ウクライナ情勢次第だが円高に動きやすい
〇先週のドル円、高値115.88、安値114.79
〇ウクライナ情勢に反応し、リスクオフとオン忙しい展開
〇情勢に対する懸念からやや円高に動きやすい
〇今週は米製造業・サービス業PMI速報値、消費者信頼感、GDP改定値など発表予定
〇今週は114.50レベルをサポートに115.50レベルをレジスタンスとする流れとみる
今週の週間見通し
先週のドル円は週を通してウクライナ情勢に反応する株価を見てリスクオフとその巻き返しという動きが続きました。米国とロシアとの会談に期待があることから短期的にはリスクオフの巻き返しが出やすいいっぽうで、長期的にはロシアがウクライナに侵攻するリスクも高く、どちらかというと戻りは鈍いという印象でした。
直近での目立った動きとしてはフランスが米国とロシアとの会談の仲介に動いていること、バイデン大統領は諜報機関がロシアの動きを日々更新してくる報告を逐一公開しているといったところが目立ちます。これはロシアが動くよりも先に可能性として出しておくことによるけん制効果を狙っているというところでしょうが、今のところはロシア側が否定する形で反応しうまく行っているように思えます。
おそらくは米ロ首脳会談が今週中にも行われ、ロシアによる武力行使を短期的には阻止するという動きになるのでしょうが、これも実際に開催日が決まらないと安心できません。ただ、バイデン大統領は侵攻しなければ外交による解決策が可能と述べているように、もし会談前にロシアが侵攻といったことになれば、西側諸国による大規模な経済制裁とその結果金融市場はリスクオフに動くというリスクが完全に消えたわけでも無い点には注意が必要です。
ただ、ウクライナ情勢が不透明なため、材料的にはどちらにも動きうるものの動きにくいというのが正直なところです。こういう状況では金利の動きなどを無視してもよいというわけではありませんが、ニュースのヘッドラインがほぼ唯一の材料となってしまいます。
ということでテクニカルにはどうなのかをいつもの日足チャートで見て行きます。
ドル円(日足)チャート
前週の安値を下回りましたが、依然として1月安値と2月高値の半値押し(114.89)水準で下げ止まっています。ただ2月高値から考えると着実に高値を切り下げる動きとなっていることから次のターゲットとなる2月安値と高値の78.6%(61.8%の平方根)押し(114.62)、1月安値と2月高値の61.8%押し(114.56)と114円台半ばをターゲットとしやすい流れであることは変わりません。
テクニカルな観点だけから考えると上値は115円台半ば、下値は114円台半ばとなりますので、今週は114.50レベルをサポートに115.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。ただし、あくまでもウクライナ情勢次第であることは認識しておきましょう。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
2月21日(月)
**:** 米国市場休場
16:00 ドイツ1月PPI ☆
17:15 フランス2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 スペイン中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
25:15 ボウマンFRB理事講演 ☆
2月22日(火)
18:00 ドイツ2月ifo企業景況感
23:00 米国12月住宅価格、ケースシラー住宅価格
23:45 米国2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
24:00 米国2月消費者信頼感 ☆
24:00 米国2月リッチモンド連銀製造業景況指数
2月23日(水)
**:** 東京市場休場
10:00 NZ中銀政策金利発表 ☆
16:00 ドイツ3月GFK消費者信頼感
16:45 フランス2月企業景況感
18:30 英中銀総裁議会証言 ☆
19:00 ユーロ圏1月CPI ☆
24:30 週間原油在庫統計
30:45 NZ1月貿易収支
2月24日(木)
16:45 フランス2月消費者信頼感
18:30 英中銀総裁講演 ☆
18:30 南ア1月PPI
22:30 米国10〜12月期GDP改定値 ☆
22:30 米国新規失業保険申請件数
24:00 米国1月新築住宅販売件数
25:10 (アトランタ連銀総裁講演)
26:00 クリーブランド連銀総裁講演 ☆
2月25日(金)
08:30 本邦2月東京区部CPI ☆
09:01 英国2月GFK消費者信頼感
16:00 ドイツ10〜12月期GDP改定値 ☆
16:45 フランス10〜12月期GDP改定値
16:45 フランス2月CPI速報値 ☆
16:45 フランス1月PPI
19:00 ユーロ圏2月消費者信頼感 ☆
22:30 米国1月個人所得・消費支出 ☆
22:30 米国1月耐久財受注
24:00 米国2月ミシガン大消費者信頼感
24:00 米国1月住宅販売保留件数
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
2月14日(月)
週明けのドル円はウクライナ情勢に懸念はあるものの週末に何も無かった安心感からややリスクオフの巻き返しが先行しました。ただ情勢が不透明なことから上値も重く東京後場以降は再び円高となり、欧州市場昼前には115.01レベルと金曜安値をわずかに下回りました。その後NY市場に入るとロシア外相が西側諸国との対話継続を示唆したことでリスクオン、ウクライナからは16日にもロシア侵攻の可能性との発言でリスクオフとリスクオンオフが忙しい展開となり、株価は上下を繰り返し、ドル円は115.75まで上昇後に押すという流れでした。
2月15日(火)
東京市場のドル円はウクライナ情勢に対する懸念から日経平均が下げる動きとともにやや円高の動きとなり欧州市場序盤に115.26レベルの安値をつけました。しかし直後にロシア軍が軍事演習を終えて撤退が始まったとのニュースに反応しNY昼前には115.87レベルまで上昇、その後引けにかけては115円台半ばへと押して引けました。
2月16日(水)
ドル円は前日のロシア軍撤収開始ニュース以降はウクライナ情勢が落ち着いているとの判断があるいっぽうで、長期的なリスクは変わっていないとの見方もあり動きが鈍い状態が続きました。しかしNY市場に入り米国国務長官がロシア軍撤収の証拠は無いと発言したことで円買いが見られましたが、それでも前日のレンジを抜け出すこともありませんでした。
2月17日(木)
ドル円は東京昼過ぎにウクライナ東部でウクライナ軍が砲弾発射とのヘッドラインを受け、リスクオフの株安と円高の動きになりました。その後も終日株式市場、ドル円ともじり安の流れが続きました。NY市場に入りバイデン大統領、ブリンケン国務長官がそれぞれロシアがウクライナに数日中に攻撃する可能性が高いとしたことで、引けにかけてもリスクオフの動きとなりドル円は114.85レベルまで水準を下げ安値圏での引けとなりました。
2月18日(金)
ドル円は東京前場に米露外相会談が行われる可能性から株式市場が上昇、リスクオンの動きからドル円も円安に動きました。欧州市場序盤に115.30レベルまで戻しましたが、その後は動きが鈍く、米露外相会談も実際に実施されない限りは安心できないとの見方も根強くドルの上値が重たい地合いでの週末クローズとなりました。
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