引き続きウクライナ情勢に一喜一憂の展開か(週報2月第3週)

先週のドル/円相場はドルが小安い。基本は115円台を中心とした動きをたどるなか、ウクライナ情勢の緊迫化などがドル高の足かせとなっていた。

引き続きウクライナ情勢に一喜一憂の展開か(週報2月第3週)

引き続きウクライナ情勢に一喜一憂の展開か

〇先週のドル円、週間高値115.88示現、情勢緊迫化で114.79まで一時下落
〇ウクライナリスク続く、平和的進展あれば市場関心移行するか
〇米金融政策、全体的トーンは依然として強気、今週の米地区連銀総裁ら発言注目
〇今週は2月消費者信頼感指数、10-12月期GDP改定値発表、米露外相会談など予定
〇今週のドル/円予想レンジは113.80-116.10、ドル高・円安は115.88が最初のターゲット

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小安い。基本は115円台を中心とした動きをたどるなか、ウクライナ情勢の緊迫化などがドル高の足かせとなっていた。

先週末は、米国のサリバン大統領補佐官が、ウクライナに滞在する米国人に48時間以内に退避するよう促したうえ、「ロシアによる大規模な軍事行動がいまにも始まる可能性がある」と述べたことが話題に。その後も関連発言報道などが相次ぎ、一部では「16日侵攻Xデー」観測も。
そうした状況下、ドル/円は115.35円レベルで寄り付いたのち、揉み合いながらもドルはやや小高い。一連の過程のなかで週間高値の115.88円を示現している。しかし上値も重く116円には届かない状況下、ウクライナ情勢の危機が伝えられると一気にドル売りが進展。115円を割り込み、114.79円まで一時下落している。その後もドルは若干冴えない動きをたどり、週末NYは115.05円レベルで取引を終え、越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ウクライナ情勢」と「米金融政策」について。
前者は、先で取り上げた「サリバン発言」なども受け、ウクライナ情勢をめぐる危機感が市場ならずとも強いなか、週間を通し「仏露首脳」や「米露外相」、「米露首脳」、「英露国防相」などが相次ぎ会談を行うも、いずれも大きな進展はなし。少なくとも「ウクライナリスク」が後退した感は見受けられなかった。その後も、日本時間16日に突然「ロシア軍が一部撤収」と伝えられ、金融市場全般でも一時歓迎ムードが広がったが、結局「ロシア軍部隊の撤収」が確認されず。むしろ、「逆にロシアは最大7000人の兵士を増強している」といった情報が伝わるなど話は錯綜。最終的にはバイデン米大統領が発した「ロシアがウクライナ侵攻する確率が非常に高い」との発言が意識され、緊迫ムードを維持したまま、越週ということになっている。

対して後者は、セントルイス連銀総裁が以前発した「7月1日まで1%の利上げを支持する」とのコメントを繰り返したうえ、クリーブランド連銀総裁は、3月の利上げならびに「インフレ抑制が必要な場合の政策引き締め加速」を支持する考えを示した。また、発表された1月25-26日分のFOMC議事録はほぼ予想通りながら、「政策金利をまもなく引き上げることが適切」などといったものになるなど、全体的なトーンは依然として強気。ただ、カンザスシティ連銀総裁から「次回FOMCで0.5%の大幅利上げに踏み切る必要があるかは確信が持てない」との発言が聞かれるなど、強く一辺倒という雰囲気でもなく、一時期よりはやや落ち着いてきた感もある。

<< 今週の見通し >>

先週は為替に限らず、金融市場全般がウクライナ情勢に右往左往。「ロシア軍が一部撤収」、「いや撤退は観測されていない」、「むしろ露軍は増派されている」−−など、次々繰り出されるニュースに一喜一憂している。そうしたなかドル/円は短期的なレンジ下限だった115円を一時割り込んだものの、定着まではせず。今週は引き続きウクライナ情勢に一喜一憂するなか、先週下回れなかった115円をクリアに割り込み、さらなる下値模索の展開となるのかが注視されそうだ。
今週も、まずは市場を席巻しそうな材料はウクライナ情勢。当初「侵攻Xデー」と目されていた16日の軍事行動は見送られたものの、危機的状況に依然として変化はみられない。それどころか、前述したような「露軍が増派」や「ウクライナ分離主義者がドネツクで車が爆破された」との報道など、危険が強まっている感すらうかがえる。ただ、そんなウクライナ情勢に少しでも平和的進展があれば、市場の関心は米ファンダメンタルズと金利情勢に移行するとの見方も少なくなく、発表される米経済指標の内容などにも一応要注意。

テクニカルに見た場合、ドル/円はまだ完全に下回ったわけではないが、レンジ下限である115円を一時下回るなど、リスクそのものは下方向にバイアスがかかりそう。足もとは、レベルが少しずつ切り上がり115円近くに位置する移動平均の21日線をめぐる攻防にまずは注目。下回れば同90日線も位置する114.40円レベル、さらには114円割れもみえてくるかもしれない。

材料的に見た場合、中長期的には、北京五輪が終了し関心が今度は3月の全人代へと徐々に移行しそうな「中国情勢」、新たに取り沙汰されているオミクロン株の新変異種「BA.2」の動きが不気味な「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
そうしたなか今週は、2月の消費者信頼感指数や10-12月期のGDP改定値といった発表される米経済指標にまずは注目。また、米地区連銀総裁らの講演など発言機会が数多く予定されているほか、24日にはウクライナ情勢をめぐる米露外相会談も実施される予定だ。先週は各国要人とロシアサイドの会談が相次ぎ行われたものの、目立った進展とはならなかったが、今回は果たしてどうだろうか。

そんな今週のドル/円予想レンジは、113.80-116.10円。ドル高・円安については先週高値115.88円が最初のターゲット。抜ければ再び116円台回復、そして116.35円も意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、移動平均の21日線ならびに先週安値114.79円をめぐる攻防に注目。下回れば90日線さらに月間安値114.16円などを目指す展開か。

引き続きウクライナ情勢に一喜一憂の展開か

ドル円日足


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