トルコリラ円レポート月曜版
〇先週のトルコリラ円、安値8.36高値8.65レベル、狭い値幅で落ち着いた値動き
〇トルコCPI予想超える水準、財務省は利上げせず政策継続の姿勢
〇預金保護政策導入以降の為替相場は安定、ドル円動きに沿った展開か
〇インフレと感染者急増で悪材料多い、動くときは下げに注意
〇今週は8.30をサポートに8.65をレジスタンスとする週とみる
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、「基本もみあいもややレンジを広げ、下値不安も考慮して8.20レベルをサポートに8.70レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が8.36レベル、高値が8.65レベルと、相変わらずの狭い値幅で落ち着いた値動きを続けた一週間となりました。
先週のトルコリラは、イベントとしては3日のCPIに注目が集まりましたが予想よりも更に高い48.69%、コアCPIも39.45%と本来であれば引き締めに転換しないと取り返しがつかないことになりかねない水準です。しかしトルコの財務相は前日2日に日経新聞の取材に応じ、トルコ中銀の利上げはあり得ないという認識を示しました。預金保護政策実施後は為替市場も落ち着いていることから、今の政策のままで行くという自信の現われでしょうか。
為替市場は2日の財務相発言で若干下げはしたもののあまり目立った動きとはならず、CPIでは対ドルでわずかにトルコリラが売られた程度でほとんど反応は見られませんでした。たしかに預金保護政策の導入以降の為替市場は妙に安定しているのですが、先週もどちらかというとドル円の動きに沿った展開となっていて、現状では主要通貨に市場参加者の興味が移りトルコリラを取引する市場参加者が減っているということなのだと思います。
またエルドアン大統領は3日にウクライナを訪問し首脳会談を行い、ロシアとウクライナとの緊迫した情勢を仲介するために動いたようです。しかし、直後にエルドアン大統領のオミクロン株感染が発覚したことで、しばらくは仲介の動きはストップということになりそうです。このニュースも相場には影響無しでした。
トルコでは現在感染者が急増していて昨年の統計上の急増を除くと7日平均で10万人を超えてきたのは初めてです。インフレと感染者増とでトルコリラにとっては悪材料ではあるものの、上述したように市場参加者の興味が薄れている状況では動きも出て来ないと思えます。今週も細かい経済指標はあるものの引き続き方向感が出にくい一週間となりそうです。
テクニカルにはいつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
目盛りが10銭刻みとなっていることから動きが鈍いことがわかりますが、1か月ほど前の安値と高値を起点としたサポートラインとレジスタンスライン(それぞれピンクのライン)の中で横方向の動きを継続しやすい状況です。
現在サポートラインが8.33レベル、レジスタンスラインは8.64レベルに位置しています。やや値幅が狭い感じがしなくも無いですが、両ラインを基準にして8.30レベルをサポートに8.65レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
ただし、しばらく静かな動きが続いていることや、相場材料としては悪材料の方が多いことを考えると動く時には下げに注意という意識だけは持っていた方がよいでしょう。
注:ポイント要約は編集部
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