ドル円見通し 1月4日と2月10日の両高値によるダブルトップ感強まる(週報2月第3週)

ドル円はウクライナ情勢緊張感に圧迫される展開が続いている。

ドル円見通し 1月4日と2月10日の両高値によるダブルトップ感強まる(週報2月第3週)

ドル円見通し 1月4日と2月10日の両高値によるダブルトップ感強まる

〇ドル円、ウクライナ情勢の緊張感が増す中で3月米0.5%利上げ可能性がトーンダウン、115円割り込む
〇ウクライナ情勢が落ち着かないことから、当面はリスク回避的な株売り債券買いが続きやすい状況
〇米政策金利、ウクライナ情勢と株安動向を見ながら、当面は0.25%の引き上げから始まるという流れか
〇テクニカルには1/4、2/10高値をダブルトップとした下落期入りの可能性
〇2/18安値114.78を割り込む場合三段目の下げに入り、114.14、113.46を試す流れ
〇下落基調脱却にはまず115.50、次いで2/15深夜高値115.87を超えることが必要

【概況】

ドル円はウクライナ情勢緊張感に圧迫される展開が続いている。2月4日の米2月雇用統計が予想以上の就業者増加数だったこと、2月10日の米2月消費者物価上昇率の上ブレから3月FOMCにおける大幅利上げの可能性が警戒されて米長期債利回りが上昇、ドル円も2月10日深夜には1月4日高値116.34円に迫る116.33円まで高値を伸ばしたが、ウクライナ情勢の緊張感が増す中で3月FOMCでの0.50%利上げ可能性がトーンダウンしたために下落に転じた。2月18日午前に114.78円まで下落して2月12日早朝と2月14日夜の115.00円を試したダブルボトムを割り込み2月10日夜高値116.33円からの下落は二段目に入った。18日夕高値で115.29円まで戻したものの深夜には115円を割り込むなど上値が重い状況で週を終えた。

【株安債券高で長期金利低下】

ウクライナ情勢の緊張感からリスク回避と安全資産買いで株売り債券買いの流れが進んでいる。
2月18日の米10年債利回りは前日比0.04%低下の1.93%となったが、2月11日に2.06%へ上昇した後は伸びずに16日からは続落している。2年債利回りは前日比変わらずの1.47%だったが安値では1.43%まで低下して2月10日の1.64%からの低下が続いている。
2月18日のNYダウは前日比232.85ドル安と下落した。2月10日から14日へ3日間の続落で千ドル以上を下げ、15日にいったん422.67ドル高と戻したが16日の54.57ドル安、17日の622.24ドル安から再び3日間の続落となった。ナスダック総合指数も16日の15.66ポイント安、17日の407.38ポイント安から18日も168.65ポイント安の続落となった。
当面はウクライナ情勢が落ち着かないことにはリスク回避的な株売り債券買いが続きやすい状況だ。

【ウクライナ情勢と米連銀の引き締め姿勢】

米ロ会合会談が来週予定されているが状況次第のようだ。米国の欧州安保協力機構大使によればウクライナ周辺に展開するロシア軍部隊は1月30日時点の10万人規模から16.9〜19万人規模に拡大していると述べ、米バイデン政権はロシアがウクライナ侵攻を既に決断していると決めつけている。
2月18日にはウクライナ東部ドンバス地域で1400回以上の爆発・砲撃があったと欧州安全保障協力機構(OSCE)は指摘している。2000件を超える停戦違反との報告もある。
ウクライナ政府と親ロ派勢力の双方が攻撃されたと非難合戦をし、親ロ派勢力が実効支配するドネツク州やルガンスク州では住民のロシアへの避難を開始、プーチン大統領もこれを受け入れるとしている。しばらくは駆け引きも続くと思われる。

ウクライナ情勢も踏まえて米連銀の3月FOMCにおける利上げ規模、年内の利上げペース、量的金融引き締めの開始時期などが気になるところだが、2月18日にNY連銀のウィリアムズ総裁は「大きな一歩を踏み出す説得力のある議論はない」として0.50%の大幅利上げに対して否定的な見方を示した。CMEのFEDウオッチでは3月の0.50%利上げ確率は一時80%を超えていたところから21.1%に低下している。ウクライナ情勢と株安動向を見ながら、当面は0.25%の引き上げから始まるという流れと思われる。

【ダブルトップ型形成の可能性】

【ダブルトップ型形成の可能性】

2月10日への上昇で1月30日高値を上抜いた段階では11月30日安値と1月24日安値を結ぶ下値支持線と1月4日高値と1月30日高値を結ぶ上値抵抗線による三角持ち合いを上抜いて一段高を試す流れとなっていたが、1月4日高値に一歩届かずに失速したことにより1月4日と2月10日の両高値をダブルトップとした下落期入りの可能性が浮上した。
11月30日と1月24日の安値を結ぶ下値支持線を割り込まないうちは三角持ち合いの作り直しから上昇再開へ向かう可能性が残るが、1月24日安値を割り込む場合は支持線割れからの下落感とダブルトップ形成による下落感が強まると警戒される。

既に昨年1月6日底からの上昇も1年を経過した。2014年以降、主要な上昇期は2016年6月底から12月高値までの26週、2018年3月底から10月高値までの28週、2019年8月底から2020年2月高値までの26週等概ね26週前後で一区切りついている。昨年1月6日底から7月2日高値までが26週の上昇で、8月4日から新たな上昇に入っていたが今年1月4日高値までが23週、2月10日のダブルトップまでが28週であり、一区切りつけて調整安に入っても不思議ないところとなっている点は押さえておきたい。

