ドル円見通し 米雇用統計通過後の上昇一服、二重の三角持ち合い(22/2/8)

週明けの7日は上昇一服となり夜には114.90円まで下げる場面もあったが115円割れは買い戻されている。

ドル円見通し 米雇用統計通過後の上昇一服、二重の三角持ち合い(22/2/8)

ドル円見通し 米雇用統計通過後の上昇一服、二重の三角持ち合い

〇ドル円、2/7は上昇一服、夜に114.90まで下げるも115円割れは買い戻される
〇2/10の1月米消費者物価指数発表をみて、次の方向を探るところか
〇米長期債利回りは上昇一服するも高水準を維持、欧州の長期債利回りは上昇
〇60分足レベルと日足レベル両方で三角持ち合い形成、上下いずれへ抜けるのか試される局面
〇114.90以上での推移中は上向きとし、115.42超えからは1/28高値115.68を目指すとみる
〇114.90割れからは114.50前後試しを想定する。114.50以下は反発注意

【概況】

ドル円は2月4日夜の米雇用統計発表後に115.42円へ上昇して2月2日夜安値114.14円以降の高値を更新したが、週明けの7日は上昇一服となり夜には114.90円まで下げる場面もあったが115円割れは買い戻されている。
米雇用統計では1月の非農業部門就業者数が市場予想の15万人増に対して46.7万人増となり、12月分も速報の19.9万人増から51.0万人増へ大幅上方修正されたために米連銀による利上げペースの加速感が再燃してドル高反応となったが、7日はポンドドルが下落したもののユーロドルが1.14ドル台を維持して確り、豪ドルとNZドルが上昇、新興国通貨では南アランドが軟調だったがメキシコペソが戻すなどドルの強弱に関してはまちまちだった。
2月7日から9日までは米国の重要指標発表もなく手がかりにかけるところだが、2月10日には1月の米消費者物価指数の発表があるため市場としては物価上昇率を見ながら次の方向を探るというところか。
ウクライナ情勢が緊張感を継続していることはややリスクオフ的な円高要因だが、米長期債利回り上昇が一服しているものの高水準を維持していることがドル円を支えているようだ。

【米長期債利回りは上昇一服】

NYダウは先週末比1.39ドル高とわずかに上昇、一時は200ドル高を超える上昇も見せたもののさらに高値追及へ進むには手掛かり難として失速した。ナスダック総合指数は82.34ポイント安と下落。
2月7日の米10年債利回りは先週末比0.01%上昇の1.92%と小動き。2月4日の米雇用統計における就業者増加数と平均時給の伸びが予想以上に強かったことで1.93%へ上昇して昨年来高値を更新、7日も1.94%へ上昇したもののその後は上昇一服で落ち着いた。30年債利回りは0.01%上昇の2.22%。2年債利回りは0.03%低下の1.29%となったが、4日に1.32%へ急伸した後は上昇一服感が出ているものの高水準を維持している。

【欧州の長期債利回り上昇】

2月7日は欧州の長期債利回り上昇が目立った。欧州の指標となるドイツ10年債利回りは0.02%上昇の0.22%となり2019年1月以来の高水準となった。昨年末はマイナス0.4%前後の水準まで低下していたところからの上昇基調を継続している。
2月3日のECB理事会が年内の利上げ可能性に含みを持たせたことで市場は利上げ開始が近いと受け止めたことに影響されており、イタリア10年債利回りは0.05%上昇の1.81%となり一時は1.90%を付けて2020年5月以来の高水準となった。スペインやポルトガル、ギリシャの利回り上昇も目立った。

ECBのラガルド総裁は2月7日の欧州議会における経済金融委員会で「大幅な引き締めが必要になるという兆候はない」、「インフレ率は短期的には高止まりする恐れがあるものの2022年は低下するとかなり自信を持っている」「欧州では英米で確認されるような労働市場の過熱も見られない」と述べた。
2月3日のECB理事会後の記者会見では最近のインフレ進行については「驚いている」としたが、7日の発言は逆行しており、市場が利上げ開始が近いとやや過剰反応したことにブレーキを掛けたいということだろう。
米連銀のみならず主要国中銀が金融引き締め姿勢を強めてきている中で、日銀の金融緩和継続姿勢は日米及び日欧の金利差を意識させて円安を助長しやすい状況にあると思われる。

