トルコリラ円見通し、手掛かり難、8円台中盤での持ち合い続く(22/2/8)

トルコリラ円の2月7日は8.51円から8.44円の取引レンジ、8日早朝の終値は8.45円で先週末終値の8.48円からは0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し、手掛かり難、8円台中盤での持ち合い続く(22/2/8)

トルコリラ円見通し、手掛かり難、8円台中盤での持ち合い続く

〇トルコリラ円、2/7は8.51から8.44の取引レンジ、8円台中盤の持ち合い続く
〇対ドルでも動意薄く13リラ台での持ち合い、日足レベルではほぼ横ばい状態続く
〇大統領の感染続報なし、トルコは10万人規模の感染拡大続くが医療崩壊的な危機感見られず
〇1/3の高安レンジ内での推移、既に1か月を経過、3月まで持ち合いも続く可能性も
〇8.47以上での推移中は上昇余地ありとし、8.51超えからは8.55前後への上昇を想定する
〇8.43割れからは8.40前後への下落を想定する、8.40以下は買い戻しも入りやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の2月7日は8.51円から8.44円の取引レンジ、8日早朝の終値は8.45円で先週末終値の8.48円からは0.03円の円高リラ安だった。
12月20日に史上最安値6.17円まで暴落したところから12月23日高値11.14円まで戻し、1月3日安値8.13円まで再び反落した後は8円台の持ち合いが続いている。
日足ではほぼ横ばいで1か月を経過しているが、1月20日にトルコ中銀が利下げを見送った際の高値8.61円の後は8.40円割れを買い戻されつつ8.60円台では戻り売りにつかまる展開で、8円台中盤の持ち合いのレンジも狭まっているところだ。
2月3日のトルコ1月消費者物価上昇率の発表以後は相場を大きく動意付かせる手がかりに欠ける状況できっかけ待ちの様相だ。

【対ドルでも動意薄い】

ドル/トルコリラの2月7日は13.61リラから13.50リラの取引レンジ、8日早朝の終値は13.57リラで先週末終値の13.56リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
12月20日に18.36リラの史上最安値へ暴落し、リラ預金の為替差損補填政策発表から12月23日高値10.06リラまで反騰、その後の揺れ返しで1月10日に13.39リラへ下落した後は13リラ台での持ち合いとなり、日足レベルではほぼ横ばい状態が続いている。

1月27日早朝の米連銀FOMCが早期の量的金融引き締めへ動き年内の利上げペースも加速する姿勢を示したことによるドル高はやや過剰だったとしてドル安へと風向きが変わっていたものの、2月4日の米雇用統計での就業者増加数や平均時給の伸びが予想を上回ったことで引き締め姿勢が急がれるとの見方が再燃している。また2月3日夜には英中銀が2会合連続の利上げ、ECBも年内利上げを示唆したことで欧米の長期債利回りも上昇しており、欧米の金融引き締め姿勢が強まっていることは新興国通貨への売り圧力となるところだ。しかしトルコリラとしては12月の歴史的暴落が一服した状況のためにそれらも新たな刺激にはならず、横ばい型の持ち合いにとどまっている。2月1日以降はややドル高リラ安の流れで推移し、2月3日以降は13.40リラ台では売られ、13.60リラ台では買われる範囲にレンジをさらに狭めている。

【エルドアン大統領の感染続報はなし、トルコの10万人規模での感染拡大は続く】

エルドアン大統領がエミネ夫人と共に新型コロナウイルスのオミクロン株に感染したと2月5日に報じられたが、いずれも症状は軽く大統領は在宅で職務を行っている。イスラエル大統領からのお見舞い電話はあったようだが、その後の新たな報道はなく、特に重症化による政局混乱への懸念は発生していないようだ。ただ、ウクライナ訪問直後の感染発覚であり、ウクライナとロシアの仲介に意欲を示していた大統領の目論見はとん挫しているようだ。
トルコの新規感染者数は2月2日に11万人に達して過去最多となったが、その後も10万人前後の水準にあり、2月7日は新規感染者が9万6514人、死者が236人発生している。これまでの累計では1233万人が感染して世界7番目、人口100万人あたりの感染者数は14.3万人となっている。今のところ医療崩壊的な危機感は見られずブースター接種を推奨してウィズ・コロナ政策を推進している。