【当面のポイント】

2月10日夜高値から2月18日午前安値まで二段下げで推移してきた。18日午前安値を割り込む場合は三段目の下げに入ることととなり、下値目途は2月2日夜安値114.14円、次いで1月24日安値113.46円前後を試す流れと思われる。
2月10日高値以降の下落基調から脱却するにはまず115.50円を超えること、次に2月15日深夜高値115.87円を超えて戻り高値切り下がりパターンから脱却する必要があると思われる。

【当面の主な予定】

2/21(月)
休場、米国、カナダ
16:00 (独) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 5.0%、予想 1.50%)
17:30 (独) 2月 製造業PMI速報値 (1月 59.8、予想 59.8)
17:30 (独) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 52.2、予想 53.1)
18:00 (欧) 2月 製造業PMI速報値 (1月 58.7、予想 58.7)
18:00 (欧) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 51.1、予想 52.1)
18:30 (英) 2月 製造業PMI速報値 (1月 57.3、予想 57.0)
18:30 (英) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 54.1、予想 55.5)

2/22(火)
08:50 (日) 1月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (12月 1.1%、予想 1.2%)
10:00 (豪) ケント豪中銀総裁補、講演
18:00 (独) 2月 IFO企業景況感指数 (1月 95.7、予想 96.5)
19:45 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演
23:00 (米) 12月 米連邦住宅金融局(FHFA)住宅価格指数 前月比 (11月 1.1%、予想 1.1%)
23:00 (米) 12月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (11月 18.3%、予想 17.9%)
23:45 (米) 2月 製造業PMI速報値 (1月 55.5、予想 56.0)
23:45 (米) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 51.2、予想 53.0)
24:00 (米) 2月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (1月 113.8、予想 110.0)
24:00 (米) 2月 リッチモンド連銀製造業指数 (1月 8、予想 10)
27:00 (米) 財務省2年債入札
29:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加

2/23(水)
休場、日本
09:30 (豪) 10-12月期 賃金指数 前期比 (7-9月 0.6%、予想 0.7%)
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 0.75%、予想 1.00%)
16:00 (独) 3月 GFK消費者信頼感 (2月 -6.7、予想 -6.3)
18:30 (英) 英中銀ベイリー総裁、ブロードベント副総裁、ハスケル委員、テンレイロ委員の議会証言
19:00 (欧) 1月 HICP消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 5.1%、予想 5.1%)
19:00 (欧) 1月 HICP消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 2.3%、予想 2.3%)
26:00 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
27:00 (米) 財務省2年物変動利付債、5年債入札

2/24(木)
06:45 (NZ) 1月 貿易収支 (12月 -4.77億NZドル)
09:30 (豪) 10-12月期 民間設備投資 前期比 (7-9月 -2.2%、予想 2.5%)
22:15 (英) ベイリー英中銀総裁、英中銀会議で開会挨拶
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.8万件、予想 23.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 159.3万人)
22:30 (米) 10-12月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 6.9%、予想 7.0%)
22:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 3.3%、予想 3.4%)
22:30 (米) 10-12月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 4.9%、予想 4.9%)
23:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演

24:00 (米) 1月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (12月 81.1万件、予想 80.6万件)
24:00 (米) 1月 新築住宅販売件数 前月比 (12月 11.9%、予想 -0.7%)
25:00 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
25:00 (英) ブロードベント英中銀副総裁、質疑応答
25:10 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
27:00 (英) ピル英中銀理事、講演
27:00 (米) 財務省7年債入札

2/25(金)
06:45 (NZ) 10-12月期 小売売上高 前期比 (7-9月 -8.1%、予想 6.1%)
08:30 (日) 2月 東京区部消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (1月 0.2%、予想 0.4%)
09:01 (英) 2月 GFK消費者信頼感 (1月 -19、予想 -17)
14:00 (日) 12月 景気先行指数CI改定値 (速報 104.3)
14:00 (日) 12月 景気一致指数CI改定値 (速報 92.6)
16:00 (独) 10-12月期 GDP改定値 前期比 (速報 -0.7%、予想 -0.7%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP改定値・季調済 前年同期比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP改定値・季調前 前年同期比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
16:00 (独) 1月 輸入物価指数 前月比 (12月 0.1%、予想 1.6%)
16:00 (独) 1月 輸入物価指数 前年同月比 (12月 24.0%、予想 23.8%)
19:00 (欧) 2月 経済信頼感 (1月 112.7、予想 113.0)
19:00 (欧) 2月 消費者信頼感確定値 (速報 -8.8)

20:15 (欧) ラガルドECB総裁、ユーロ圏財務相会合後会見
22:30 (米) 1月 個人所得 前月比 (12月 0.3%、予想 -0.3%)
22:30 (米) 1月 個人消費支出(PCE) 前月比 (12月 -0.6%、予想 1.5%)
22:30 (米) 1月 PCEデフレーター 前年同月比 (12月 5.8%、予想 6.0%)
22:30 (米) 1月 PCEコア・デフレーター 前月比 (12月 0.5%、予想 0.5%)
22:30 (米) 1月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (12月 4.9%、予想 5.2%)
22:30 (米) 1月 耐久財受注 前月比 (12月 -0.9%、予想 0.9%)
22:30 (米) 1月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (12月 0.4%、予想 0.4%)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前月比 (12月 -3.8%)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前年同月比 (12月 -6.6%)
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 61.7、予想 61.7)


注:ポイント要約は編集部

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