【二重の三角持ち合い】

ドル円の日足チャートにおいては1月4日高値と1月28日高値を結ぶ右肩下がりのラインを上値抵抗線とし、11月30日安値と1月24日安値を結んだ右肩上がりのラインを下値支持線としてレンジ縮小型の三角持ち合いを形成している。2021年1月6日底以降の底上げ基調は維持されているので、1月24日安値を割り込んで持ち合い下放れへ進まないうちは中勢レベルの上昇継続として持ち合い上放れへ向かう可能性のあるところと考える。

60分足レベルでは、1月28日夕高値と2月4日夜高値を結ぶ右肩下がりのラインを上値抵抗線とし、1月24日夜安値と2月2日夜安値を結ぶ右肩上がりのラインを下値支持線としてレンジ縮小型の三角持ち合いを形成している。2月4日夜高値115.42円を超えるところからは抵抗線突破に入り、1月28日夕高値を超えれば日足レベルでの三角持ち合いの抵抗線突破に入り1月4日高値超えへ挑戦する可能性が高まると思われる。
逆に2月2日夜安値を割り込む場合は60分足レベルの三角持ち合いの支持線割れとなり1月24日夜安値試しへ向かって調整期が長引く可能性が出てくると思われる。
60分足レベルと日足レベルにおける二重の三角持ち合いを上下いずれへ抜けるのか試される局面だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、2月2日夜安値114.14円で直近のサイクルボトムを付けて反騰入りしたが、2月4日夜高値115.42円でサイクルトップを付けて調整安に入っているところと思われる。ボトム形成期は2月7日夜から9日夜にかけての間と想定されるのですでに7日夜安値でボトムを付けた可能性もあるが、4日夜高値を超えないうちはもう一段安余地ありとみる。

60分足の一目均衡表では2月7日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンへ潜り込んでいる。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパン転落からは下げ足がやや早まる可能性もあると注意するが、先行スパンを上抜くところからは上昇再開に入りやすいとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月7日夜に30ポイント台へ低下した後はやや戻しているが50ポイントを挟んで揉み合いの様相のため、60ポイント以下での推移中は下落余地ありとして40ポイント割れからは下げ再開とするが、60ポイントを超えるところからは上昇期に入るとみて70ポイント台を目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、114.90円を下値支持線、115.42円を上値抵抗線とする。
(2)114.90円以上での推移中は上向きとし、115.42円超えからは1月28日高値115.68円を目指すとみる。115.65円以上は反落注意とするが、115.50円を超えてからも115.30円以上での推移なら9日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)114.90円割れからは114.50円前後試しを想定する。114.50円以下は反発注意とするが、114.70円以下での推移が続く場合は114円台序盤(114.30円から114.00円)を試す可能性も出てくると注意する。

【当面の主な予定】

2/8(火)
14:00 (日) 1月 景気ウオッチャー現状判断DI (12月 56.4、予想 48.2)
14:00 (日) 1月 景気ウオッチャー先行判断DI (12月 49.4、予想 45.8)
22:30 (米) 12月 貿易収支 (11月 -802億ドル、予想 -830億ドル)
26:00 (仏) ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
27:00 (米) 財務省3年債入札

2/9(水)
08:30 (豪) 2月 ウエストパック消費者信頼感指数 (1月 102.2)
08:50 (日) 1月 マネーストックM2 前年同月比 (12月 3.7%、予想 3.6%)
14:30 (日) 中村日銀審議委員、記者会見
16:00 (独) 12月 貿易収支 (11月 120億ユーロ、予想 110億ユーロ)
16:00 (独) 12月 経常収支 (11月 189億ユーロ、予想 200億ユーロ)
22:10 (英) 英中銀チーフエコノミスト・ピル氏、講演
24:00 (米) 12月 卸売売上高 前月比 (11月 1.3%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
24:30 (米) ボウマンFRB理事、講演
26:00 (加) マックレム・カナダ中銀総裁、講演
26:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
27:00 (米) 財務省10年債入札



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