『交易条件改善で底堅さを取り戻すも上値余地は限定的か』
〇今週の南アランド円、地政学リスクの高まりに週明け7.52まで下落
〇その後は、金、プラチナ価格の堅調推移、南ア指標の好調に週後半7.71まで上昇
〇週末にかけては地政学リスク再燃に7.59前後に反落
〇南アランド円主要レジスタンスポイント上抜け、三役好転も継続、テクニカルの地合い強い
〇一方ファンダメンタルズは米国のタカ派転換、南アの政情不安、経済先行き不透明等売り材料多い
〇南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.35ー7.75
今週のレビュー(2/14−2/18)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.57円で寄り付いた後、@ウクライナ情勢を巡る地政学的リスクを背景に、週明け早々に週間安値7.52円まで下落しました。しかし、200日移動平均線をバックに下げ渋ると、A南アフリカの主要産品である金やプラチナ価格の堅調推移(金は昨年6/11以来、約8ヵ月ぶり高値圏。プラチナは昨年11/16以来、約3ヵ月ぶり高値圏)や、B上記Aを背景とした交易条件の改善期待、C南ア1月消費者物価指数の高止まり(南ア中銀のインフレターゲットレンジである3%ー6%の上限付近の5.7%を記録→南ア中銀による追加利上げ観測)、D南ア1月小売売上高(結果+3.1%、予想+2.6%、※前年比)の力強い結果が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.71円まで上昇しました。もっとも、2/10に記録した高値7.73円をバックに伸び悩むと、Eウクライナを巡る地政学的リスクの再燃や、F上記Eを背景としたリスクオフが重石となり、本稿執筆時点(日本時間2/19午前3時15分現在)では7.59円前後まで値を崩す展開となっております。
来週の見通し(2/21−2/25)
南アフリカランドの対円相場は、11/26に記録した約9ヵ月ぶり安値6.93円をボトムに反発に転じると、2/10にかけて、昨年10/26以来、約3ヵ月半ぶり高値となる7.73円まで急伸しました(今週も高値圏での底堅い動きが継続中)。この間、一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や200移動平均線といった主要レジスタンスポイントを上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転も継続するなど、テクニカル的に見て地合いは強いと判断できます(週明け早々に値を崩した際も、200日移動平均線がサポートとして確り機能)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@米FRBによるタカ派転換(米FRBによる大幅利上げ観測・早期QT観測が根強く残存)や、A上記@に伴う新興国から米国への資金流出懸念、B南ア経済の先行き不透明感(国営電力会社エスコムの計画停電や南アフリカのインフレ高止まり)、C南ア国内の政情不安(過去最悪の失業率)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。ここ数週間は、D南ア中銀による追加利上げ観測や、E金およびプラチナ価格上昇に伴う交易条件の改善期待が南アランドの押し上げに寄与してきましたが、上記Dについては、南ア経済が脆弱な中での利上げ実施となるため、結果として南ア経済に下押し圧力を加える恐れが警戒される他、上記Eについても、リスクオフ局面で値崩れが生じる可能性があるため、油断は禁物と考えられます。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(米長期金利やウクライナ情勢、金やプラチナ価格を睨みながらの神経質な展開を想定。来週は、2/22に予定されている南ア第4四半期雇用統計や2/24の南ア1月生産者物価指数に注目)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.35ー7.75
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