1.13台半ばでほとんど動きが無い様子見姿勢が続いていました。
2月18日(金)
ユーロドルは東京市場では若干底堅い動きとなっていましたが、現時点でウクライナ情勢が改善しているわけでも無いことから週末前のリスク回避のユーロ売りが目立つこととなりました。さらにロシア側からは軍事演習を延長するとの発表があったり、ウクライナ東部でウクライナ軍と親ロシア派勢力との攻撃情報もあったりと、不透明な情勢のままでの週末クローズとなりました。
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