【持ち合いの長期化】

1月3日の高安レンジ内にとどまり8円台での持ち合いで既に1か月を経過している。
12月への大暴落を招いた「金利引き下げがインフレを抑制する」との大統領の持論による連続利下げはひとまず落ち着いて1月から2月にかけては様子見に入っていることで市場も落ち着いているが、12月20日に発表されたリラ預金の為替差損補填政策による一時的な上昇も続かずに政策的な手詰まり感も見える。

昨年3月に当時のアーバル中銀総裁(在任中に三度の利上げで2020年11月の12.03円から2021年2月の15.26円までリラ高をもたらす)が解任されて6月2日安値12.44円まで下落した後は、カブジュオール現中銀総裁がインフレ率を下回る政策金利にはしないと繰り返し強調して市場を落ち着かせたために9月1日高値13.32円までややジリ高の推移となった経緯がある。1円弱のレンジでの持ち合いだったが、9月23日に利下げに踏み切ったことでこの持ち合いから転落してその後の利下げ継続による大暴落を招いている。
現状の持ち合いも当時に近い膠着状態といえるが、大統領及び財務相、中銀には利上げという選択肢はなく利下げ再開の機会をうかがっている状況のため、利下げ再開への号令となるような発言が飛び出してくると持ち合い下放れへ進みかねないところと思われる。前回の膠着的な持ち合いは6月から9月までの3か月だったため、今回も1月から3月までの様子見という姿勢が続くなら3月まで持ち合いも続く可能性があると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月31日夕刻高値と2月1日午前高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとして2月4日未明から8日未明にかけての間への下落を想定してきたが、2月3日午後に一段安したところから8.50円まで反発したために2月4日午前時点では3日午後安値でやや短めのボトムを付けて戻しに入ったところとし、高値形成期を2月4日の日中から8日午前にかけての間と想定した。
2月4日夜高値の後は伸びず、8日早朝には8.44円近辺まで下げているため、2月4日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8日午後から10日午後にかけての間への下落を想定する。強気転換は2月4日夜高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では、2月8日朝への下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからもいったん転落したがその後の反発で先行スパンに潜り込んでいる。先行スパンを上抜き返した状況を維持し始める場合は反騰入りの可能性ありとして遅行スパン好転から高値試し優先とするが、先行スパンを上抜けないか一時的に上抜いても再び転落するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月7日夜から8日早朝への下落時に指数のボトムが切りあがって50ポイントを超えてきているので45ポイント以上での推移中は上昇余地ありとして60ポイント台を試す可能性があるとみるが、60ポイント台は戻り売りにつかまりやすいとみる。45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.43円を下値支持線、8.51円を上値抵抗線とする。
(2)8.47円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.51円超えからは8.55円前後への上昇を想定する。8.53円以上は反落注意とするが、8.50円以上での推移なら9日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.43円割れからは8.40円前後への下落を想定する。8.40円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が早まる場合は8.30円台中盤(8.37円から8.33円)へ下値目途を引き下げる。また8.37円以下での推移なら9日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 11.2%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 2/4時点 (1/28時点 716.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 2/4時点 (1/28時点 105.3億ドル)
2月11日
 16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 3.3%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 11.4%)
 16:00 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.3%)
 16:00 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 16.3%)
 16:00 12月 経常収支 (11月 -26.81億ドル)
2月15日
 17:00 1月 財政収支 (12月 -1457.4億リラ)
2月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 14.00%)
 20:30 週次 外貨準備高 2/11時点



注:ポイント要約は編集部

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